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ー リーンゴーン ゴーン リーンゴーン


『おめでとう!!』『おめでとう!!お幸せに!!』


ー ワァッ


























「っは‼︎⁇」

「?どぉした」


「……未来を、見た」

「は?」




ミーシャの頭の上に乗せている掌に体重をかけながら美を司る神がミーシャの顔を覗き込んでくる、かっこいい


突然固まったかと思えば訳の分からないことを言い出したミーシャに対してその美の神は小馬鹿にしたような表情へと変わった、そんな顔もかっこいい


ライの言葉に嬉しそうにしていた父であるカーターも、瞠っていた瞳を悔しげに細めていた青髪の青年も突然のミーシャの言葉に不思議そうに首を傾げていたがミーシャは気付いていない



今、彼女の頭の中を占めているのは


【ライがかっこいい】


その言葉だけだった




言葉はそれしか浮かばないのに湧き上がる感情はまるで嵐のようにミーシャの中で荒れ狂う


荒れ狂い悶絶させ胸を掻きむしりたくなるような感情が遥か高みに辿り着いた瞬間



ミーシャは青い空の下、白い教会の鐘の音を聞いていた


完全に空耳であるこの要因は髪に編み込んでいたライの瞳と同じ色の鈴の音が引き金になったことだろうか



例え空耳でも構わない



純白のドレスを着て愛してやまない人が金の瞳を優しく細めながら隣りに立ち大好きな人たちに祝福される光景



ミーシャは深く頷く




(結婚したい)





どこか惚けたような顔をしていたミーシャがいきなり真剣な表情で頷きだしたのを見てカーターも青年も益々首を傾げたがライだけはひどく呆れた顔をしていた


その呆れを全て吐き出すように深い溜息を吐くとミーシャの頭に乗せていた手を外し流れるような動作でミーシャの額を弾く



「痛いっ」

「またトチ狂ったこと考えてたのか」

「考えてないよ!ライとフグッ「言うな」



ミーシャは痛みに潤んだ瞳を恨めしげに細めライに言い募ろうとしたが既にミーシャの言動パターンが読めてきているライによって口を大きな手で塞がれアッサリと未然に防がれてしまう



「おまえは少し考えてから話せ」

「ムーッムーッ」

「何言ってっかわかんねぇ」

「ムーーーッッ!!!」



話せない代わりに口に伸びているライの腕をミーシャはペシペシと叩く

昨日もつい先程もこうしてライに口を塞がれたがその度にミーシャの心臓は壊れそうだった


あと少し力を入れられれば唇がライの掌に当たってしまうのだ


当てていいならそれはもう全力で当てたいがそんなことをしたらライはもうこうして口を塞いではくれなくなるかもしれない、そんなのは嫌だ

折角ライから触れてくれる貴重な機会をミーシャは失いたくない

己の口が塞がれるという事態でもライが触れてくれるのならそれは楽しみに変わるのだ、が、心臓が落ち着くわけでもない



ドキドキと音が聞こえそうなほどの心臓ともどかしさにミーシャが苦戦しているなかソレを齎している張本人はひどく楽しそうに笑っている、小悪魔め


話せないことを良いことにミーシャがライに向けてムームーと愛を叫んでいれば濁った音の吐息が聞こえてきた



音のした方へミーシャとライが顔を向ければ項垂れている青髪の客人の肩に父であるカーターが腕をまわして苦笑していた、すっかり忘れてた




「もう、いい…。わかったよ」


濁声で何かを呟いた青髪にミーシャは薄緑色の瞳をパチパチと瞬かせる

口を覆っていたライの手が離れてしまったことにミーシャが少し寂しくなり名残惜しげに目で追いかけていた時「諦める」とまた濁った声が聞こえてきた



「え?」

「ミーシャのこと、諦めるよ。こんなにハッキリ断られて見せつけられちゃあな…」


と、どこか遠くを見るような瞳で普通の声量で話す青髪の青年にミーシャはまた瞳を瞬かせる



「本当ですか…?」

「おう、だが店にはまた行っていいか?おっちゃんのパン好物なんだ」

「また購入してくださるんですか?」

「当たり前だろ。ミーシャが良ければな」


瞼に覆われている小さな瞳が優しく細められた

その瞳にはいつも籠もっていた熱が見当たらない


今までは彼の小さな瞳にはいつも籠もっている熱しか見えずミーシャはソレが苦手だった

けれど今の彼の瞳には髪と同じ色の紺青色しか見当たらない



ミーシャは自然と緩みだした口元を隠さずに心からの笑みで青髪の青年…テッドに応えた



「勿論です!我が家のパンは病みつきになりますからね、いつでもお待ちしております」

「ッ!」



本日初めてミーシャがテッドに明るく接するとテッドの顔はボンッと音がなったかのように瞬時に赤く塗りつぶされた

その突然の変化にミーシャが驚き声を漏らせばテッドは真っ赤な顔を両手で覆いまたもや大音声で吠える



「ぐわぁぁぁぁぁあああ!!!!!可愛い!!!!!!滅茶苦茶可愛い!!!!!諦めるとか無理だろう!!!???可愛すぎる!!!!!好きだぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!」

「…………」




やはり青髪で充分だ


ミーシャは何も言わずにソッとライの背後に隠れ本日の定位置へと戻った


そんな二人のコントのような結末にカーターとライは呆れの溜息を吐きそのままライの背後にいる小悪魔にそれぞれ言葉を贈った





「おまえが悪い」

「やっぱ誑かしてんじゃねぇか」






ミーシャはライの背中に顔を埋め、

まわしている腕に力を込めることしかできなかった











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