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「食べたい?」

「さてこの辺で昼飯にするか」


 腕時計を見れば十二時だ。

 手頃な大きさの岩があったのでそれに座ってお昼休憩としよう。

 ……この時計、大体で合わせたから正確である保証なんて全くないんだけどね。


 この魔大陸は今、ポカポカと暖かく過ごしやすい陽気だ。

 体感で日本の5月ぐらいじゃないかと考えている。


 で5月の日没は……確か六時半ごろだったはず。

 それに合わせて時計の時刻を変えてみたわけだが……


「でもこの異世界が地球の、しかも日本と全く同じ保証なんてないしなぁ……」


 ちなみに剣に時計機能は無かった。

 むしろ、【旅人の心得】なるスキルを紹介されたぐらいだ。

 だからあんまり金は使いたくないんだよッ!


「えーと今日の昼飯は……」

「クゥン?」


 ケルが俺を見つめる。

 こいつも凄いよなぁ……【ミラージュダッシュ】で走る俺にちゃんとついてきてるもん。

 やっぱりただの犬ではないんだな。

 まぁ頭が三つあるんだから当然だけど。


「とりあえず……ハンバーガーだな!」


 食器がなく、紙で出てくるであろうファストフードのハンバーガー。

 これならある程度の質で出てくるんじゃなかろうか。


「お前のは……ドックフードでいいかな?」

「ワフ?」


 ま、俺のを先に出そう。

 小ルクス銅貨を握り、イメージする。

 ハンバーガー、ハンバーガー、ハンバーガー……


「お、来た、光ったぞ」


 小ルクス銅貨が輝く、そっと手を広げハンバーガーを呼び出す。

 浮かび上がった小ルクス銅貨は……紙に包まれたハンバーガーになって俺の右手の上に落ちてきた。


「ん、なかなか美味そうだ、いただきま……」


 ふと俺の隣にいるケルが目に入った。

 右の頭が凄いヨダレ垂らしてる……そんなに食べたいのかな?


「食べたい?」


 手を伸ばし、ハンバーガーをケルに与えてみる。

 真ん中の頭は最初、理解できていないようだったが、自分の隣の頭がヨダレを垂らしてるのに気づいたらしく……


「バゥ!」


 吠えて戒めるが、右の頭はよだれを止められないようだ。

 ちなみに左の頭は呆れた表情をしてはいるが、視線はハンバーガーに釘付けだ。


 ……こいつら、カワイイな。


「ほら、いいからお食べ」


 ケルが食べやすいだろうと思い、地面に置いてみる。


 そしたら早かった。

 まず右の頭がハンバーガーに食らいつく、それに負けじと左の頭もハンバーガーに食らいつく!


 おお、良い食べっぷりだ。

 動物に餌付けする人の気持ちが分かる気がする……


 真ん中の頭は――しばらく迷ったあと、結局食らいついた。

 むしゃむしゃと美味しそうに食べている。


 ……犬にハンバーガーって食べさせて良かったっけ?

 まぁ地球の犬とは違うだろうし、大丈夫だろう、多分。

 それにこんなに喜んでいるしな!


 俺もハンバーガーを食べるか。


 ……うん、やっぱりテリヤキは偉大だ。

 この味……たまらん。

 アメリカではその昔このテリヤキソースが大ヒットしたというが……そうだよな、この美味しさが広まらないわけがない。

 香ばしい醤油……ああ、美味しい。

 ファストフードとはいえなかなかいいものを引き当てられたな。


 やっぱり紙しかないのがいいのか?

 うーむ……夕食は小ルクス銅貨二枚で食べて見よう。

 今日は銀貨が一枚手に入ったからな、ちょっとくらい贅沢してもいいだろう。

 それに実験も兼ねているし、うん。


「う……味が濃いから喉が乾いたな」


 どうしようか?

 ハンバーガーと言えばコーラだが……

 もったいない。


 川辺だから水はある……だが本当に川の水を飲んで大丈夫なんだろうか?

 お腹を壊さなければいいのだが……


「怖いし……水を出そう、体を壊したらシャレにならないもんな」

「ワフ?」


 医療機関なんてない、体を壊したら最悪死に至る。

 それだけは避けないと。

 ポケットの中にある小ルクス銅貨を取り出す。

 ……どうせなら大量に出そう。

 剣の中に収納してしまえばいいだけだしな。


「いっぱいの水……ペットボトルに入った水を! 何本もください……!」


 お、来たッ。

 良し、小ルクス銅貨よ水になるんだ!


「おわっ!」

「ワン!?」「バゥ!?」「……!!!」


 ……本当にいっぱい出てきた。

 500ミリのペットボトルが一、ニ、三……十本ってところか。


「シンプルに『水!』か、わかりやすいな」


 ペットボトルのラベルには『水!』と達筆な字で書かれていた。

 それ以外には特に書いていない。

 成分表示は……ないな。


 もしルクス硬貨で現れるものが女神ルクスとやらの影響なら、この女神さま、なかなかいいセンスしてるぜ。

 よし、一本開けて見よう。


「さて、お味は……うん、水だ!」


 何の変哲もない、水道水だった。

 ミネラルウォータではないようだ。


「ま、十本以上はあるし、こんなもんか……」


 残りのペットボトルを剣にしまっておく。

 一本あれば十分だろう。




 お昼休憩が終わったのでさぁ出発だ!

 【ミラージュダッシュ】で走って行く。

 そういえばこいつの効果っていつ切れるんだ?

 スキルの説明欄に書いてなかったからいまいち分からないんだけど……


「今、発動してるスキルっていつまで有効なんだ?」

【ミラージュダッシュは太陽光を利用しながら発動するスキルのため、その効果は一度発動するとその日の日没まで有効です。】

【夜中に発動したミラージュダッシュの有効時間は三十分までとなります。】


 なるほどね。

 じゃ日没まで使えるわけか。

 まだまだ日は高いし……どんどん走れそうだな。


「分かった、スリーブモードにしておいてくれ」

【了解しました。】

【メインモードを終了し、スリーブモードに移行します。】




 よし、一気に進んでやるぜ。

 目指せ、港町!

 海沿いを歩けば港の一つくらい見つかるだろ。


 そうやってこの世界の人に会えたら……【汎用ルクース語】でも覚えてみるかな。


 現在のルクス硬貨はルクス銀貨一枚と小ルクス銅貨十ニ枚。

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