12.エロエルフよ、それはアウトだ!
黒猫の獣人の女の子ミミは俺の肩越しにカードを覗いて、そこに浮かび上がった文字を読んでくれる。
「ボクも文字は苦手なんだけどさぁ。称号はないね? スキルは精霊魔法だけみたい」
まさか! そんな!
こういうゲームの中に入っちゃった系のやつには、大抵、チートがあるはずだ!
じゃなきゃ、俺なんてまともに戦えるわけない。
呆然とする俺の耳に、続けてミミの言葉が聞こえてくる。
「あ、でも、まだ備考欄に何か書いてあるね?」
「それだー!」
俺が突然、大声を上げたので、ミミはビクッと身体を跳ね上げた。
尻尾の先が毛羽立っている。
「なんて……なんて書いてあるんです!?」
勢いよく俺に詰め寄られて、ミミは恐々とカードに目を落とす。
「なんか良く分かんないんだけど……初回登録キャンペーン期間中です……?」
カードに書いてあるらしき言葉を自信なさそうに、ミミがそのまま読み上げてくれた。
ゲームかよっ。いや、ここ、もともとゲームの世界だったわ。
初回登録キャンペーンってのはあれだ。レベル60までは経験値2倍ってやつだ。
発売されてしばらく経つこのゲームに、ご新規さんを呼び込むために先日、始まった優遇措置だ。
この経験値2倍と、ウェストポーチに入っていたアイテム類、それに種族ごとの初期装備が新規登録ボーナスだ。
実はアバターや世界観が精巧過ぎるだけで、ここは単なるEternal Sinfonìaの中なのか?
ゲームが現実になってしまったなんて、俺の勘違いなんだろうか?
混乱して、うーん、とカードを見下ろしながら思案する。
若干、罪悪感はあるが、確かめる方法はある。
ええい。こうなったら腹をくくるしかあるまい。
「ミミさん……」
ちょいちょいっと手招きすると、ミミは無防備にも俺の前にやってきた。
「ん? なになに?」
「ごめんなさぁ~い!」
俺はできるだけ可愛らしく聞こえるように声を張り上げながら、ミミの胸元で形のいいふくらみを主張している2つのグレープフルーツを、むんずと掴んだ。
「はにゃにゃにゃにゃ~~ッ!」
叫び声を上げてミミは胸を押さえ、床に蹲る。
尊い犠牲だった。
俺は君の胸の感触を決して忘れない。
手応えを刻み込むために、掌をギュッと握り込む。
「ティ、ティ、ティ、ティアちゃん! なんでこんなことしたのかなっ!?」
床から見上げてくるミミは涙目だ。
俺だとてなんの意味もなくこんな破廉恥な真似をしたのではない。
「やはり、な……これから導き出される答えはひとつ……!」
「ティアちゃん? ねぇ、ちゃんと聞いてるのかな、ティアちゃん!」
触りたかったか、触りたくなかったかで言うと、それは紳士諸君なら語らなくても分かってくれるだろう。
だが、いくら女の姿とは言え、初対面の女性の胸を揉むのはただの痴女だ。
俺にだってちゃんと目的があった。
VRゲームは現実そっくりな世界だが、やはり企業が提供しているゲームなので、いくつかの禁止項目がある。
その一つが性的接触だ。
子供もログインするEternal Sinfonìaにおいて、性的表現はかなり厳しい。
卑猥な事をすれば即垢バン……と言うか、まず、やろうとしてもできない。謎の力に阻まれて、胸とかあそこには触れないはずなのだ。
それがミミの○っぱいを揉めたと言うことは、即ち、これはやはり現実なのである!
猫耳っ娘のおっ○いを堪能できてよかったよーな、帰れなくて困ったよーな……。
俺はキリッと眉を寄せてミミを見下ろした。
「つまりこれは夢ではなく、現実なのです!」
「なに当たり前のこと言ってるのさ、バカー!」
立ち上がったミミに、耳元で思い切り怒鳴られる。
宥めて機嫌を直してもらうのは大変だった。
( ・`ω・´)キリッ




