表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/60

10.エロエルフ、冒険者登録する!


「見かけない顔だと思ったら、冒険者志願の方だったんですね。こちらへどうぞ」


 ギルドの職員らしき女性が俺を受付へ案内してくれる。

 ギルド中の視線が俺に突き刺さっているので、いたたまれない。

 俺はできるだけ身を縮めて彼女の後について行った。


 受付のお姉さんは目をほんのり細めて、俺を可哀想な子みたいな視線で見てきた。

 とんだ羞恥プレイだ。


「では、この紙に必要事項をお書きください」

「あ、あの、私、字は……」


 さっき素で怒鳴っちゃったので、いまさらロールプレイしても仕方ないのだが可愛い子ぶりっ子して俯く。

 お姉さんは優しく微笑んだ。


「大丈夫ですよ。字が書けない方はこちらで代筆いたしますので」


 もはや幼稚園児扱いである。

 お姉さんに聞かれるままに答えていく。


「種族はエルフ。得意分野は精霊魔法。お名前はティアさん。性別は女性、と……それでレベルは? え? レベル1!?」


 驚いたお姉さんの声がギルド中に響き渡る。

 俺はただでさえも注目を集めているのだ。またしても皆の視線が突き刺さった。


「ど、どんな生活をなさっていたらレベル1のままでいられるんです?」


 お姉さんの視線が痛い。

 この世界では農民なんかも狩りをしたり、モンスター退治に出向いたりするので、成人する頃には誰でも最低5レベルくらいはあるらしい。

 お姉さんは、途端にやる気を失った。


「1レベルの方に紹介できる仕事なんてないですよ」

「そっ、そこをなんとか!」


 冒険者ギルドに登録できなければ、身分証もないままどころか金も預けられない。


「私、ずっと冒険者に憧れてたんです! お願いします! なんでもしますので!!」


 受付に手をついて、コメツキバッタみたいにヘコヘコと何度も頭を下げる。

 デカメロンがギュムッと俺とカウンターの間で潰れる。


「ちょっと、やめてくださいよ。これじゃ私が苛めてるみたいじゃないですか。分かりました、登録はいたしますので!」


 お姉さんは渋々、用紙の項目を埋めた後、ギルドカードを出してきた。

 金属のような硬質な紙のような、不思議な感触のカードだ。プラスチックではない。


 登録料の銀貨1枚をお姉さんに手渡す。

 この登録料はカードの値段もだが、冷やかしでの登録を防ぐって意味もあるみたいだ。


 登録だけで1万円って普通の人間には悪ふざけで払える値段じゃない。

 俺は袋にジャラジャラとコインを持ち過ぎているせいで、ちょっと金銭感覚狂いつつあるけど。


「では登録いたしますので少々お待ちください」


 受付嬢は小さな機械にカードを差して、ポチポチと何かを入力している。

 なんか年賀状を作る機械みたいな感じだ。


「では最後にここに血を一滴、垂らしてください」


 針を差し出されて、人さし指をチクッと刺される。

 機械の受け皿のようなところに血の滲む指先を押し当てると、そこから金色の魔法陣のような図柄が浮かび上がる。

 おおーっ、幻想的だ! やっとファンタジーの世界って感じだ!


 感動して見つめていると、魔法陣はうっすらと機械の中に消えていった。完全に光が消えるのを待って受付嬢はカードを機械から引き抜いた。


「本当に1レベルなんですね……」


 目を点にしてカードを眺めている。

 誰にだって初めてはあるのだ。それを乗り越えて人間は成長していくのだ。

 受付嬢の困惑顔とは違い、俺は手渡されたカードを手にしみじみと喜びを噛み締めていた。


 これで俺も晴れて冒険者だ!


 これは普通の冒険者にとっては小さな一歩かも知れないが、俺にとっては大きな一歩である。

 ニヤつきを隠せない。


「これで登録は終わりましたが、カードはなくさないでくださいね? 再発行手数料がかかりますよ?」


 あ、はい。気をつけます。


\(^o^)/ヤッター

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