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29.エロエルフ、オークと出会う


 それから3体のスライムを倒した時点で、いきなりチャラララ~ッと明るい音楽が俺の周囲に鳴り響いた。


≪レベルが上がりました!≫


 機械音のような、女性のような声が響く。

 って、ゲームなんかーい!


 ほとんど現実のように見せかけといて、たまにゲーム仕様になるのやめて欲しいわ~。

 この世界の人たちは急にどこからともなく声が聞こえてくるのを疑問に思わないんだろうか?

 思わないんだろうな。

 生まれた時からそうなら疑いもしないに違いない。


 ともかく、めでたくレベルアップだ!

 鞄からギルドカードを取り出して、右下の窪みをポチッと長押しする。

 ふっふっふ。

 レベルのところが分かりやすくⅠからⅡになってくださっている。


 他の数値は言葉が読めないので詳細は分からないが、初期値では、


<筋力10、体力10、知力120、精神25、器用15、敏捷20>


 という感じだった。

 そう、俺は初期ボーナスを全て知力につぎ込んだのだ……。


 ゲーマーなら分かるだろうが、知力と精神の違いは簡単だ。

 知力は最大MPや魔法での攻撃力など、魔法を使う時に関わってくる数値だ。

 反対に精神は魔法をかけられた時の抵抗値などに影響する。


 俺はレベル1にしてはあほみたいに知力があるが、体力なんかは子供にも負ける数値だ。

 種族ボーナスで精神と敏捷がちょっと高い。


 ゲームならレベルアップごとに自分でポイントを自由に振り分けられるはずなのだが、こっちでは勝手に上がった感じがある。


 レベル60まで経験値2倍なので、本来であればスライムを6匹倒せばレベルアップってくらいか。

 簡単すぎるな。

 レベル1だった俺がびっくりされるはずだ。


 この調子だったらトントン拍子にレベルが上がりそうだな。

 なんて、調子に乗ってないで、この時点で満足して街に帰ってりゃ良かったんだ。


「スライムちゃん、ど~こかな~。俺のスライムちゃ~ん」


 木々をすり抜け、下草をかき分けて森の中を探していると、不意に精霊たちがビクッと身構えた。


 え、なに? 怖い。

 俺、地雷踏んじゃった?


 精霊たちの視線の方向に目を向けると、そこには緑色の肌をした、人型の何かが立っていた。

 いきなりスライムから人型のモンスターにランクアップかよ!

 大きさからしてコボルトかゴブリンだろうか?


 やっばーい! 一目散に逃げた方がいいのか?

 ジリッと後ずさりながら観察するが、相手の様子がなんだかおかしい。


 まず、モンスターにしては背が小さい。

 幼稚園児くらいの背丈だ。

 身体もガリガリだし、着ているものも貧弱だ。


 何よりそいつはあちこちに怪我をしていて、額や腕に血らしき緑色の体液が流れていた。

 怪我のせいでろくに動かないらしき右手を庇って、ビクビクと俺を見上げている。


 俺たちはしばし、動きを止めて見つめ合った。


 全身、緑色の肌。豚鼻っぽい顔立ち。髪はちょろちょろっと申し訳程度に頭頂部に生えていて、どんぐりみたいに茶色い瞳がオドオドと俺を見つめている。


 分かった。こいつ、多分、オークの子供だわ。

 群れからはぐれて他のモンスターにやられたんだろうか?

 もしかしたら身体も小さく、傷ついているこいつ相手なら、2レベルの俺でも勝てるかも知れない。


 だけど、どうしても俺はそいつを攻撃することができなかった。

 ビクビクと怯えて俺を映す瞳を見ている内に、モンスターも人間も同じに思えてしまったからだ。


「しょーがないなー」


 構えを解いて、少しでも温厚に見えるようにニッコリと微笑む。

 種族が違えば表情を読み取ることはできないかも知れないが、俺に敵意がなくなったことくらいは分かるはずだ。

 俺が一歩、足を踏み出すと、オークの子供はビクッと身体を震わせた。


「いいんだよ。怖がらなくていい。俺たちは戦わなくっていいんだ」


 言い聞かせながらゆっくりと近寄って行く。

 言葉が分かるのか、子供は不安そうながらも逃げずに俺を待っていた。

 もしかしたら攻撃されたら敵わないと諦めて、動くこともできなくなっていたのかも知れない。

 俺は鞄から取り出した瓶を子供に差し出した。


「飲んで。回復薬だよ」


 子供は固まってしまって、身動ぎすらしない。ジッと俺を見上げている。

 瓶の蓋を開けて、無理矢理に手に握らせる。


 俺も同じものを取り出して、牛乳を一気飲みするように腰に手を当てて、ゴキュゴキュッと回復薬を飲み干した。

 スーッと身体の痛みや疲労感が消えていく感覚がする。


「ねっ、こうやって飲むんだよ!」


 俺が空瓶を片手に笑いかけると、その子は意を決したように恐る恐る、瓶を口に近づけた。

 中身をグイと傾ける。


 自分の身体から瞬く間に傷が消えていくのを、オークの子供は不思議そうに眺めていた。

 モンスターにも回復薬効いて良かったー。毒扱いとかだったら、悲惨なことになってたな。


 怪我が治って元気になったからだろう。子供はその場でピョンピョンと飛び跳ねた。

 こうしてると、やっぱりモンスターとか人間とか関係なく可愛いな。

 俺はしばらく目を細めて子供の様子を見守った。


( * ॑˘ ॑* ) ⁾⁾

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