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【ミラージュダッシュ】

「おお……滝壺だ……」


 マッドゴーレムを倒し、川辺を進んでいくと奥は滝壺だった。

 周りの崖は険しいし、これは……迂回していくしかないか?


「クゥン?」


 どうするの? そう言いたげなケル。

 どうしたものかねぇ。


 ……そうだ。

 確か移動用のスキルがあったはずだ。


「スキルツリー展開っと」


 スキルツリーが展開され俺の見たかったスキルが表示される。


【ミラージュダッシュ】

【消費LP2000】

【幻すら生み出す輝きの疾走。】

【光力を使った移動術。】

【光力を使い強化した脚部でどんな悪路も走破する。】

【「閃光よ我らの走りに加護を与えよ、ミラージュダッシュ」のボイスキーで発動可能。】


 これ便利そうじゃん!

 なんで今までの戦闘で使わなかったんだろうって思うレベルだぞ。


「よし、じゃあ早速……閃光よ、我らの走りに加護を与えよ、ミラージュダッシュ!」


 発生した光が俺の足や腰にまとわりつく。

 ……これで、なにか変わったのか?


 いきなり滝壺へと行く勇気はないのでその辺で試してみる。

 ……おお!


「足が軽い! びっくりするぐらい早く走れるぞ!」


 まるで足に羽が生えたような軽さ……!

 ああ、小学生のときにこの走る喜びをしることが出来たら、人生変わっていただろうな……

 これは本当にどんな悪路でも走破できそうだ。


「今なら……行ける! 来いケル、この崖を降りるぞ!」


 そのへんを走り回っていた俺を見ていたケルを捕まえ崖を下って行く!

 両手でケルを抱えて――


 ほい、ほい、ほいっと!


 俺は足場とは到底呼べないような岩の上に着地しながら軽業師のようにどんどん下っていく!

 ははっ! 楽しいぞ、これ!


「よっと、到着! スゲェーな俺、こんなことも出来ちゃったよ」


 巻き込まれたケルはなんだかフラフラしている。

 ま、下手なジェットコースター見たいな動きだったし、仕方ないかな?


「ウー……」「……クゥン」「…………」


 ははッ! なんだか調子がいいしどんどん行くぞ!

 一気に海まで行くぜ!




 流石に一日で海には辿りつけそうにないが、代わりにあの青熊を見かけた。

 昨日のより一回りは小さいが……個体差か?


「お、アイツは……青熊の情報プリーズ!」

【検索中……】

【ブリザードベア】

【Eランク魔物。】

【凍気を操る氷熊。】

【凍気を操る力を持つ熊型モンスター。】

【ものを凍らせる力を持つが、凍気を扱いきれていない。】

【凍気を口から吐き出すときは大きく息を吸い込むのでそこの隙を付けば比較的簡単に倒せる。】


 簡単に倒せるって……やっぱりこいつ雑魚だったんだな。

 最初の戦闘で【ルクス=タワー】は不要だったんじゃないだろうか。


「ま、ともかくさっさと倒すか! 今日の昼飯はお前だ! 光力装着ゥ!」


【スリーブモードを終了し、バトルモードに移行します。】

【アプリケーション「オートパイロット」を起動。】

【戦闘用アーマー「スノーホワイト」を展開しました。】

【戦闘を開始します。】


 そう言えば……この【ミラージュダッシュ】、幻を生み出すとか書いてあったな。

 どうやるんだろう……ってまた体が勝手に……




「ギャォォォオオオ!!!」


 立ち上がり威嚇するブリザードベア。

 だったが。


「ギャ、ギャオ? ギャオ?」


 困惑していた。 

 そりゃそうだ、だって……俺が三人に増えてるんだもんな?


 なんとも言えない不思議な感覚だった。

 まず一歩右足を右側にずらす、すると――


「…………」


 何も言わない俺の分身が生まれていた。

 勝手に動く体が左足をだすと今度は左側に鎧を着た俺そっくりの幻が誕生した。


 そのまま本体の俺はまっすぐ剣を構え走り続ける。

 ブリザードベアが困惑している内に――


「パワースラッシュ!」


 【パワースラッシュ】で強化して斬りかかる!

 ってあれ?


 幻たちも攻撃している……もしかしてこいつら姿だけじゃなく攻撃までもコピーしてるのか?

 ちゃんと傷跡も三つ……凄いなコレ。

 ただの囮じゃなくて戦力にもなるとか……こんなことまで出来るとかやっぱこの剣チートだ。


 ただ流石に一回攻撃したら消えるようだ。


「ギャオォォォ……」


【戦闘終了。】

【熊型モンスター「ブリザードベア」の消滅を確認しました。】

【アプリケーション「オートパイロット」を終了。】

【戦闘用アーマー「スノーホワイト」の脚部以外を収納します。】

【バトルモードを終了し、メインモードに移行します。】

【お疲れ様でした。】


 あれ、あっさり倒れた。

 青熊ってこんな弱かったっけ? まあ都合がいいからいいとしよう。


 さーてこいつの二枚で俺とケルの昼飯……ってあれ? あれれ?

 なんで。

 なんで一枚しかないんだ!?


 昨日倒した青熊は二枚落としたはず……


「なんでだ? この違いはなんだ?」


 俺の疑問に答えるように画面に文字が浮かんだ。


【先日倒したブリザードベアは他種族のモンスターを倒していませんでしたか?】

【モンスターは自分が属する種族とは別のモンスターを倒すことで、そのモンスターが体内に所有していたルクス硬貨を取得しランクアップすることがあります。】


 あ、そういえば……あの青熊はサンダーシープを倒してなにか光を吸収していた……!

 あれか? あれがランクアップする瞬間だったのか?


「ランクアップしても、見た目が変わるわけじゃないんだな」

【モンスターは他種族からルクス硬貨を奪って成長します。】

【ルクス硬貨を貯めることで成長していき、姿を変えるほどの成長をランクアップ、と呼びます。】


 なるほど……じゃあ昨日倒したの青熊はランクアップするほどルクス硬貨を貯めこんでいなかったってことなのか。

 そう考えるとランクアップして強くなる前に倒せて良かった、ってことになる……?


 現在のルクス硬貨はルクス銀貨一枚と小ルクス銅貨十五枚。

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