復興
しかし妙に街が明るい。
街に入る前にフードを元のように被ったノラは思った。
王国軍が早くもやってきたのだろう。
’’勇者’’は認可制である。
国が認めたかぎり、見捨てた街でも’’勇者落ち’’のしでかしたことでは来るほかない。
「王国もご苦労なこった」
嫌味交じりにノラは一人ごちってあたりを見渡した。
どうやら彼の張った結界魔法の解除に困難しているようだ。
他人のふり他人のふり・・・
ノラは気づかれないように村長にいる家へと赴き、馬車3台に乗るだけの食料をとりあえず調達してきたこと、復興には今以上に協力することを告げた。
村長の顔は皺くちゃで相変わらず表情は読み取れなかったが、やはり少しばかり悲しそうであった。
それから3か月。
街の復興は早かった。
みるみるうちに焼けた建物や道が直っていき、ノラのおかげで食料や資金にも困らなかったらしい。
そして一つ訃報と言えば村長が亡くなったことだ。
あの夜以来、村長は孫に継がせたらしく、おそらくは自分の死期を悟ってのあの表情だったのだろう。
孫は魔王を大いに喜んで迎えてくれた。
おじいちゃん子だったらしい男性の努力もあって半年後には元の街へと戻っていた。
そして一方あの勇者は街が復興してから再びくると言い残してさっていき、先日その約束通り自分のパーティーを引き連れてやってきた。
他言無用。その約束も守っていてくれたようだ。
しかし「魔王は強きを砕き、弱きを助ける」なんて変な噂が風に乗ってきた。
もしかすると感のいい子供には彼の正体がわかったのかもしれない。
そして言わずともわかるかもしれないが、やはり魔王は勇者にあっさり負けた。
人間の子供の成長ははやい。
半年ぶりにみた勇者の若者は背も伸びたくましくなってこれからの成長が楽しみだ、ともノラは思った。
そうしてもう一つ悲しいのか嬉しいのかわからない知らせがある。
街が復興したとある日、再び彼女がノラの前へとやってきた。
そして何をするかと思えばあげたマントをこちらへと投げつけてきたのだ。
「返すわ!そのかわり私と正々堂々と戦って負けなさい!」
そう言い放った。
どうやらティーの働く店は無事だったようで、街の復興の見込みが立ったころから営業を再開したらしい。
ノラは短い嘆息をつく。
「いいだろう、人間の小娘よ」
俺はいつまでこの茶番に付き合わねばならないのだろう
そう、ノラはほほ笑んだ。
とりあえず1章というかプロローグみたいなのはここで終わりです!読んでくださった方がいらっしゃいましたらありがとうございます!
色々とまだまだ明かせてないことが多いのですがこれから書いていきたいと思っているのでよければよんでくれたらうれしいです!
一応ファンタジーラブコメなのでここからが本編という形になります。