26.エロエルフ、覚醒す!
アイテム欄は読み飛ばして!
購入した品物をアイテムバッグにしまって身軽になり、装備品を身につけた俺はしごくご満悦になっていた。
フィオが用意してくれた姿見に自分を映してポーズをつける。
けれどなんだろう? 精霊石を加工したサークレットを額に装着した瞬間から自分の周りに、翼を持った半透明の生物のようなものが飛んでいるように見える。
ここは店の中なのにな。
トンボみたいに透き通った翼の持ち主だ。
虫じゃなよな。多分。妖精……かな。
でも少しもジッとしておらずピュンピュン飛び回っている上に、身体が空気に溶けるような半透明なので姿形が判別しづらい。
なんだか今なら、あのそよ風しか出せなかった風魔法も強化されているような気がする。
「ちょっと魔法を試してもいいですかね?」
「店の中でー? 大丈夫なの?」
「まぁ、自分、レベル1ですし。室内ですし」
締め切った場所では風の精霊の力は弱まるはずだ。
まぁまぁとフィオを説得して、棚の少ない方向に向かって手を向ける。
『ブリージング!』
ゴワッと巻き起こった風は俺の服や髪を巻き上げ、前方へと走り去った。
バタバタと棚から品物を撒き散らしながら。
「あ、あれー?」
「こらー! 壊れてたら弁償してもらうからね!」
やっべ。室内でこの威力とか凄くね?
俺、まだレベル1よ?
もしかして覚醒しちゃった?
そう言えば知能に全振りしたんだっけ。魔力はたくさんあるんだ!
「このバカエルフー!」
ガッツポーズする俺の後頭部を、椅子を使って飛び上がったフィオが思いっきり叩いてきた。
痛い。
それから片づけを手伝わされて結構な時間が経ってしまった。
俺の頭上で風の精霊さんがケタケタと、お腹を抱えて笑っているような気がした。
こうしてはいられない。
せっかく魔法が使えるようになったんだ。
森へ行こう。行って、リベンジするのだ。そう、あの半透明のゲル状の物体に!
1人で街の外に出るのを止められているのは無視して、俺はギルドに駆け戻った。さすがにサークレットは見つかったら金持ちだってバレそうで怖いので鞄にしまった。
「ハァハァ……なにか私にもできそうな依頼とかないですかね!?」
受付で聞くと、お姉さんに嫌そうな顔をされた。
「おつかい……も難しそうですしね。薬草の採取なんかどうです? これなら常時募集してて無期限なので、クエスト失敗にはならないです」
失敗する前提なのかよ。
くっそぉ。今に見てろよ。昨日までの俺とは違うってとこ、見せつけてやんよ!
「じゃあ、それでお願いします」
薬草を見せてもらって、ついでに模写したイラストまでくれた。
薬草はコミュの森にはそこそこ生えているそうだ。
採取自体は難しくないが、森にはモンスターが生息していて襲われる可能性がある。
本来であれば駆け出しの冒険者だったら、2~3人で行うクエストのようだ。
1人が採取している間、他の奴が見張りをするってわけだな。
「お1人で大丈夫なんですか?」
でも、レベル1だから誰もパーティ組んでくれないんでしょう?
「危なくなったら走って帰って来ます!」
俺の宣言に、お姉さんは安心したような、呆れたような顔を見せた。
心配しなくても俺には新兵器があるんですって。
クエストを受注して、ウキウキと冒険者ギルドから旅立つ。
森でお腹が減ったらいけないからな。
屋台でお弁当とか果物とかジュースを買う。
マジックバッグの中では時も止まるので、お弁当はアツアツのまま、ジュースは冷え冷えのままだ。
目についた美味しそうなものを適当にいくつか購入しておいた。
焼いた串の肉とか、おかず系も買っておく。
タレが香ばしそうな匂いがして美味しそうだな。じゅるり。
保存用と思ったのに、つい歩きながら一本食べてしまった。
口についたタレを腕で拭う。
硬貨を入れた袋とかは1種類に換算されるらしい。小さいものは纏めて入れろってことだな。便利だ。
今のおおまかな中身は、白金貨6枚。
小銭の袋。
お弁当数個。
肉少々。
果物。
ジュース。
下着類。
護符10セット。
魔晶石8コ。
回復薬と魔剤数本。
精霊石のサークレット。
って感じだ。
またまだ空きはいっぱいある。
だけど、なんか中身がごちゃごちゃだな。
後で整理しよ。
ちなみに魔剤と魔晶石の違いだが、魔剤は減ったMPを回復する飲み薬で、魔晶石はバッテリーみたいな感じだ。
魔剤は一回こっきりの使い捨てだが、魔晶石は魔力を溜めればまた使える。充電式の乾電池のようなもんだな。
ま、使っていけばおいおい分かるだろう。
コミュの森と言えば、昨日、俺がログインした時に飛ばされたところだ。
だったら西門から行けば早いな。
準備を終えた俺は意気揚々と西門に向かって歩みを進めた。
ワク(灬ºωº灬)テカ




