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「おまえは、っとに…。どーでもいいことで泣くよなぁ」

「うぅぅっ」

「身体ん中全部ソレでできてんじゃねぇの?」



ライが喉の奥で笑えばその微かな振動がミーシャに伝わる


その距離の近さに

頭上から落ちてくる美声に


ミーシャの全身には痺れるような感覚が走る


その感覚と温もりを甘受していれば後頭部を大きな手でポンポンと叩かれる、なんというご褒美技なのかその優しさに先程までとは違う涙がでそうだ



「ンなくだらねぇことで楽しめるおまえなら、これからもどーでもいいことで楽しめンだろ」

「ヒッグッ、フグッ」


「だから、ンな泣くな。どうせその内短くねぇのが嫌だとか言い出すんだろーぜ」

「ヒッグッ、…そ、そう、かな…?」

「さぁな」



ポンポンと、規則正しく動いていた手はいつの間にかミーシャの髪を梳くように上下に動く

その手の優しさと笑い混じりの低音がとても心地良い


ライは曖昧に返したがミーシャは少し冷静になってくるとすぐに確かにと同意した、そもそも神の言葉は絶対だったそうに違いない


ライから腕を広げてくれるという奇跡の中にいるのだ

そんなこと今が初めてだと思えば既に髪の短い彼との思い出ができたと言える





「ラ、ライ、も…ヒッグッ」

「ん?」

「~~ッ、ゔぅぅぅっ、かっ、こいぃぃぃ」

「はぁ?」


必死に言葉を紡ごうとしたミーシャだったがライの思わぬ相槌に悶絶してしまう


(「ん?」て、「ん?」て!!!!!)



なんなんだその甘い声は本当にこの人はライなのか腕をまわした背中の感触もまわしてくれている腕の力強さも何より息をする度に香る野性的で透き通った相反する香りがライに間違いないのだがこんなに優しいのは初めてじゃないかいやライはずっと優しくて聖人だったけど!


度重なるライの言動にミーシャが混乱している間にいつの間にか滂沱の涙は止まっていた


頭は混乱しているが正直な身体は例え涙が止まっても今この貴重な時間を全力で堪能しようとライの背中にまわした腕の力を強め顔を更に胸板へ押し付ける

すると息の抜けるような笑いが頭上でしたかと思えばライの腕の力も僅かに強まった



(し、幸せ…‼︎)



先程までのどん底なまでの哀しみが嘘のように幸せに満ち溢れる、本当に忙しい娘である


その幸せを全身に満たした娘であるミーシャは先程言えなかった言葉を今度こそ大好きな人に伝えた



「ライも、これから協力してくれる?」

「は?」

「私が楽しいこと、見つけられるように。傍にいてくれる?」

「……」



ミーシャが再度問いかけてみればライの腕の力が緩み僅かに隙間が開く

離されてなるものかとミーシャが慌ててその隙間を埋めれば頭上から聞き慣れた溜息が落とされ完全に腕も解かれてしまった



「泣き止んでんじゃねぇか」

「まだ泣いてる」

「法螺吹いてんじゃねぇ」

「う、う、うううー」

「嘘泣きすんな」


完全にミーシャがしがみついているだけの形となるがそれでも未だ奇跡の中にいたいミーシャはひたすら粘った



「まだ痛い、心が痛い」

「もういーだろ、離れろ」

「無理だよ、心臓痛いもん」

「あっそ」

「ライのこと好きすぎて心臓痛い」

「……………………馬鹿じゃねーの」


ミーシャの耳元で速い鼓動の音が聞こえるが頭上からは素気無い返事が落とされた

さすがにもう抱き締めてはくれないかと思いながらも居心地の良さにそのままでいれば今度は後頭部ではなく旋毛の辺りにポンと手が置かれる


そして大好きな美声が落とされた




「ちゃんと一緒に居てやっから、だから離れろ」



「…………………だいまじん」

「ぁあ?」




甘い言葉を落として要求を通そうとするなんて、なんて悪どいんださすが大魔神手に負えない大好きです


翻弄されるしかないただのミーシャは顔を真っ赤にさせ大魔神の言う通りに信心深くそして渋々と腕を解くのだった











再度言わせてください


ライの髪事情はミーシャにとって失恋したかのような一大事

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