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その1 転生したらケッコンカッコガチのある世界

 あの日、スマホを操作して意識を失ってから次に目覚めたら俺は赤ん坊になっていた。

 ああ、これはよくあるゲームでキャラクリしたら異世界転生かなんてことを考えながら前世で残してきたものに対する後悔で癇癪を幾度となくおこし今世の両親には迷惑をかけた。今では吹っ切れて第2の人生をたのしもうと思っている。

 しかしながら、ここは異世界ではなく現代。ただし、ここに来る前直前までチュートリアルを受けていた”異界造神 パラダイム・ノア”のシステムが組み込まれた平行世界(パラレルワールド)だった。


 大きな違いは第二次世界大戦が起こっていない。その前に異世界からの侵略を受けたのだ。侵略者は邪人(イビル)と呼ばれていて人間の精神エネルギーを刈り取り深い昏睡状態を引き起こす。そんな状態で戦争なんぞやってられるわけもなく各国はお互いに不可侵条約を結ぶことになる。

 そして邪人の侵略から遅れること数年、人間の生体エネルギーを糧とした神人(バラム)システムがもたらされることになる。この辺当時の宗教関連でいろいろあったらしいがようやく人類は邪人に対抗するすべを手に入れたのだ。


 というのがこの世界の歴史の教科書にも乗っている小学生レベルの話だ。あとこの世界では科学技術の代わりに神石(クオーム)を用いた神人技術が発展している。

 神石というのは神人を呼び出す儀式に必要な……ぶっちゃけて言えばガチャを引くための宝石のようなものだ。これからエネルギーを取り出し今のインフラは整えられている。発電を始めとしたエネルギー源、自動車などの移動手段の燃料、この世のあらゆるものが神石によって動いている。ちなみに技術力は前の世界よりも進んでいる。それにこちらのほうがクリーンなエネルギーなため環境にはいいのかもしれない。


 そんな世界に生まれ落ちたのだ、俺は当然のように神人を従え邪人と戦う神人使い(バラムマスター)を目指そうと思った。TVで流れているアニメやドラマとかでもバラムマスターを主題にしたものが多くそれに影響されたとも言える。


 だがしかし、バラムマスターの証である神人端末(バラム・ギア)だがこれがまた高いのだ。端末によって違うが1000万以上はザラにする。当然子供の小遣いで買える値段ではない。

 育成学校や神人使いの団体に所属すれば貸出や分割払いなどが使えるらしいのだがこちらも現在子供故にアウト。

 さすが”最初から始める”だよ。”チュートリアルデータを引き継いで始める”だったら端末持って異世界転移とかなってたのかね。


 そんなわけで大きくなるまで待つか~と諦めかけていた俺だが、ひょんなことから端末を手に入れることになった。俺が5歳の時にじいちゃんが亡くなったのだがじいちゃんがバラムマスターだったから端末のお下がりが回ってきたのだ。両親は俺がバラムマスターになることにものすごく反対した。なんと俺の父親もバラムマスターだったらしく怪我が元で引退したらしい。


「理想の嫁を探すためにバラムマスターになったけど理想の嫁はいつもすぐそばに居てくれたんだ」


 とまぁ平然と息子の前でいちゃつける元幼なじみ現夫婦の2人をあの手この手でなんとか説得しそこから各所を巡って登録、講習、登録、また講習。何でこんなに手続き多いの? と嫌になるほどの数をこなしつつじいちゃんの端末を子供に合わせてフォーマットしてもらったりと。あっという間に時は流れて言った。


 そんでリニューアルした端末を受け取ったのが俺の6歳の誕生日。両親としては講習攻めに投げ出すと思われていたみたい。ふっ…勝ったな!


 ギア、正式名称神人端末(バラム・ギア)は首からかけるペンダントのような形をしている。

 早速首にかけて「ギア・オープン」と唱えるとよく見るスマホゲームのホームメニューが空中に投影された。前世では見なかった技術だがこの世界では比較的ありふれた技術だ。


 そんな前世では触れられなかった技術にはしゃいでいる俺に父親はもう一つプレゼントを用意していてくれた。「これで神人召喚をしてごらん」とポンとあるものを手渡された。神石である。


 俺は仮想画面を操作し神人召喚の魔法陣を表示した。そしてその上に神石を載せ召喚の祝詞を唱える。この祝詞はどのようなものでもいいらしく神石に自身の生体エネルギーを注ぎ込めばそれでいいらしい。

 生体エネルギー操作はさんざ講習で叩き込まれましたよ、ええ。


 祝詞を唱え終わるタイミングで神石に生体エネルギーを注ぎ込む。すると魔法陣が黄金に輝き出し神力の奔流が溢れ出す。しばらくするとそれは更に色を変え虹色に……ってこれは来ちゃう? アルティメット、レジェンド、ゴッドレアクラス来ちゃう?


 吹き荒れる神力が収まると出てきたのはただの石だった。え~なになに? 子宝の宝珠? なんだろうと考えていると父親に宝珠を取り上げられた。


 父親によると神人と結婚し子供を作るためにはこの子宝の宝珠が必要なのだそうだ。父親の知り合いがこれをどうしても探しているとのことで譲ってくれと息子に向かって土下座までする親の前で俺は全く違うことを考えていた。


――結婚システムあんのかよ!


 そりゃ父親がバラムマスターになった動機も頷けるわ。自分の育て上げた理想の嫁と結ばれる。男のロマンやね。

 結局これに見合う対価を後で払ってもらうことで俺は子宝の宝珠を父親に譲渡した。ちなみにこの出来事から三ヶ月後に両親と仲の良かった隣の夫婦に子供ができたと知らされたのは……少々穿ち過ぎた考えだろうか?

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