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その3 UR(アルティメットレア)でN(ノーマル)を蹂躙する戦闘訓練はっじまっるよ~

 次の休みの日、朝起きるとベッドの中でイシュが薄布一枚で俺を抱きしめていた。え? なに? これどういうこと? しかもがっちりホールドされてて身動きが取れない。え? 勝手に出てきた? というところで原因に思い至る。


「柚陽子~~おいこら、何しちゃってくれてるの!」


 と、ちゃっかり俺の胸元に収まっちゃってくれちゃってる柚陽子に文句を飛ばす。


「てへっ、だってマスター分が足りないって言うからさぁ。私はついで…う~ん修一はいい匂いがするねぇ……えへへ」


 常駐スロットに設置した神人は端末に対し結構な権限を得る。例えば今回のようにマスターの許可無く特殊召喚を行うという具合にだ。本来なら生命点を消費する行動にはロックが掛かっていてできないはずなのだが柚陽子のスキルのせいで特殊召喚のコストは0。有用そうだと思ったスキルにこんな落とし穴が。


「とりあえずダブルチョーップ!!」


「ぐはぁ」


 悪は滅んだ。で、だ。背中に当たるこの柔らかな感触はどうしようか? 神人は人間の生体エネルギーを糧としているからスキンシップを取りたがるとは効いてはいたがこれはやばい。俺のメンタルがいろいろと。


「いたたたた。で、どうなのさ? 修一」

「どうなのってなにが?」

「こんなおっぱいの大きな美女に抱きしめられながら目を覚ましたき・ぶ・ん」

「驚きすぎて楽しむ余裕もないわ! あと6歳児に何いってんだ!」


 こいつぜったい俺をからかって楽しんでるだろ! まったくもう。

 そうこうしてると締め付けが少し緩み同時に「ふぁ~」と可愛いあくびが。


「えへへ、おはようますた-」


 ずぎゅーん。寝ぼけているのかどこか抜けた雰囲気を醸しながらえへへと笑う美女。ありていに言ってむっちゃかわいい。


「お、おはようイシュ」

「むー、ちがうよ。いしゅおねぇちゃんでしょ」


 そうしてぎゅーっと俺を抱きしめるイシュ。エマージェンシーエマージェンシー! おっぱいが! おっぱいが! おっぱいに潰されて息ができ……あ、意識が遠くなってきた……


――――――――


 朝からひどい目にあった。柚陽子とイシュには勝手に端末から出てこないように言い含めておいたが絶対また同じことが起こりそうな予感がする。


 フラフラしながらも両親と一緒に朝食を食べてやってきたのは街の門(ゲート)から車で1時間位の寂れた神社。今日は待ちに待った初戦闘だ。

 この世界、魔物がいるせいで人類の生存域は前世の地球と比べると遥かに狭い。街にも周りを防壁で囲って魔物がはいってこれなくしている。で、町の外にはここの神社のように魔物の集まりやすいポイントというものが設置されている。よくわかってないが高ランクの魔物ほどこういった場所を縄張りにする習性があるらしい。

 また魔物は邪人の手先になることもあり積極的な駆除が推奨されている。そういった仕事は俺も所属している神人協会から回ってくるらしいのだがあいにくとそういった話は一度も来たことがない。まぁまだ6歳だしね。今回は父親を通して話が回ってきたのを俺もいっしょに参加して、と言った流れだ。


 まずはじめに父親が先行して実例を見せる。魔物たちにに近づくと結界を張り5体の魔物を結界内に取り込む。そして召喚される父親の戦闘神人……父親ェ……見事に女キャラばかりだな! 母親が不機嫌になってるよ。そして魔物をあっという間に殲滅してこちらに戻ってきた。


「ランク的にはN(ノーマル)かR(レア)ってところだろう。UR(ウルトラレア)のイシュタルなら一体だけでも大丈夫だろう」


 レアリティののランクにはかなりの格差があるらしくRの魔物なら最大レベルでようやくLv1のURカードに勝てるかどうかというところらしい。


 次は俺が戦闘する番だ。仮想画面(ディスプレイ)から柚陽子が発破をかける。


「準備はいい?」


「おうともさ」


常駐スロットにセットしたキャラはこのように戦闘端末の中から戦闘中もサポートを行ってくれる。俺は一人じゃない。それだけでも心強い。


「バトル・スタンバイ。神人(バロム)・ロード!」


 まぁ叫ぶ必要はないのだが雰囲気というやつだ。その呼びかけと同時にイシュがこの世界に現界する。


「マスター! おねぇちゃん頑張っちゃうからねぇ! バッチリ見ておいてね」


 そう叫ぶイシュは薄布一枚である。目の毒である。早くなにか装備させてやらねば(使命感)


