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「レトリーの町にようこそ」

 レトリーの町。

 サーベラス家の領地の中にある町の一つ。


 ケル曰く、サーベラス領は魔大陸でも比較的北に位置するが、魔大陸全体が温暖な気候のためそこまで寒くはない。

 が……南側とちがって冬になればしっかり雪が振るため雪の処理で毎年大変なんだとか。

 ただ他の領地や魔帝都からすれば夏は程よく涼しい場所なので避暑地として人気なのだという。


 このレトリーの町もそんな避暑地としての観光で生活している町……らしい。

 らしいのだが。


「この化け物め! 斬っても突いても倒れねぇ!」

「ジェワ!」


 今はどうやらマッドゴーレム退治で忙しいようだ。


「この町にもモンスターかッ!」


 いつのまにやらスミレに交代していたケル。

 どうやら町の入口である検問所で戦闘になってしまっているようだ。

 番兵らしき人物たちが剣や槍を振り回しているが……あんまり効いて無さそう。


「またマッドゴーレムかやれやれ……光力、装着」


 俺の言葉と戦うという意思に反応がしてアオがペンダントから元の剣の姿に戻る。

 それとほぼ同時に剣から鎧が現れ……俺に自動的に装備される。


【スリーブモードを終了し、バトルモードに移行します】

【アプリケーション「オートパイロット」を起動】

【戦闘用アーマー「スノーホワイト」を展開しました】

【戦闘を開始します】

【やっちゃいましょう、所有者(ユーザー)




「お前たち下がっていろ! 私たちが倒す!」


 ケルの声を聞き驚くレトリーの町の門番たち。

 そりゃ領主の娘が来たんだもんな。


「あれは……!」

「アコ様だ!」

「アコ様が来てくださったぞ!」

「うちの領のお嬢様だ!」

「あの感じはスミレ様だぞ!」


 俺もケルに続きマッドゴーレムに近づく。

 今回のは……まだ分身していないな。


「ケル、俺が一撃で倒す」

「……任せた」


 今度はケチったりしない。

 一撃で……【ルクス=タワー】で確実に粉砕してやる。


【今のLPは6691……まぁ問題ないですね】

【ちゃちゃっと終わらせましょう】


「ジェワワ!」


 近づく俺に気づきファイティングポーズをとるマッドゴーレム。

 今度は油断しない。


「閃光よ、我らが敵を飲み込め、ルクス=タワー!」


 発動に必要な言葉をいうと同時に聖光剣を地面に突き刺す!

 聖光剣から流れた光力が地面を走り……マッドゴーレムを補足した!


「ジェワ? ジェ、ジェワワァアアア!」


 地面の下から光の柱が現れ……光がマッドゴーレムを包み込む!

 マッドゴーレムはルクス硬貨だけを残して、完全に消え去った……


【戦闘終了】

【人造モンスター「マッドゴーレム」の消滅を確認しました】

【アプリケーション「オートパイロット」を終了】

【戦闘用アーマー「スノーホワイト」の脚部以外を収納します】

【バトルモードを終了し、メインモードに移行します】

【お疲れ様でした】




「な、一撃だっただろ」

「ああ、信じていた……流石、聖光剣士だ」


 戦いが終わり、「スノーホワイト」を脱ぐ。

 これ、「スノーホワイト」いらなかったかな? 

 完全に無傷で倒せたぞ。

 まぁ万が一攻撃を喰らったら、そのときが怖いし……

 今のままでいいか。


「純人だ……」

「あいつ、魔族じゃないぞ……」

「何をしに来たんだ……」

「俺で毛皮でも作るつもりなんじゃ……」

「きっとそうに違いない!」


 おいおい。

 俺は密猟者かなにかか。


「違う! そんなことはない! レンは私たちの命の恩人だ、あまり失礼なことを言うな!」

「そ、そうなのか……?」

「俺たちも助けてくれたし……」

「あんまり悪いやつじゃないのかもしれねぇ」


 ケルの鶴の一声で一応は敵ではないと認識してくれたみたいだが……

 半信半疑のようだ。

 この世界の純人って……はぁ。


 本当にケルと一緒で良かった。

 俺一人だったら、捕まっているぞこれは。




「とりあえず……レトリーの町にようこそ。 旅の人、アコお嬢様」


 レトリーの町に入ることが出来た。

 ケルが一緒にいるから一応は信用してもらったようだが……


「……あれが、純人……」

「きっと何か企んでるに違いない……」

「アコお嬢様たちを騙したんだ……」


 この通り、なんか噂されてるし、ジロジロ見られている感覚がある。

 ……落ち着かねぇ。

 っていうか騙されていたのは俺の方だ。


 ただ、いい町ではある。

 石畳もあるし、町の景観も素晴らしい。

 中世ヨーロッパのような石でできた立派な街並み。

 やっぱり中世ヨーロッパがイメージとしては一番近いだろうか。

 魔術で灯るのであろう街灯や大きめの噴水もあるし、この魔大陸はなかなか文化レベルが高いようだ。


「すまない……本来はこんなんじゃないんだが……」

「いや、いいよ。 えっと純人って基本、ミサシって言う港町にしか魔大陸にはいないんだろう?」

「ああ、商売の関係で来た商人がたまに何人かいるくらいだ」


 要するにこのレトリーの町に純人が来るのは初めてってことになる。

 しかも正確には日本人……

 この反応も仕方ないか。


「この道をまっすぐ進めばケルの知り合いの店があるんだろ?」

「ああ、私たちが暮らしていた屋敷で前に働いてくれていた……爺だ、元気にしてるかな……」


 現在のルクス硬貨はルクス銀貨一枚、ルクス銅貨三枚、小ルクス銅貨五枚。

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