100
大変お待たせしました…!
100話という数字に慄いて尻込みしていましたが何とか更新できて良かった…っ
こんな鈍亀展開更新にお付き合いくださり本当にありがとうございます。
読了、ブクマ、感想、評価、どれも本当に嬉しいですっ、ありがとうございます!
折角の100話なので何かしたいと思ったものの何も思い浮かばなかったので活動報告に小ネタのような人物紹介を載せてみました。
ご興味があれば下記の【作者マイページ】から覗いてみてください。
長々と失礼しました!そしてここまでお付き合いくださり本当にありがとうございます!
今後も楽しんでいただけると幸いです。楽しんでいただけるよう更新頑張ります…!ありがとうございました!
*前回の雑なあらすじ↓*
「【肉パン】うめぇ」
程良く日に焼けた肌の色は肌を引き締めて魅せるのに節くれ立つ大きな掌が男らしさをも醸し出す
その手で色の薄い軸を包み込めばコントラストが更に魅了する
純白の羽がその肌を掠める様は正に美の化身から舞い落ちた気高き神の羽が掠めたようで
その神々しさに胸が詰まれば細くて長いささくれ立っていても綺麗な指が力強く羽の先を誘導する
なんて尊い
神々しさに加えて男らしい力強さだけでも言い知れぬ荘厳さがあるのにそこから色気までも醸し出していて
あぁ、やはり神、この魅力の塊は矮小な人をも嚮導する美の神に違いない
「うるせぇ」
「はへ?」
頬杖をついて隣りに座るライの手元を眺めていたミーシャは愛してやまない美声が不機嫌そうに放たれたことに間の抜けた声を上げた
薄緑色の瞳をパチパチと瞬かせ顔を隣りに向ければ金の瞳が鋭く睨みつける
ジロリと横目で好きな人に睨まれたミーシャは不思議そうに首を傾げた
「何も言ってないよ?」
「視線がうるせぇんだよ、黙れ」
「理不尽!」
ライは空いている手で焦茶色の短髪をガシガシと搔くと視線を元の手元に戻した
ミーシャはライの邪魔にならぬよう静かに気高きその様を称賛していただけなのにと不服そうに頬を膨らませる
敬虔な信徒は只大人しく崇めていただけだがその尊さに視線が熱くなってしまうのは仕方がないというもの、それが煩わしいかは別として
「こっち見んな」
「そんな!!そしたら合ってるかわからないよ」
「書いたら渡しゃあいーんだろ。見過ぎだ、視線がうぜえ」
「えー、」
美声を尖らせるライの柳眉は強く顰められていてそれがどれだけ煩わしかったかを表している
しかし色気漂う焦茶色の髪から覗く耳は傷がある耳殻の部分まで仄かに赤く染まっているためソレに気付いた煩わしさの元凶が大人しく反省することは難しい
元凶もといミーシャは口元を尖らせてテーブルに突っ伏すようにライを覗き込んだ
「ライの手を見てただけだよ?」
「ぁあ?何で手なんだよ、字ですらねぇじゃねぇか」
失敗した
見ていても問題ないだろう理由を述べた筈がライの柳眉が更に上がったことでこの案は失敗だったとミーシャは悟った
だが確かに真面目に文字を書いていたライの集中を散らしてしまうほどの邪魔ならば我慢しなければと辛うじて判断できた煩わし娘は渋々視線を外すことにする
「ライが持つと羽ペンすら引き立て役になるからつい」
「おまえのトチ狂った感性は知らねえが、おまえもなんかやることあんだろ。それやってろよ」
言い訳じみたミーシャの言葉はサラリと袖に流された
ただ羽ペンで文字を書いていただけなのに画になる美神もといライについ見惚れてしまうのは偏にライの美麗のせいだと心の底から叫ぶミーシャにとってライの発言には不服が募るばかりだ
口元を尖らせ頬を膨らませ最後にもう一度だけライの手元をジッと覗けばそこにはミーシャが書いた字を真似るようにいくつもの文字が紙に綴られている
高貴さを醸し出しながら崇高なる導きを繰り出して綴られた文字の羅列はまるで歴史に残る名画のようだ
勿論その名画は後でミーシャが貰うつもりである
「私は今、大任を任されてるからね。片手間に何かをするなんてあり得ないよ」
「意味のわかる言語を話せ」
「もう何も見なくても書けそうだね」
「短えしな、こんくれーならまぁなんとか…」
そう言ってライはペンを持っている指で器用に柳眉の間を掻いた、とてもかっこいい
ミーシャの斜め上どころか暴走特急思考から繰り出される発言にも随分慣れたライが軽く受け流せばミーシャも自分の思考がおかしいとは露ほども思っていないためにそのまま話が進む
今ライが書いている文字をミーシャが初めに書いた時ライは柳眉を顰めて「なんて書いた」と聞いた
それがライの名前である【ライ】という文字だとミーシャが告げるとライは金の瞳を微かに瞠り次いで僅かに眉尻を下げた
