13.エロエルフ、歓談す!
ぷぅと頰を膨らませているミミにヘコヘコ頭を下げまくって、なんとか機嫌を直してもらう。
やっとのことで怒りを解いたミミはパーティの皆さんを紹介してくれた。
「この3人がボクのパーティメンバーだよ!」
ミミが手を差し向ける先では、3人の冒険者たちがワイン樽に板を貼ったような円形の机を取り囲んでいた。彼らは思い思いな視線を俺に向けてくる。
「いいものを拝ませてもらったぞ」
ドワーフのオッサンは笑顔で親指を立ててきたが、サクッと無視する。
「改めて、仲間が迷惑をかけてすまなかったな。あとで良く言って聞かせる。私はこのパーティ、"銀翼の飛龍"のリーダーをしているフリードと言う」
めちゃくちゃガタイのいいおっさんが、にっかりと笑って手を差し出してくる。ライオンのたてがみみたいな髪型のおっさんだ。
軽く握り返すとゴツゴツと硬くて、剣の握りだこなんかあって、いかにも働く冒険者って感じの手だった。
羨ましい。俺も男のアバターにすべきだったかなー。
っていうか、さらっと流されてツッコめなかったけど、冒険者ってやっぱりカッコいいパーティ名をつけるんだ!?
俺は万年厨二病だから、そういうの大好きだ!
俺も早く誰かとパーティを組みたいな。
「こちらこそ、同じようなことをミミさんにしてしまって……」
「まったくだよ!」
まだミミはプリプリと怒っているようだ。
「その他のメンバーが、メイヴィスとブレンドンだ」
メイヴィスさんはおっとりとした感じの僧侶っぽい女性だ。頭に白いベールみたいなものを被っている。俺にペコリと頭を下げてくれた。
ゆったりした服を着ているので分かりづらいが、着痩せするタイプと見た。
なかなか立派そうなものを持っていそうな予感がする。
そしてブレンドンはドワーフの名前みたいだが、再度無視。
「ここが空いているから座るとええ」
ドワーフは自分の隣の席をバンバンッと手で叩いて示している。だが俺は見なかった振りをして向かいに腰を下ろした。
苦笑しながらフリードさんがその席に座る。
「ティアくんと言ったか? まずは冒険者登録おめでとう。しかし、よく1レベルで冒険者になろうと思ったな?」
フリードさんは筋肉馬鹿的な外見とは裏腹に常識人のようだ。
さすがリーダーなだけあるな。
俺なんかよりよっぽど大人だ。
例の部分に視線が釘づけなのは、男だから仕方ない。
「だって、冒険者って憧れるでしょう! モンスター退治に、ダンジョン探索! 難しいクエストの達成! そういう心躍る冒険がしたいんです!」
俺が身を乗り出して目を輝かせながら語ると皆は、あー、と気まずそうに視線を逸らした。
「ティアちゃん。冒険者って、そんなにいいもんでもないんだよ」
「いや、ミミ。俺たちにだってこういう時があったはずだ」
フリードさんがゆっくりと首を振る。
「君の冒険が楽しいものになるといいな。しかし、1レベルでは仲間を見つけるのもなかなか難しいだろうな?」
そんな風に言われると落ち込んでくる。俺は影を背負って、ズーンと俯いた。
慌ててフリードさんたちが慰めてくれる。
「いや、これから少しずつ鍛えればいいじゃないか」
「そうだよ。ティアちゃんは何が得意なの?」
聞かれて、俺は致命的な問題を思い出した。
そうだ。俺、今んところ攻撃力がまるでないんだった。
「精霊魔法が使えるはずなんですが、使い方が分からないんですよね。どなたか教えていただける人をご存知ないですか?」
俺の言葉に、皆が固まる。魔法使いなのに魔法の使い方も知らないって言うのも驚きだったみたいだが、押し黙っているのは別に理由があるみたいだ。
今まで黙っていたメイヴィスさんがにっこり笑って、パンと手を打ち鳴らす。
「まぁー、ではお詫びを兼ねてブレンが教えてあげればいいわ」
なんだか聞きたくない名前が聞こえたような気がする。
「誰が、なんですって?」
「う、うむ、実はウチのパーティの魔法使いは、こいつでな」
言いづらそうにフリードさんが親指でドワーフを指さす。
えええーっ! どう見てもこのオッサン、斧とか持ってて戦士じゃん!
「ガッハッハッ! 魔法戦士ってやつじゃな!」
魔法戦士のイメージがガラガラと音を立てて崩れていく。
こんなオッサンより、ミミかメイヴィスさんに手取り足取り教えて欲しかったわ。
俺は涙ながらに机に突っ伏した。
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