「私は……私たちはどうなったんだ?」
ここは……
「スミレ、ローゼ、レモン」
その声は……父上!
どこに、どこにいるんですか!
「いつも見守っているよ……だから三人で頑張りなさい……」
父上ッ!
「ハッ!」
さっきのは……夢……か?
しかし……父上の夢をみるとは。
「私は……私たちはどうなったんだ?」
『スミレ!』
『……ようやく、起きた』
私が寝ていたのか……二人ともなにがあった?
『……ニンゲンの姿に、戻れたみたい』
……!
確かに、いつもより視界が高い。
ここは……さっき私たちが倒れた場所……?
『ねぇ……私たち、裸じゃない? それに、ほら』
え。
……本当だ。
なにも着ていない。
謎の黒い布がかかっているだけだ。
「な、な! なんで……」
それだけじゃない。
「お、起きたのか?」
『ご主人様』が目の前に、いる。
「ち、近寄るな!」
「うげっ!」
『ご主人様』を押し倒す。
近い近い! 近寄らないでくれ!
「なに言ってるのか全然分からない……ケル……なんだよな?」
こっちは相変わらずお前の言葉の意味だけ伝わるけどな。
なにを言っているのかさっぱり分からない。
本当にどこの出身なんだ、この男は。
……しかしどうしようか。
『正直に言うしかないんじゃないかな』
『……私も、そう、思う……』
それしかないか……
「そ、そうだ……私が、私たちが「ケル」とお前が呼んでいたあの魔犬だ」
大きく頷いてみた。
これで、意味だけは通じたはずだ。
「やっぱり、そうなのね……」
何故かオドオドしている。
なにかあったのか?
……まさか!
「見たのか? もしかして見たのか!? 私たちの体を!」
「だから早口になってもなにを言ってるのか分からないって!」
そうだった……
不便だな……
「俺の言っていることは、分かるのか?」
大きく頷く。
「君は……俺の敵か? 裏切るつもりか?」
そんなつもりはない!
大きく首を横に振って否定する。
「ちゃんと言葉の意味を理解している……ただ適当に頷いているわけじゃない……なんなんだ、これは」
こっちが聞きたい。
なんなんだこの不可思議現象は。
「え、なに翻訳する……? 仮ユーザー登録をして意味だけは伝わるようにすることが出来る……?」
な、なんだ?
また私たちには見えないなにか、か?
「とりあえず、この剣を触って!」
「わ、分かったから近寄るな!」
言われた通り、剣を触る。
なんでも刀身のところじゃないとダメらしいが……
「痛ッ!」
一瞬、痛みが……
『う、頭痛い……』
『……一瞬だけ頭痛が……』
いったいなにを……!?
「な、なんだ、これは……」
そこには――空中に文字が浮かび上がっていた。
【ようこそ! ケルさん。】
【ルクス=ブレード アナザーへ!】
これは一体……
「これは、この剣が出しているんだ」
「そうなのか?」
「そうそう、そうなんだ……本当に意味だけ伝わってくる」
あ、会話が成立している……
『よくわかないけど、問題解決?』
『……まだ分からない、様子見が必要だと思う……』
「それで……確認のためにもう一度聞くけど、ケル……なんだよな?」
「ああ……私が、私たちがケルだ」
「私、たち? もしかして……」
さて、長い話になるな。
覚悟はいいか、二人とも。
『全部正直に話すしかないよね』
『……それしか、ない……せっかく話せるようになったんだから……』
嫌われるかもしれない。
けど、これ以上嘘を重ねたく……もう彼を騙したくなかった。
「私たちのことから……話をしていいか? かなり長い話になるんだが……」
「構わない、話してくれ」
「まず、私たちの一族は……」




