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「とりあえずこの獣道を進んで行くか」

 スキルシステムの正体が課金システムだった。

 しばらくはスキルシステムは使えそうにないし、今あるスキルで何とか頑張っていくしかあるまい。

 ……そう考えるとアプリケーション「オートパイロット」には頭が上がらないな。

 こいつが無かったら、死んでたかもしれん。


「そういえば……地図が駄目なら索敵アプリとかはないのか?」


 生命反応をキャッチ! とか出来たら人里とかも見つけやすいと思うのだが。

 余計な戦闘も避けられるし。


【索敵の機能を持つアプリケーションは存在しません。】

【スキル「気配感知」は存在します。】

【気配感知を取得しますか?】


 どうせ金が掛かるんだろ?

 知ってるよ。


「いい、どうせポイントが足りませんとか表示されるんだろ?」

【…………】


 おい、図星だからって黙るな。


 だが気配感知は便利そうだ。

 お金に余裕が出来たら手に入れてみようか。

 この剣、何故か重さを感じないから持ち運ぶのは苦痛じゃないからいいが……

 どうにも大きいから邪魔だ。




 さっき気づいたけどこの剣、俺を傷つけないようになっているんだな。

 刀身や刃の部分を触れたりしてるが、まったく怪我をしていない。


「所有者は傷つけないようになっているのか?」

【当剣は所有者(ユーザー)を傷つけない安全設計となっております。】

「なるほどね。 ……じゃあ小さくなれない?」

【縮小機能を使用しますか?】

【縮小機能はスキルではありません。】


 お、小さくなれるのか。

 ……最初から使っておけば良かった。


「じゃあ小さくなってくれ」

【了解しました。】

【縮小機能を起動します。】


 縮小機能とやらで小さくなる剣。

 おお小さい……ペンダントぐらいの大きさだ。


【縮小機能を起動中です。】

【縮小機能を終了する場合はペンダント化した当剣を強く握るか、バトルモード起動と音声入力してください。】


 そんな文字が空中に表示されている。

 凄いなこんなに小さくなっても空中に画面を表示出来るのか。

 っていうか本当にペンダントなんだな。

 紐があってこれで首から吊り下げることが出来るみたいだ。


 首に吊り下げてみる。

 相変わらず画面が常時表示されている。


「やっぱりメインモードだと画面が大きすぎて先がよく見えないな……画面自体が半透明だからある程度は分かるけど」


 青く半透明なので画面の反対側もぼんやりとだが見ることが出来るが……


「画面が歩くのに邪魔なんだけど……どうすればいいんだ?」

【スリーブモード起動と音声入力してください。】

【画面が縮小します。】

【メインモード起動か、バトルモード起動と音声入力するとスリーブモードを終了します。】


 どれ……


「スリーブモード起動っと」


 おお?

 画面小さくなり、視界の端っこに四角い窓のように表示されている。


「今度は大きくしてみるか……メインモード起動っと」


【スリーブモードを終了しました。】

【メインモード起動。】

【メイン画面を表示します。】


 再度画面が大きくなる。

 これは便利だが……


「まるで俺の目だけに直接映し出されているみたいだな」


 網膜に直接……! なんて、そんな感じだ。


「知らず知らずの内に俺の体改造されてない? これ……」

【…………】


 剣は相変わらず重要そうな話になるとなにも語らない。

 もうお前は情報源としてはあてにしないよ……


「こんなところにずっといても進まない、とりあえずこの獣道を進んで行くしかないか」


 地図などが駄目なら目の前にあるこの獣道を進んで行くしかあるまい。

 この剣の管理者なんかもこの辺にいるかもしれないし……

 遭難したら動きまわらないほうがよいらしいが救助隊なんて期待出来ない以上、こっちが動くしかないだろう。


 革靴で長時間歩き回るのはかなり辛い……が、仕方ない。

 今は我慢だ。

 どこかで楽な靴を入手出来るといいのだが。

 しかも着てる服はリクルートスーツだしなぁ……戦うための服じゃねぇよこれ。

 スーツは男の戦闘服! ……とはいうが、絶対意味が違うしな。

 ふぅ……スニーカーが恋しい。




 ……ろくに舗装されていない道を歩くのなかなか骨が折れる。

 結構熱いし、汗も出てきた。

 持ってて良かったハンカチーフ。


 ふと腕時計を見ると時計は三時を示していた。

 これ……時間あってるのかなぁ。

 だいぶ歩いたが相変わらず森の中。

 リクルートスーツも枝に擦れたりして少し汚れてしまっている。


「ん? あれは……」


 ふと前を見ると犬にような生き物がいた。

 ような、というのもこの犬モドキ、頭が二つあるのだ。

 しかも一匹や二匹ではない、相当な数がいる。

 頭が二つある化け物でもイヌ科の動物であることは変わりないらしく、群れで行動しているようだった。


「ケルベロス……は三頭犬だから……二頭犬のオルトロスか」


 オルトロス(仮)はこちらに気づいたらしく、低く唸っている。

 ……襲ってはこないのか?

 さっきの熊はすぐに襲ってきたが。


 ちらりと剣を見る。

 やはりこのモンスターたちはこの剣を恐れているようだ。

 現に一歩近づいただけでオルトロス(仮)の群れはビクッ! と震え恐怖しているのが分かる。


「こいつらを倒せば……いやでも頭が二つあるけどチワワと同じ顔だしなぁ」


 この犬を殺すのにはなんというか、抵抗感というか罪悪感がある。

 ……避けられる戦いなら避けていいんじゃないだろうか。

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