 今回結界で取り込んだ敵の数は5体。ゴブリンが3体にウッドゴーレムが2体という構成だ。イシュは一体一体をそれぞれ一撃で消失させるとこちらに戻ってきた。はえー。全滅させるのに一分もかかってないよ。


「イエーイ。マスターどうだった? おねぇちゃんの活躍は?」


 褒めて誉めてと言う顔でこちらにぐぐっと顔を近づけるイシュ。近い近い。照れくさかったので頭ナデナデしてごまかした。


「どうだった? はじめての戦闘は?」


 父親が聞いてきたがどうもこうもイシュが強すぎて戦ってる実感がないです。

 そこで、俺は忘れていたことに気付き生命点の残りを確認する。生命点の残り21。どうやらイシュのスキル、勝利の祝福はきちんと発動しているようだ。


 そこからは昼まで乱獲である。素材アイテムや神石のかけらがそこそこに手に入った。

 素材アイテムは神人やアイテムの強化や進化に必要なもので、あるに越したことはない。神石のかけらは一定数集めれば召喚可能な大きさの神石に生成できる。っていうか俺の端末はその機能が備わっていた。父親の端末はどうやらその機能はオミットされているらしく端末によっていろいろと違いがあるようだ。


「欠片はようやく半分てところかな」


 召喚可能な神石一つに対してこのあたりだと50は欠片が必要そうだ。


「だがそろそろここらへんの魔物も打ち止めだ。任務的には目的を達成しているがまだやるのか?」


 と、父親が俺に聞いてくる。


「そうだなぁ……イシュ、いけそう?」


「ばっちり! まだまだお姉ちゃんは頑張るよぉ」


 いけそうなので父親に肯定の意を返した。


 そしてまた昼から戦闘である。魔物の強さも神人と同じクランクわけされていて神人と同じ感じで区分けされている。


 イシュを傷つけるならSR(ストレンジレア)クラスでLvが最大値近くなければ無理とは父親の談だ。


 そんなこんなで少なくなった魔物の集団を探して練り歩いているとゴブリンの集団を見つけた。


「修一! 気をつけて、あの集団の中にBOSSクラスがいるわ」


 と、柚陽子から忠告が入る。BOSSクラスはオンラインゲームなどでよくあるネームドモンスターのようなものでスキルを多用するので用注意、だったかな。


「どうする、修一。無理そうなら父さんが変わりにやるが」


「今まで手応えがなさすぎたからね。ちょうどいいんじゃない? 僕が戦うよ」


 というわけで俺が戦うことになりました。


 ゴブリンの集団を結界に取り込みます。イシュの攻撃で一撃で殲滅されていきます。…っとイシュの攻撃を避けたゴブリンがいたな。あれがBOSSクラスってやつか? 長い髭をはやしたいかにも老獪そうなやつだ。結局数分もかからずイシュとBOSSクラスとの一騎打ちになった。

 イシュは光の光線を放つんだけどボスはそれをことごとくひょいひょいと躱しすきを突いてこちらに弓で攻撃してくる。


「イシュ、大丈夫?」

「これくらいおねぇちゃん平気だよ。でも攻撃が当たらなくてちょっとイライラしてきた」


 そんなとき柚陽子から声がかかる。


「修一、イシュのスキルのチャージが終わったわ」


 おお、そういえばイシュには攻撃スキルがついていたな。ユニークスキルはマスターの許可がないと発動できないんだっけか。


「よーし、イシュ! 一発ぶちかませ」


「まかせなさい! 裁きの光!」


 CT32、およそ5分毎に使えるATKx2.4倍の高威力全体ダメージだ。今の地点でも4000前後の大ダメージ。放ったイシュでさえ喰らえばただでは済まない。流石にこの攻撃はかわしきれなかったのか攻撃の後には敵の姿はどこにも見当たらなかった。


「おつかれ。ちょっとヒヤヒヤしたけどなんとかなったな」


 と、父親。


「まぁ私達にかかればこんなもんよ」


 とは柚陽子。確かに最後のサポートはナイスだった


「わ~い、勝ったよマスター。褒めて褒めて」


 わかったからイシュ、破廉恥な格好でまとわりつかないでください!


 その後はBOSSクラスが出ることもなく俺たちは神社を引き上げたのだった。


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