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「海か、山か……どっちがいいかね」

「さて……おお! 結構集まったな」


 魔犬オルトロスを倒した俺。

 チワワと同じ顔をしていた生き物を倒し、殺すのにはちょっと抵抗感があったが……

 最悪こっちが殺されていたのだ、かわいい顔をしているがあいつらは悪魔、そう考えることにした。

 で倒した報酬を集めていたわけだが……


「一、ニの……全部で十一枚か」


 最初に切り倒したのが一体。

 続いて襲ってきたのを切り倒したのが三体。

 ルクス=ウエーブで倒したのが六体。

 で最後に倒した群れのボスで一体。

 合計十一枚だ。

 で青熊のも合わせると十二枚。


「こっちのボスのは……ちょっと大きいな、これがルクス銅貨かな?」


 他のは前に手に入れた青熊と同じ小ルクス銅貨だろう。

 大きさ同じだし。

 ゲームではお馴染みだったけどやっぱりボスクラスは報酬がおいしいものだ。

 っていうかあの青熊は群れていたオルトロスと銅貨一枚しか差がないなのか……

 今度からは群れているモンスターを狙ってほうが効率が良さそうだ。

 とりあえず今はポケットにしまっておくとして。


「そうだ、さっき戦ったオルトロスのデータって持っているのか?」

【犬型モンスター「オルトロス」のデータを表示しますか?】


 やっぱり持っていたか。


「ああ、表示してくれ」


 ちょうどいい感じの岩があったので、それに腰掛けてデータを見てみることにした。


【オルトロス】

【Eランク魔物。】

【頭部を二つもつ魔犬。】

【犬型モンスターであるため群れて行動することが多い。】

【火炎を吐き出す能力を持つ凶暴な個体もいるが、大人しい個体なら他の犬型モンスターと同じように調教し飼いならすことが可能。】


 へぇ……飼いならすことも出来るのか。

 いいねぇ、チワワ。

 でもここにいたのは火炎を吐き出していたから……凶暴な個体ってことになるのか。

 大人しい個体に会えるんだろうか?

 出会えたら仲間にしたいものだ。

 犬、飼ったことないけど。


 でも思ったほど疲れてないな……

 この剣には疲労回復の効果もあるのだろうか。


 今は便利だが副作用とかがありそうで、後が怖い。




「ん、この獣道はここまでか」


 少し休憩したあと剣をスリーブモードにしてまた獣道を歩き続けた。

 獣道の先には――


「川か……この道は川辺に出るためのものだったんだな」


 川、ということは水源があることになる。

 遠くの方を見てみれば確かに立派な山がある。

 あれがこの川の水源なのだろう。


「でもあの山に人がいるとは思えないしなぁ」


 山の周りには鬱蒼と茂る木々がある。

 町や村があるとは考えにくい。

 でももしかしたらあるかもしれない。


「あとは海か……?」


 川辺を下っていけば恐らく海へ行くことが出来るだろう。

 海へ行ければ港町にたどり着けるかもしれない。


「でもどれくらい歩けば海にたどり着けるか分からないしなぁ」


 地図などがない以上、どうにも判断できない。

 判断するには情報が足りない。


「海か、山か……どっちがいいかね」


 ルクス硬貨を使うというのはどうだろう?

 限度はあるそうだがなんでも願いを叶えてくれるのなら、ちょっとした情報くらいなら……いやいや! 駄目だ駄目!


 このコインは元の世界に戻るのに必要で重要な物だ。

 なるべく使いたくない。

 それに食事はこれに頼ることになりそうである以上、なるべく使いたくない。

 無駄遣いは避けるべき。


 だけど……情報は命に直結する。

 スマホでインターネットを使えないのが本当に痛い。

 いや、使えたところで異世界の情報なんて得られないだろうけど。


 情報は命に直結する。

 よく聞く言葉だが本当にそうだ。

 この状況になったからこそ、身にしみる。


「ケチらず使ってみるか……」


 ポケットから取り出した一枚の小ルクス銅貨。

 それを握って強く願い始める。

 

「この辺り一体に俺を助けてくれる人はいるのか? 教えてくれ……いや、教えて下さい!」


 手の中の小ルクス銅貨が輝きだした!

 情報量にもよるんだろうがなにかを教えてくれでもいいんだな、この硬貨は。

 そっと手を広げる。


 天啓のように俺の頭に声が響く。

 優しい女性の声だ。


<この魔大陸にあなたを助けてくれる人や町及び村はありません――>


 あ、そうなんだ……

 役目を終えた小ルクス銅貨は光の粒子になって消えていった。

 と、いうかここは魔大陸っていうのか……

 なんだよ魔大陸って人類未踏の地って感じがするぞ、大丈夫なのかこれ。


 っていうか! もうちょっと考えて質問するべきだったか!?

 うう……だが嘆いていても前に進まない。


「……歩くか」


 この魔大陸に人はいない、そういうことらしい。

 ならば……


「一人で頑張るしかないよな?」


 大丈夫だ。

 人間、一人ぼっちでも案外なんとかなるものだ。

 俺の高校時代とかそうだったし。

 それがまた戻ってきた。

 それだけのことだ。


 ぜ、ぜんぜん平気だし! 平気だったし!


 駄目だな、一人しかいないとひとりごとが増える。

 はたから見ればただの怪しい人だぞ俺。


「とりあえず海を目指してみよう、この魔大陸に人はいなくても他の大陸なら人がいるかもしれない」


 まさかこの魔大陸しか大陸がない、とかそんな世界ではあるまい。

 魔大陸、なんて名前があるってことはそう呼んでいる人々がいるってことだからな。

 この世界の人間は天空に城を作ってそこで暮らしてるって可能性もあるけど……

 バル……いや、止めておこう。


 現在のルクス銅貨は小ルクス銅貨十一枚とルクス銅貨一枚。

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