09.エロエルフ、ギルドデビューす!
冒険者ギルドらしき建物の前に佇む俺を、道行く人々がジロジロと眺めてくる。
俺、不審人物と思われてるわけじゃないよね?
いや、多分、俺が可愛すぎるからだろう。
美しさは罪。
なんで早く入らないのかって言うと、ちょっと怖いからだ。
よくあるじゃん。ギルドに入った途端に初心者が先輩に絡まれるとかさ。
俺は小心者なんだよ。
冒険者ギルドは2階建ての建物だった。
他の建物と違ってちょっと武骨って言うか、間口が大きいわりに飾りとかほとんどない。いかにも事務所って感じの味気なさだ。
入り口は西部劇で見るような、外からも内からも開けられるスイングドアになっていた。開放的なその入り口から、そーっと中の雰囲気を伺う。
だけど明かりがついていないのか、室内は薄暗くて様子はよく分からなかった。
数人くらいは人がいる気配がする。
「じょーちゃん、入るのか? 入らないのか?」
後ろから声をかけられて、ビクッと振り向く。
そこには、いかにもな髭もじゃのドワーフが立っていた。背は低いが身体つきはガッシリとしていて、肩に斧を担いでいる。
エルフとドワーフって仲悪かったりするんだっけ? この世界ではどうなんだろう。
「えーっと、お先にどうぞ?」
愛想笑いを浮かべて俺が横に避けると、ドワーフのおっさんは大きな口を開けてガッハッハッと笑った。
「変なおなごじゃな。では、先に行かせていただくわい」
そう言いながら扉を押し開ける直前に、自然な動きで俺の尻をポンと叩いてギルドに入って行く。
あまりにもナチュラルな動作だったので、一瞬、何が行われたのか理解できなかった。
え? 今、俺、セクハラされた?
こんのオッサンはぁ~~!
とんだエロじじいじゃねーか!!
「このクソじじい! 俺のケツは安くねぇぞ!」
バンッと扉を開け放って、中に入って行ったドワーフに向かって怒鳴る。
このエロエルフたんの身体は俺だけのもんだ!
他の男に触らせるために作ったんじゃねぇ!
怒りのあまり怒声を上げたまま俺が立ち尽くしていると、押し開けた勢いでスイングドアがビヨーンッと戻ってくる。
それはちょうど、胸元にたわわに実っているデカメロンにガツンとぶち当たった。
「い、いってぇ~~……」
胸を押さえて、その場にしゃがみ込む。
なんと! この宝玉には、こんな欠点が……。
呆気にとられて静まり返るギルド会館の中は、しばらくしてドワッハッハッ!と爆笑の渦に包まれた。
「本当におかしなおなごじゃな」
顔を上げると、さっきのドワーフだけじゃなく会館中の人が笑いながら俺を見ていた。
ギルドの職員らしき受付の人なんかも口を押さえてクスクスと笑っている。
ハッ。つい頭に血が上って怒鳴っちまったけど、いきなり俺、目立ってる?!
顔を赤くして立ち上がろうとする。
「どーもすみません。お騒がせして……」
そのまま、またしても俺は頭上で揺れていたスイングドアへと、したたかに頭頂部をぶつけた。
ぐ……ぉ……い、痛いなんてもんじゃない。
くっそおぉ!! こんな危険なドア、早く廃れるがいいッ!
「ううう~……っ」
頭を押さえて蹲る俺を見て、笑い声がさらに大きくなる。
こうして俺のギルドデビューは伝説となった。
ヾ(怒`Д´*)ノムキー!




