第2話 脱獄
道北管区長が国外に脱獄します
2005年11月30日
日本国北海道美唄市
旧蝦夷人民共和国政治犯収容所
現日本国北海道美唄刑務所
「・・・・・・」
彼の名は、柊昇一
元蝦夷人民共和国道北管区長である
蝦夷人民共和国反逆行為と日本への戦争に対する戦犯で、懲役130年、事実上の無期懲役を言い渡された
他の共謀者は
首都管区長は、逃走せずに捕まったことで懲役100年になった 確実に無期懲役には変わりないが
道東管区長は、911テロの関与について今も裁判中で
苫小牧管区長は、1月前に東京拘置所で処刑された
管区長クラス以下の裁判は、今も行われており、4年以内にけりが付くとされた
樺太管区長と樺太管区軍はお咎め無し
樺太管区軍は7割がそのまま、第2師団に編入され、2割が予備軍 残りは除隊や国境警備隊に移動した
「・・・・・・」
刑務所前
「突撃」
「何だ、貴様等、なっ」
刑務所の入り口を警備していた門衛は、突然、バスーカ砲を持った武装集団に腰を抜かした
入口は砲撃でぶち壊され、武装集団は乗り込んだ
門衛は、慌てて札幌矯正管区に通報
矯正管区は、武装集団に法務省や警察では対応できないとして、第7師団に出動を要請
第7師団は、留萌と丘珠から歩兵連隊を鎮圧のため出動
「・・・・・・」
「柊先生」
「陽炎か」
「助けにきました」
「何人で来た」
「此処だけで30人、脱出協力者は、234人です」
「解った。ありがとう」
その後、大規模な銃撃戦が行われた結果
看守4人が死亡 25人が重軽傷
数名の囚人が巻き添えで死亡と言う最悪の結果だった
翌日 12月1日 東京
「結果、柊の脱獄を許し、6人の囚人が死亡、刑務官29名が死傷、大問題だぞ」
「さすがに、バスーカ砲での襲撃は考慮できなかったので」
「法務大臣の罷免は確実だぞ」
「はい」
日本海、ロシア海域
「っで、どこに行く計画だ」
「朝鮮人民共和国です」
「あそこか、それと大丈夫なんだろうな」
「ええ、ロシア極東海軍には話は付けています。日本もロシア海域にいる我々には手を出せませんよ」
「確かに」
「もうすぐ、朝鮮人民共和国海域にはいります」
「っで、元山に上陸する予定か」
「朝鮮人民共和国首脳が出迎えます。待遇は、人民解放空軍の1個師団保有を認めるそうです」
「道北管区長の実績からか」
「質は劣りますが、数は多いです」
「だろうな」
12月8日
日本国 東京都
「朝鮮人民共和国に亡命したと」
「先程、朝鮮人民共和国の第8軍団長に柊昇一が就任したと」
「このままだと、第二次朝鮮戦争に成りかねませんね」
「助けますか」
「どちらを」
「総理、朝鮮人民共和国に付くつもりですか」
「そうではない」
「じゃあ」
「出来る限り協力したくない」
「要するに、軍事費に割きたくないと言うことですか」
「ああ、本気で泣きついてきたり、米国に圧力かけられたらやるしかないがな」
「多分、泣き付かれて参戦になりそうですね」
「しかし、この日に就任とは、当てつけなのかな」
「確かに、64年前の今日、日本が半世紀以上国家分断になる原因の始まりとなった、真珠湾攻撃の日でしたからね」
マスコミも柊の脱獄と亡命を取り上げた
国民の怒りは、法務大臣と北海道知事に向けられた
道知事は、ショックのあまり病に倒れ 2月で息を引き取り
法務大臣も野党の未来維新党と民主共和党からの批判の嵐で大臣辞任どころか議員辞職まで決めたのだった
続く