44.エロエルフとオーク、街へ行く!
とにかくこの件で理解したが、タローを森には置いておけない。
街に連れて帰るんだ。
モンスターを街に入れていいのかとか、そんな倫理観なんてクソくらえだ。
できるとかできないとかじゃなくて、俺はやるんだ!
ひとまず他のモンスターが乱入してくると厄介なので、俺たちはそそくさと蜘蛛の巣を後にした。
殺しもせずにタローを巣に連れ帰ったってことは、あの蜘蛛、卵でも植えつけるつもりだったのかな! 怖い、こわい!
いまさらにガクブル震えながら森を早足で歩く。
俺の足がいつもの洞窟へと向かっていないことに気づき、タローは怪訝そうな顔を向けてきた。
「ママと一緒に街に行こっか? タロちゃんは街に行くのは嫌?」
手を差し出して聞くと、タローはしばらく考え込んだ。
俺たちが魔物を怖がるように、モンスターも敵対している人間が怖いんだろうか?
そんな風に心配していると、見る見る内にタローは表情をクシャッと崩した。
多分笑ってるんだろうけど、その顔、ほんと怖いから。
「いく」
言葉も上手く出てこない様子で、コクコクと頷いて俺の手に飛びついてくる。俺はその手をギュッと握り返した。
手を繋いでブラブラと森を歩く。
途中、スライムに出会ったらプチッと潰しておいた。
出費ばっかりでも困るから、ちょっとは稼いでおかないとな。
そう言えば俺ってレベル上がったみたいだけど、4レベルになったってことなのかな?
ギルドカード見てみるけど、数字がいきなり難しくなってよく分かんない。
気にせずカードを鞄にしまう。
森の端まで来たところで、俺はタローに自分のマントをすっぽり被せた。女物とは言え大きな大人用のマントに、タローの姿はほとんど隠れた。
服もちゃんと着せてるし、顔さえ見えなかったら人間の子供にしか見えないだろう。
「街に入って俺がいいって言うまで、絶対に喋っちゃダメだぞ」
よくよく言い聞かせると、タローは真剣な表情で頷いた。顔が見えないように深くフードを被せて、俯かせておく。
さぁ、門番さんたちに挑戦だ!
「この子とは森の中で出会ったんです。恐らく生まれつき顔が醜くて捨てられたのかも知れません。そんな子に顔を晒せと!?」
「いや、しかし、ティアさん……」
涙目でうるうると門番さんたちを見上げると、奴らはタジッとたじろいだ。
ここぞとばかりに真面目な顔をして、タローをギュムッと抱き寄せる。タローの顔がメロンにめり込んだ。
門番さんたちはゴクリと唾を飲んで、そこに視線を集中させた。
「私……信じてます。皆さんがそんな心ない人ではないって!」
結果、奴らはタローをろくに調べもせず、無罪放免になった。
ちょろいぜ!
俺はタローの分の入国料も払って滞在許可証と引き換えた。
「本当に皆さんって優しいですよね」
よいしょしてみたらデレデレと顔を溶解させていたので、何かあったらまた便宜を図ってくれるだろう。
「そんな。いたわしい子供を引き取ろうなんてティアさんに比べたら、俺たちなんて。タローちゃん、良かったら西門にまた遊びにおいでね!」
お兄さんたちに歓待されてお菓子までもらって、タローもご機嫌だ。
俺が喋るなと言った言いつけを守っているのか、無言でこっくりと頷いている。
言葉を発さない様子がまた哀れさを誘ったようで、門番さんたちはジワッと瞳を滲ませた。
騙されやすいのと、乳に注目し過ぎなのを抜かせば、ほんとにいい人たちなんだけどね。
俺たちは見送ってくれる門番さんたちに大きく手を振って、街へと足を踏み出した。




