「さて、行きますか!」
飯を食って寝て、夜にまた飯を食べてそのあと眠ると不思議なことに体の疲れがすっかりなくなっていた。
……不思議だ。
っていうかそもそも俺、結構体動かしているよね?
なんで筋肉痛にならないんだ?
やっぱり俺の体なんかいじられてない?
まぁ今はその方が都合がいいからそれでいいけどさ……
後が怖い。
「……また俺と戦ってくれるか?」
【所有者の剣として共に戦うのが当剣の使命です。】
【例え、何があっても。】
そうか。
「じゃ、よろしくな」
【…………】
何も語ろうとしないな。
ま、いいさ。
ゆっくり心を開かせればいい。
それだけだ。
「さて、行きますか!」
「ワン!」
元気にケルの右の頭が返事をした……
剣を引き抜き出発である。
「セイッ!」
また青熊だった。
この辺りには青熊、オルトロス、羊、マッドゴーレムぐらいしかいないのか?
「そろそろ違う敵と戦ってみたいね……具体的には稼ぎがいいやつ」
マッドゴーレムほどじゃなくていいから小が付かないルクス銅貨を落とすような敵はいないかなぁ……もちろん倒しやすいのがいい。
なんかいいのは都合よく現れないかな……っと。
【…………】
青熊を倒したあとしばらく歩き続けていると……
「……ゲシゲシ」「……ゲシゲシ」「……ゲシゲシ」
今度は蜘蛛か……
モンスターの分布が変わったのか?
ま、だいぶ歩いて来たしなぁ。
「よし……光力、装着」
【スリーブモードを終了し、バトルモードに移行します。】
【アプリケーション「オートパイロット」を起動。】
【戦闘用アーマー「スノーホワイト」を展開しました。】
【戦闘を開始します。】
「さてこの蜘蛛はいったいなんだ? 検索よろしく」
【検索中……】
もう何のモンスターか分からないまま戦う、だなんて愚行は繰り返さないぜ。
「さて……こいつらはなにをしてくるかな……おっと!」
蜘蛛たちが糸を飛ばして来た!
なんか嫌な予感がする……当然避ける!
「危なッ!」
ギリギリのところで避けられたが……
「糸からシューシュー音がなってるぞ……」
やべぇなおい。
この糸に捕まったら溶けるぞこれ。
【検索結果を表示しますか?】
どうしようか……
「バゥ、バゥ!」
こっちは任せろ! と言わんばかりに蜘蛛たちに吠えるケル。
よし、任せた!
「表示してくれ」
【表示します……】
【アシッドスパイダー】
【Dランク魔物。】
【酸を操る魔蜘蛛。】
【強い酸性の糸を作り出す魔の蜘蛛。】
【その糸に巻き込まれたら最後、骨も残らず溶けるだろう。】
【その体液全てが酸性なので返り血に注意!】
なるほどね。
鎧なしで斬ったら返り血でこっちが溶けると。
……危ねぇ!
鎧があってよかったぁ。
で、これがDランクか……
Bランクのマッドゴーレムよりかは弱いってことになるのか?
「この鎧って溶けないよな?」
【戦闘用アーマー「スノーホワイト」がDランクのモンスターの攻撃で破損することはありえません。】
そりゃBランクのマッドゴーレムの攻撃で壊れないんだから、そうだよな。
よし、じゃあ安心して倒せるな。
「待たせた! 俺が倒すからケルは下がってくれ!」
「ワン!」「バゥ!」「……!」
ケルを後ろに下げて蜘蛛に斬りかかる。
当然蜘蛛たちは糸で迎撃してくるが……
「効かないな!」
こっちはもうお前らのことを調べてあるんだ。
恐れるものはねぇ!
「パワースラッシュ!」
【パワースラッシュ】を発動させ三体のうちの一体を斬る!
そのまま逆袈裟で隣の蜘蛛も斬り裂く!
「ゲシ!?」
「終わりだ……」
ステップして場所を調整し……突く!
「ゲシシシシィィィイイイ!!!」
【戦闘終了。】
【蜘蛛型モンスター「アシッドスパイダー」の群れの全滅を確認しました。】
【アプリケーション「オートパイロット」を終了。】
【戦闘用アーマー「スノーホワイト」の脚部以外を収納します。】
【バトルモードを終了し、メインモードに移行します。】
【お疲れ様でした。】
おお、Dランクともなるとちゃんと小がつかないルクス銅貨を落とすんだな。
ふぅ……これで青熊分を含めて小ルクス銅貨が一枚とルクス銅貨が三枚か。
この調子ならちょっとご飯を贅沢してもしばらくは余裕そうだ。
頑張っていこう。
現在のルクス硬貨はルクス銀貨一枚とルクス銅貨三枚、小ルクス銅貨五枚。




