25.エロエルフ、さらに散財す!
ごそごそと店の奥を探ってフィオが取り出して来たのは鞄だった。
俺が腰につけているウェストポーチにそっくりだ。
「これがねー、高すぎて売れ残ってたんだけど、ティアにはぴったりだと思う!」
何の変哲も無い小さな革の鞄をちょこんとカウンターの上に置かれて、俺は首を傾げる。
「ポーチなら持ってるから、どっちかって言うと大きい鞄が欲しいんだけど?」
「どーせ、そんなもの重すぎてティアには担げないでしょ。よーく見ててよ?」
フィオは鞄の蓋を開いて中を見せてくれる。覗き込むと、なんだか不思議な感覚がした。
鞄の中には何もない。
内布とか、そんなものすらない。
視界にジャミング効果がかかったみたいな感じだ。
「これは百種類の物を収納できるマジックバッグです」
インベントリだ!
この世界に来てからメニューウィンドウが開かないからないのかと思ってたけど、マジックアイテムとして購入できるとは!
「空間魔法を利用してるから、それこそ何でも入るよ。試しにそこのアイテム入れてみて?」
棚にあった、何に使うか分からない四角いオルゴールみたいなものを突っ込んでみる。
オルゴールはヒュッと鞄の中に消えた。
「まだ所有者登録してないから、誰にでも取り出せるよ。出してみて?」
手を鞄の中に突っ込むと、脳裏に『思い出のオルゴール』という言葉が浮かんできた。
これがアイテムの名前か。
多分、ひとつしか入れてないのでひとつだけ表示されたんだろう。
品物を手で持てた感触がしたので引き抜くと、普通にさっき入れたオルゴールがそのまま出てきた。
「じゃあ、今度はティアがバッグを持っててね」
両手でバッグを持たされ、その中にアイテムをいくつか詰められる。
しかしバッグの重さはピクリとも増えなかった。
これ、便利過ぎない?
「数は百種類×百個までって制限があるし、このバッグの入り口をくぐらないほど大きい物は入れられない。あと、生きてるものも入らないって欠点はあるんだけど~」
こちらの気持ちを分かっていて、小人はニヤニヤと打算的な笑みを浮かべながら欠点ばかりあげつらう。
俺はゴクリと唾を飲んだ。
「お……おいくらですか?」
「白金貨2枚! と言いたいところだけど。これだけ纏めてお買い上げしてくれるんだから、白金貨1枚と金貨5枚でいいよぉ~?」
サークレットとアイテムバッグ、その他、もろもろのお金を含めて白金貨3枚を渡し、お釣りを受け取る。
うう。1千万円なんてかなり大金に思えたけど、もう半分近くなくなってしまった。
あと6枚だけだ。大切な生活費だ。これからは大事に使おう。
「毎度あり~」
小人はホクホク顔で商品をカウンターに並べていった。
まずはアイテムバッグを俺だけが使えるように所有者登録する。やり方は簡単だ。ギルドカードみたいに血を一滴、垂らすだけだった。
それから腰のウェストポーチと取り替える。
中身を移し替えると、今までとほとんど違いがなかった。これがマジックアイテムだって気づく人はほぼいないだろう。
靴もいい感じだ。最初はダボッとしてるけど、脇の紐を締めたら、俺の足の形にシュッと縮まってくれる。
これで足がむくんだ時にもブーツで悪戦苦闘することもない。
防御力と素早さも上乗せされる優れものだ。
もともとのウェストポーチとブーツはフィオが引き取ってくれた。
市場で買ったものもポイポーイとバッグに放り込む。
そして、ブレスレットと、サークレットだ。
身代わりのブレスレットは量産品なので中堅どころの冒険者だったらおおよそは持ってるって話だった。
多分、ドワーフは持ってなかったんだろうな。
でもサークレットは違う。美しい一品ものだ。白銀で作られた繊細で華麗な土台の真ん中に、エメラルドグリーンに輝く精霊石が取りつけられている。
魔法がかかっていて、戦闘中にどんなに動いても外れることはないそうだ。
これにも所有者登録をした。
フィオに手伝ってもらって、サークレットを頭にはめる。額にひんやりと宝石の冷たさが気持ちいい。
「どうかな?」
「うんうん。最初から美人だったけど、すっごく冒険者らしくなってカッコいいよ!」
この小人の言うことなんかお世辞だって分かってるけど、それでも褒められて悪い気はしない。
(*´ω`*)<モレカワイイ




