準備期間 その1
神条葉月が異世界にやってきてから一週間が経過した。
その間、葉月は何をしていたかというと・・・。
「流石は王立の図書館ね。知りたいことは大体調べられるわ。」
まだ王国に留まっていた。
「あのぅ・・・、ハヅキ様。こちらに来てからもう一週間も経ちますが、何かしないのでしょうか・・・?」
身長が2メートルはあるであろうペティが葉月に話しかけてくる。
「ペティさん。私はこの世界のことについて全くと言っていいほどわかりません。そんな情報もまともにない中で行動を起こすなんて滑稽の極みですよ?」
「まあ・・・確かにその通りなのですが・・・。」
「ましてや、魔法なんて私のいた世界ではなかったのですから、念入りに調べないと足元をすくわれてしまいますからね。」
そういって魔法理論の本を読み始める。
葉月はこの一週間ずっと王国内に留まっていた。
それは先ほど言っていた通りこの世界の情報が全くないからである。
情報もないまま外に出るなど、裸で冒険に出かけるのと同じことだといえよう。
しかし・・・
「昨日は王国にある様々なお菓子の食べ歩き、一昨日は家具や食器を見て回るだけなどとそれらは情報収集ではないのでしょうか・・・?」
葉月はピクリと体を震わせる。
そう、この一週間のうち、半分ほど遊んでいた。
葉月とて一人の女の子なので、可愛いといったものや異世界の珍しいものに目移りしてしまい遊んでいたのだ。
しかし、それは理由があった。
「違いますよ、ペティさん。食べ物や街並みを見ることでその街がどのようなものかというのがわかるではありませんか。それにそれだけでは、ありませんし。」
「と、いいますと・・・?」
葉月が口を開きかけた時、頭にバンダナをまいた大柄な男がこちらへ走ってくる。
「お嬢さん、頼まれていたものが完成しましたぜ。」
そういうと葉月は立ち上がり、
「ありがとうございます。では、ペティさんには実際にみていただきましょう」
そういって葉月とペティは鍛冶屋に訪れる。
工房には熱がこもっており、もうすぐ冬だというのに長袖を着ているととても暑い。
「それで、ハヅキ様はここに何の御用があったのでしょう?」
「それはちょっと作ってもらいたいものがあったからここに頼んだのです。」
そういうと、先ほどの大柄な男が布に包まれた何かを持ってくる。大きさは本と同じくらいかちょっと大きいといった感じだった。葉月が布を広げると中には変な形の鉄の塊があった。
「これは・・・?」
ペティがそう聞くと葉月は少し笑って答えを返す。
「これは銃と呼ばれるもので、本来は鉄の玉を火薬を使って飛ばして戦う道具なのですが、これはちょっと変えています。」
そういうと、大柄な男が胸を張って説明をし始める。
「これは鉄の玉の代わりに魔法を飛ばすのさ!これなら魔法が使えない奴でも魔法が使って戦えるってわけさ!」
「まだ試作品なので、成功するかはわかりませんが。」
そういって銃を手に取り、外へ出る。
「これには、何の魔法が込められているのですか?」
「それには火の魔法が込められているぜ。」
なるほど、と頷き、上空に銃口を向けて、引き金をひく。
すると、銃は大きな音を立てて暴発してしまった。
その衝撃で葉月はその場に尻もちをついてしまう。
「ハヅキ様、大丈夫ですか!?」
ペティが慌てて葉月に近寄ってくる。
「・・・これでは、まだ戦闘に使うのは無理みたいですね・・・。」
ため息を吐きながら、空を見上げてぽつりと呟いた。
読んで頂きありがとうございます。雄明です。
前話を投稿してから時間がたってしまいましたが、自分のペースで続けられたらなと思います。
よろしければ次回もよろしくお願いします。




