11.エロエルフ、冒険者と知り合う!
カードを渡された後、受付嬢にギルドの注意点を説明される。
仕事はきちんと最後まで責任を持ちましょうとか、みんなと仲良くしましょうとか、自然を大事にとか、そう言う感じだ。
俺、多分、まるきり幼稚園児だと思われてるな……。
話が終わったくらいに、急に後ろから声をかけられた。
「さっきはウチのおっさんがごめんねぇ」
おおおー! ケモミミの女の子だ!
褐色の肌に、耳の下辺りで切り揃えられてサラッと流れるストレートの黒髪。頭上には猫のような耳がピコピコと小刻みに動いている。
腰の下に細長い尻尾も見える。
じゅ、獣人。獣人だ!
亜人種だ!
俺は内心の逸る気持ちを抑えて、膝の上にキュッと握った掌を置くとドキドキと彼女を眺めた。
女の子は見たところ16、7歳くらい。
スレンダーな身体つきなのでそんなに大きくはないが、出るところは出て、引っ込むところはキュッと引っ込んでいるナイスバディだ。
大きさはもちろん例の部分の話である。
「私ですか?」
パチクリと目を瞬かせて答えると、彼女は苦笑しながら肩越しに親指で後方を示した。
「あのおっさんだよ、おっさん」
彼女の指さす方向には件のドワーフが椅子に座っていて、ガハハハとのんきな笑いを見せていた。
せっかく冒険者登録が無事に終わって上昇していた気分が、ドワーフのおっさんの能天気な顔を見た途端にだだ下がりになる。
俺が顔をしかめたからだろう。獣人の女の子は気まずそうにしゅんと眉を下げた。
「不本意ながらも、あのおっさん、ウチのパーティメンバーなんだよ。迷惑かけてごめんね」
女の子は片手で俺を拝んでくる。俺はもちろん、彼女にニッコリと微笑みを向けた。
「大丈夫です。あなたが謝ることじゃないですよ……でもいつか、あのオッサンは殺す」
急に声を低めて真顔で呟いた俺に、女の子はアハハハッと明るい笑い声を立てた。
「本当に面白い子だねー。ボクはミミリア。ミミって呼んでいいよ。キミは?」
「ティアって言います」
ミミは、よろしくねー、と言いながら片手を差し出してきた。
この俺が……童貞拗らせて三十ウン年の俺が……こんなに可愛いケモミミっ娘と握手だと!?
エルフたん万歳!
女のアバターにしてよかった。
俺は心で咽び泣きながら、スカートでゴシゴシと手を拭いて差し出した。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
ミミの掌はあったかくって、柔らかかった。
この手、しばらく洗いたくないな。
「ティアちゃんは、この街についたばかりなの?」
「そうなんです! 冒険者になりたくて来たんです!」
作ったばかりのギルドカードを両手で持って見せびらかす。
ミミはちょっと小首を傾げて、俺のカードを神妙な顔つきで眺めた。
「少し話が聞こえちゃったんだけど、ホントに1レベルなんだね?」
また言われちゃったよ。誰でも1レベルから始めるんじゃないのー?
そんなにおかしなことかな?
「うんまぁ、普通、成人してギルドに登録する頃には誰でもレベルが上がってるしね? レベル1の冒険者なんて世界初じゃないかな? 伝説レベルだよね」
1日に2つも伝説を刻む俺。
ここから始まるんだな、俺のレジェンドが。
「大丈夫です。きっとすぐに強くなります。チートとか持ってるはずですから」
根拠のない自信を見せる俺に、ミミは興味津々に俺へと身体を寄せてカードを覗き込んできた。
「なになに、チートって? 何か特殊スキルとか、称号とか持ってるのかな?」
「えっと……?」
「カードのここを押すと、詳細が表示されるんだよ」
右下にちょっぴり三角形の凹みがあるところを教えてもらう。
親指で長押しすると、今まで非表示だった部分に幾つか文字が浮かび上がってきた。
でも俺、この世界の文字、読めないんだよね。
「な、なんて書いてあるのか読めません……」
「見てもいーい?」
「お願いします」
ミミは顔が触れそうなほど俺にくっついて、カードを読んでくれる。
はわわー。なんかいい匂いがするよ。
このまま昇天しそうだ。
あ、今、ちょっと当たった。
O(:3 )~