その一瞬緩んだライの表情には隠しきれない感情が滲み出ているようでミーシャの胸はキュッと小さな悲鳴をあげた
あげたので全力で抱き着こうとしたのだがライに片手で額を押さえるように阻止された、額を覆い尽くす大きさの掌がまたかっこよかったとお手軽娘の胸をもときめかせる素晴らしい防御だった
ライの一挙手一投足一表情全てに当たり前のように悶えるミーシャが無事悶え終えたところで「じゃあ、次は文字の一覧書いていこうかなー」と次の行動を決めてミーシャも自分のペンを持つ
母であるニナがミーシャが使用していた本を勧めてくれたがある程度の字が分かっていた方がライも読みやすいだろうと考えてミーシャは先に文字を教えることにしたのだ
新たな紙に一字では意味を表さない文字を全て書き綴っていこうとすればライから「なぁ」と声がかかった
「ん?」
「これで一つの字なんだろ?」
「うん」
「で、ココで分けんだよな?コッチが【ラ】でこいつが【イ】になんだろ?」
「そう!もう完璧だね」
ライが自分で書き綴った文字を分けるように丸で囲みながら尋ねればミーシャは嬉しそうに肯定して小さな拍手も贈った
その反応にライは「大袈裟」と片眉を上げて苦い表情を浮かべたが赤くなる頬を誤魔化すように「ンなことより」と話題を切り替える
「なら、お前のは?」
「え?」
「お前の名前。字はどーやって書くんだよ」
気負いもせずに当然のように尋ねたライにミーシャは吊り目がちな薄緑色の瞳を大きく瞠らせた
何故ミーシャがそんな反応を示すのか分からないライは返事が返ってこないことに訝しげに柳眉を顰める
ミーシャは沸き上がってくる熱を感じながら早くなる鼓動を押さえて尋ね返した
「な、なんで私の名前?」
「あ?別に意味なんてねぇよ。知ってる奴の名前書くほうが覚えれる気ぃしただけだ」
「くぅッ…!」
悶えた
つい先程ミーシャは悶え終わったばかりだというのに大弓の名手であるライに胸のど真ん中を貫かれ再度沸き上がる恋情と歓喜の渦を全身で受け止めなければならなくなった
心臓ど真ん中もはや残った心臓の欠片を探す方が難しい、やはりライは大魔神だった
なんだというのだこの大魔神は
初めて覚えた自分の名前の次に覚えたい文字がソレなんて
しかもそのほうが覚えれるなんてそんなのもう嬉しいに決まってる、好きだ大好きだ満身創痍の責任を取ってぜひ結婚してほしい
ミーシャが脳内で求婚を叫び続けていることなど知らないライはテーブルに突っ伏してしまったミーシャに「ぁあ?」と眉を顰める
だがすぐに溜息を一つ吐くと新たな紙を手に取りそこに再度己の名前を書く練習を始めた
大変手慣れた受け流しの姿である
カリカリとペンが文字を綴る音がテーブル越しにミーシャの耳にも響き視線を向けずともライが字の練習を再開させたことが分かった
ライのその真面目に努力し続ける姿はミーシャの胸を更にときめかせる
腕が立つライが勉学をも身につけてしまったら最早それは最強種ではないか
今でさえ聖と魔を併せ持つ最上位なのにどこまでいくというのか
彼は神をも超えるつもりなのかもしれない
ミーシャは熱い頬と高鳴る胸の鼓動に翻弄されながら全身でライへの想いに打ち震えていた
だが、実直に向き合うライの姿にふとミーシャはその素晴らしき向上心と魅力の塊を自分にも向けてほしいと少し欲が出た
突っ伏していた腕を軽く解きソッと顔を横にして下から御尊顔を覗き込む
視線の先では大好きな人が鋭い金の瞳で真っ直ぐ羽ペンの先を見つめていた
(綺麗…)
ミーシャの好きな色
ライと出会ってから好きになった色
初めて見た時から大好きな色
改めて湧き上がってくる熱に浮かされたようにミーシャは恐る恐る片方の腕だけを動かしてソッとライの方へと腕を伸ばした
「あ?」
「ねぇ、ライ」
「ンだよ。教える気になったのか?」
動かしていた羽ペンを止めて金の瞳で真っ直ぐ見つめ返してくれる大好きな人にミーシャは薄緑色の瞳を蕩かせながら頬を淡く染めて小さな声で懇願した
「私の手に、ライの名前書いて」
「は?」
「腕でもいいよ。ライの名前、ライに書いてもらいたい。あ、インクじゃ落ちちゃうかな。でも羽ペンだし、ペン先で微かに痕が残ったり「ゼッテー嫌だ」
ライの向上心と魅力の塊を己に刻み込みたいというミーシャの欲は当の本人であるライによって断固の姿勢で却下されたのだった
*注釈*
冒頭部分を読解できなかった読者様、ご安心ください。
作者もよく分かってません。
大した意味がある訳でもないので「またなんかミーシャが悶えてんなー」くらいのスタンスでお読みいただければ幸いです。
あしからず。




