「ルクス硬貨?」
【検索モード起動……検索結果、アプリケーション「地図」の修復手段はありません。】
このルクス=ブレードにはいろいろ機能があるようなので試してみたが……
基本、エネルギーが足りませんとか、データが破損していますとかでまるで約に立たない。
この検索モードも同じようだ。
地図、ないしそれに近いデータは全て破損しているようだ。
で、修復手段もないと。
【検索を続行しますか? それとも新しいワード、データを入力し新たに検索しますか?】
他にもいろいろ質問してみるか。
俺は二枚のうちの一枚のコインを刀身にかざす。
こうすれば剣にデータが入力される。
確かさっきそう書いてあった。
「じゃあこのコインはなんだ? あの青い熊を倒したら出てきたみたいだが……」
【検索中……検索結果、もしかして「ルクス硬貨」】
「ルクス硬貨?」
このコインはルクス硬貨、と言うようだ。
「どこかのゲームにそんなお金の単位があったような」
【当剣の日本語翻訳機能は完全なものではありません、所有者が最も慣れ親しんだ言語で表示することを重視しており、】
【所有者が聞いたことがある単語の中で最も近い意味のものを表示しています。】
【そのため正確に言葉の意味を翻訳し、伝えることが出来ない場合があります。】
あれ? 怒ってる?
要するにお前に分かるように説明してるんだから、ごちゃごちゃ言うな! ってことらしい。
なんだか単語が中二ぽいのもそういうことなんだろうか。
「役立たずとか、ポンコツ、とか言っちゃったけ……ごめんな」
【当剣に感情、感傷、心などと呼ばれる機能はありません。】
心はない……ねぇ。
なんだかそんな気はしないのだが。
【ルクス硬貨に関するデータを表示しますか?】
「そうそう、ルクス硬貨だ、ルクス硬貨。 出してくれ」
そーいやルクス硬貨のことを聞きたかったんだよな。
なんだろうな、このコインは。
【ルクス硬貨】
【ルクス硬貨は光の女神ルクスが創造した硬貨です。】
【女神ルクスの力が込められたこの硬貨は人間の望みを叶える力があります。】
望みを叶える?
どっかのランプみたいに三回まで叶えてくれたりするのか?
【一つのルクス硬貨で一つの願いを叶えることが出来ます。】
【ルクス硬貨にはランクが存在し、低ランクのルクス硬貨では小さな望みしか叶えることが出来ません。】
流石に一回までのようだ。
しかし……ランクねぇ。
「このルクス硬貨のランクは?」
手に入れたルクス硬貨を剣の刀身にかざす。
【検索結果、小ルクス銅貨。】
【データを表示します。】
お、キタキタ。
【ルクス硬貨の中で最もランクが低いルクス硬貨。】
【精々ちょっとした料理を呼び出すぐらいしか出来ないだろう。】
最低ランクか……まあ初めて倒した敵のだし、そんなに期待してなかったけどさ。
ん?
もしかして……
「最高ランクのルクス硬貨なら日本に帰れるのか!?」
【計算中……大ルクス金貨十枚分が必要です。】
大ルクス金貨十枚?
「どれくらいの量だ? それは」
【ルクス硬貨の価値を表示します。】
【小ルクス銅貨十枚でルクス銅貨一枚。】
【ルクス銅貨百枚で小ルクス銀貨一枚。】
【小ルクス銀貨十枚でルクス銀貨一枚。】
【ルクス銀貨百枚で小ルクス金貨一枚。】
【小ルクス金貨十枚でルクス金貨一枚。】
【ルクス金貨十枚で大ルクス金貨一枚。】
【と、なります。】
えーと要するに……
あの青い熊五匹分で小が付かないルクス銅貨一枚分。
そのルクス銅貨をさらに百枚集めてようやく小ルクス銀貨一枚……
小ルクス銀貨一枚=青熊五百匹分……
そして帰還に必要な量はルクス金貨でならジャスト百枚……
無理だこれ。
この森に何年篭もれば大金貨十枚分になるんだ……
その前に熊が絶滅してしまう。
青いくせにレッドデータブックに載ってしまうな。
「どんなやつを倒しても小ルクス銅貨を一枚だけ落とすのか?」
【モンスターにもランクが存在し、そのランクに応じてドロップするルクス硬貨も変動します。】
モンスター、モンスターか。
まあ、口から凍気を出すヤツが真っ当な生き物なわけないよな。
絶滅危惧、じゃなくて絶滅させたほうがいいかもしれない。
……目標が出来てきたな。
とりあえずはモンスターを狩りまくってルクス硬貨を集めて、元の日本に帰る。
これだ、これで行こう。
まあ、この世界でかわいこちゃんに出会えたら……永住するかもしれないが。
だって日本に家族こそ置いてきてしまったけど、彼女とかいないし……
でも父親を一人にはさせたくないしなぁ……
まあ、その時になったら考えよう。
美人さんに会える保証なんてないし……
なんせ異世界だ。
美的感覚が全く違う可能性がある。
まあルクス硬貨にある女神ルクスらしき横顔は結構美人だけど。
「そういえば、お前はルクス=ブレードって言うよな……お前も女神ルクス製か?」
【データが破損しています。】
知ってた。




