新しい勇者(?)の誕生
今回ちょっと長くなっています。
頭がぼんやりする。
意識がはっきりとしない。
私は一体なにをしていたんだっけ・・・。
意識が混濁する中、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
最初に目に入ってきたのは、豪華な装飾が施されたシャンデリアだった。
いつもとは違う天井に何かと思い、ばね仕掛けの人形のように勢いよく体を起こす。
体を起こすといつもの自分の部屋とは違い、宝石がついたタンスやテーブル、丁寧な仕事がされているレースのカーテン、暖炉など如何にも19世紀の貴族の部屋という場所だった。
その部屋を見回して自分が今どこにいるのか思い出す。
「・・・夢じゃなかったんだ・・・。」
寝ていたベッドから身を起こし、立ち上がる。
すると、部屋の扉が開いた。
そこに立っていたのは、メイド服を着た女性と
「・・・お目覚めになりましたか。」
白いローブを着た男だった。
「貴方はあの場所にいた・・・」
「私の名前はペティ・ウートと申します。」
ペティ・ウートと名乗った男は被っていたフードを外す。
その顔は線の細い顔立ちをしているが、体躯は2メートルといったところだろうか。
「色々聞きたいことがあると思いますので、お話ししたいのですが、大丈夫でしょうか?」
「あ・・・問題ありません・・・。」
「では、まずはこの世界について説明させていただきます。」
ペティの話によると、この世界はアゼトーガ大陸、ニラト大陸、ノデス大陸の3つに分かれており、今いるのが一番大陸面積が大きいというアゼトーガ大陸だそうだ。で、そのアゼトーガ大陸に新たな『魔王』が生まれたらしい。『魔王』というのは、現存種の突然変異や災害、果てには怨恨や怨念といった負の感情から
生まれた強大な力を持ったものを『魔王』と呼ぶらしい。
その新しく生まれた『魔王』が好き勝手暴れており、村や町が数ヵ所滅ぼされているとのこと。討伐隊を向かわせるも逆に返り討ちにあい、帰ってきた兵士は10分の1にも満たなかったという。
「過去の文献を漁ると、1000年前に異世界からやってきた戦士が魔王を倒したということが記されていたのです。」
「そこで、異世界の私を呼んだってわけですか・・・。」
「その通りです。」
葉月はため息をついて答える。
「確かに私はあちらの世界では、どちらかといえば強い部類に入るのでしょうが、この世界では通用しないでしょう。私はあなた方と違って魔法が・・・」
そこまでいって、ふと思い出す。
「そういえば、クォルさんはどこにいるんですか?」
その言葉を聞いた瞬間、ペティはひどく動揺し、困惑した表情を浮かべる。
数秒の後、意を決した顔で告げた。
「クォル・・・様は・・・殺されました・・・・・!」
その言葉を聞いた瞬間、葉月の時が止まった。
クォルがいないというは、元の世界に帰る手段がなくなったということだ。
つまり、もう母や父に、学校の友人達に、そして最愛の人である彼に、もう会えないということなのだ。
いつであろうと自分に優しい笑みを向けていた彼にもう会えない。
そう考えると、気が狂いそうだった。
「・・・他に、私を元の世界に帰せる人はいないのですか?」
一縷の望みにかけて聞いてみたが、
「いいえ・・・。帰せる方法を知っているのは、クォル様だけです・・・。」
予想通りの答えが返ってきた。
絶望に沈んでいると、ふとある考えを思いつく。
「そうだ、そうですよ・・・。」
「だ、大丈夫ですか・・・?」
「帰れないのならば、彼を彼をこっちに呼べばいいじゃないですか♪」
「え?」
ペティは葉月の言葉に対し、素っ頓狂な声を上げる。
「ペティさん、こちらに私と同じ世界の人を呼ぶことは可能ですか?」
「え、あ、か、可能ですが・・・」
「では、魔王を倒すので、倒したら私の頼んだ人を呼んでいただきますが、やってくれますよね?」
抱えきれぬ不安があったが、ここは頷かないととんでもないことになると、ペティの本能が語っていた。
読んで頂きありがとうございます。雄明です。
最近、何かと忙しくなってきているので、月に1,2回のペースで出せたらなと思います。
次回も読んで頂ければ幸いです。




