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30.エロエルフとオーク、ご飯を食べる

 

 モンスターを助けるなんて何を考えているんだと怒る人もいるかも知れない。

 奴らは魔物で、人類の敵だ。

 大きくなればこいつも人間に害をなすかも知れない。


 でも今、怪我が治って嬉しそうに飛び跳ねている子供は、肌が緑色なだけで人間とまったく変わりなかった。

 腕を上げたり、背中を振り返ったり、身を屈めたり。身体のあちこちを確かめている。


 こう言うところを見ると、やっぱりゲームじゃないんだなって感じる。


「良かったな、怪我が治って? 親とはぐれたのか?」

「ぐ……お?」


 こちらの言葉がなんとなく分かるのか、オークはパクパクと口を開け閉めした。

 言いたいことはあるのに言葉が出てこないって感じだ。

 ぐおぐお言いながら、身振り手振りで俺に何か伝えてくる。

 多分、ありがとうとかそう言うことだろう。


「いいっていいって。回復薬で治らないような怪我じゃなくて良かったよ」


 俺の腰丈くらいまでしかない頭をグリグリと撫でる。


「親はどうしたんだ、親は? 分かる? パパか、ママは?」


 オークにも分かりやすいように、大きく口を開けてはっきりと言葉にする。

 子供は、ちょっと考えるように首を傾げた。

 それから俺の腰に腕を回して、ギュッと抱きついてくる。


「マ、マ……!」


 ちょ、ちょっと待って。俺がママ認定?

 ちくしょー、彼女もいたことないのに、童貞のまま子供ができちまった!!


 とか、余裕ぶっこいてる場合じゃねぇ!


「お、俺は違うよ! 俺、いや、私はティア。近くの街に住む、冒険者のエルフだよ」


 慌ててわちゃわちゃと両手を振る。

 子供は足元から俺を見上げて、瞳にジワっと涙を溜めた。


「ママ……ちがう……?」


 うう。こういうのやりづらいぜ。


「ティアだよ、ティア」

「ママ、ママ……!」


 いくら言い聞かせても子供は俺に強くしがみついて、ブンブンと首を振った。

 もしかして……さっきの傷って、他のモンスターにやられたってだけじゃなくて、同族にリンチでもされて追い出されたんだろうか。


 オークにとって、弱い子供は必要ないのかも知れない。そう感じるほど、子供はガリガリに痩せて小さかった。


「もー、しょうがないなー」


 身長の関係で俺の下っ腹付近に顔を押しつける格好になってるオークの肩を持って、ベリッと剥がす。


「ご飯にしよっか?」

「ぐお?」


 ちょこんと首を傾けて俺を見上げてくる。顔はいかついけど可愛いな!

 森の中で食事は危険過ぎるので、少し開けたところを探して子供と手を繋いでブラブラと歩く。


 風の精霊が、森に湧く泉の場所を教えてくれた。

 ここなら、風や水、土の精霊もいるから、危険があったらすぐに教えてくれるだろう。

 いい具合に根っこが出てる、木の側に腰を下ろす。


「いいか、見てろよ~?」


 俺は腰のウェストポーチからどんどんと食べ物を取り出した。

 今でもアツアツに湯気を上げているできたてのお弁当。

 タレが溢れんばかりの肉の串。

 搾りたての果物のジュース。


「ほら、いっぱい食べろ、食べろ」


 子供は茶色い瞳をまん丸に見開いた。

 害はないと教えるつもりで、俺も弁当を手に取って、一口、頬張る。


 途端に子供は弁当を引っ掴んで、手掴みでガツガツとご飯を口の中に消えさせた。

 フォークを渡す時間もなかった。


 飲み込むのも待てない様子で、まだ口の中に前のものが残っているのに、ギュウギュウに詰め込もうとする。

 それだけお腹が減っていたのだろう。

 もう何日、食べていなかったのか。


 俺は膝に肘をついて、目を細めて子供の様子を眺めていた。

 あんまりにもがっつくものだから、喉にご飯が詰まってむせている。


「ゲホ……ゴホ!」

「も~、急にたくさん口に入れるからだよ」


 笑いながら、はい、とジュースを手渡すと、子供は蓋を開けてグイと一気に飲み干した。

 プハーッと息をついて、それからいまさらに自分の飲んだ飲み物が甘かったことに驚いたのか、凄い表情でコップを見下ろしている。


「お……お……!」


 両手でコップを握りしめて頭上に掲げ、最後の一滴までも舐めとろうとしている子供の姿に、アハハと声を上げて笑ってしまう。


「そんなことしなくても、まだまだたくさんあるよ」


 もういっこ、ジュースを取り出したら飛びついて飲み始めた。

 子供なんてどの世界でも万国共通だ。

 甘いものが大好きなんだ。


「まったく、こんなにベタベタにして」


 ご飯やジュースを顔のあちこちにつけまくっているので、ポーチから布を出して口元を拭いてやる。

 あ、これ、さっき買った俺のパンツだわ。

 まぁ、まだ履いてない新品だからいっか。


( ・∀・)_▽ ヽ(>ω<。)

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