「真実」
ワタクシ、シュガー=スノウラットが彼らと一緒に活動を始めたのはごく最近のこと。
あの憎っくきサーベラス家の女が父親の野望を受け継ぎ、魔大陸を我が物にしようと画策している――そんな話をストラテゴ=サテュロス様から聞いたのが始まり。
そして彼ら軍部の助けを借り……ここまであの女を追い詰めた!
あともう一押しですわ!
「ワタクシは告発します! サーベラス家は封印を解いた大罪人です!」
水晶の判定はもちろん白。
当たり前ですわ、真実を話しているのですから。
あれ……? あそこにいるのはヴェノネーク!? なるほど……自分に有利な嘘の証言を言わせるつもりのようですわね……? ふ、愚かな女ですわ。
「ではサーベラス家代表、アコニートゥム=サーベラス」
「私たちはそんなことをしてない!」
判定は……白。
あの女は父親のしでかしたことを知らなかった?
きっとトレーブル=サーベラスは娘にも内緒で封印を解いたのですわ。
そうに違いありません。
「封印を解いたのは……誰でもない、封印は自壊したんだ」
そんなわけ……え?
判定が……白!?
どういうことですの!? 嘘じゃないってことは本気で信じてる!?
「ただし、自壊を早めた者はいる、それは――ピタヤ=ナーガール」
え……?
ナーガール様が……?
そんな、だってついさっきまで話してた彼が……ありえない、ありえませんわ……!
「そんなこと絶対にありえませんわ!」
「シュガー=スノウラット! あなたの証言は後で聞きます、今は座ってください」
く、まぁいいでしょう、ホラ話ならどこかでボロが出るはず。
今は静かに聞くとしましょう……必ず、どこかで水晶が赤くなるはず。
「――以上が私たちに起こったことだ、私たちは強制的に魔犬の姿にさせられていた、それをこちらの聖光剣士のレンが……助けてくれた」
結論から言うと一度も水晶は赤くならなかった。
彼女と彼女が連れて来ていた不思議な喋り方をする鎧の男も、テンカラ=ヴェノネークも一度も嘘は言わなかった。
もし、彼女たちが言っていることが真実ならワタクシは、ワタクシは――!
とんだ勘違いを……!
「私たちからは以上だ」
「……ありがとうございました、ではシュガー=スノウラット、なにかありますか?」
「一つ、質問がありますわ、テンカラ=ヴェノネークあなたはサーベラス家がクーデターを企んでいると言っていましてよね?」
「ああ、言ったなァ」
「あれは嘘だったと?」
「そういうことになるなァ」
ああ、やっぱり……ワタクシは……悪党の片棒を担いでいたのですね……
目の前が真っ暗になっていくのを感じて、ワタクシは――




