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「教えることがない」

 俺はそんな無神経な男じゃないっ。


「するわけないだろ!」

「私たちは別に構わないが……?」

「……でもちょっと最近は暴飲暴食気味なような……」

「こ、怖いこというなー!?」


 スミレたちはころころと人格を交代している。

 見ていて飽きないね……っと!


「プロテクトっ!」


 ボ、ボールが増えてる!

 この場合……考えられるパターンは二つ!

 一つは全部俺に向かてくるパターン。

 もう一つは……!


「本命はこれで、残りはブラフだったか」


 一つだけ俺狙いで、他は全部フェイクってパターン。

 ふぅ、なんとか見抜けたか。

 あと一回防げたら連続百回達成だ……!

 まぁ前もあと一回ってところでミスってパァになったんだけど。

 油断厳禁、油断大敵だ。


「あと一回か……やれやれ化け物じみているな……」


 驚愕と賞賛と呆然が混ざったような声でつぶやく『赤角』さん。

 そんな俺化け物じみているいるのかな。


【充分化け物です】


 酷くね?

 あ、気配が遠くなってく……またもや木々の間に消えてしまったようだ。

 さて――次はどうくる?

 全神経を集中させる。

 かと言って肩に力を入れすぎてもいけない。

 適度に力を抜きつつリラックスする。


「私たちの声、聞こえてるかな」

「この感じは……聞こえていないだろうな」

「……邪魔するのも悪いし……それに真剣な顔がカッコイイし……そのままにしとこ……?」


 スミレたちが嬉しいことを言っているけど……ごめん反応してる暇ない。

 今にもボールが飛んできそうだ。

 喋りながらでも対応出来てた今までのとは明らかに違う――!


【注意力散漫にならない程度に会話したらどうですか?】

【せっかくそういう修行なんですし……】


 むぅ。

 散漫にならない程度にか……

 そうだな。

 せっかくLPが三万もあるんだし……散漫だけに!

 サンマン!


【………………】

【あ、ツッコミませんからね?】


 露骨に無視しないでツッコんでくれよぉ!




「じゃあ……時間操作ってどういうことが出来るの?」

「時間操作は……えっと確か」

【私が説明した方が早そうですね?】

「すまん、頼む」


 アオの方が詳しいのは事実だしな……

 素直にここはアオに任せよう。


【【時間操作】のスキルで出来ることはごく短時間の時間を停止していると錯覚するほどの高速移動と、物体に流れる時間の流れの操作ですね】

「……錯覚するほどの? っていうことは実際に時を止めてるわけじゃない……?」

【はい、止めてません】

【と、いうか……本当に時間を止めたら光すら動けないので真っ暗闇ですからね?】


 少なくとも俺が時間を止めたときは、別に真っ暗になってはいない。

 全ての動きが止まった世界……俺には少なくともそう見えるんだけどな。


【より正確に説明するのなら……超高速で運動しているのではなく、私たちに流れている時間の流れを書き換えて……って聞こえてます?】

「すまん、欠片も理解出来ん」


 この【時間操作】を得た時もアオが色々と説明してくれたけど……

 SFみたいな単語が出たあたりで俺は理解するのを止めた。

 これ、余裕で人知を超えてないか?


「……単純に高速で移動しているだけなら、思考が動きについていけないはず……でもレンはそう感じてないよね?」

「ん? ああ、少なくとも周りが止まっているように見えるだけで、俺自信は普通だぞ?」

「やっぱり自らを高速化させる類のスキルじゃなく時間干渉系のスキル……流石、伝説……」

【最初っからそうだと言ってるじゃないですか】

【時間軸に干渉することで行動だけではなく、思考も高速化させてますからね】


 思考の高速化までしてたと。

 あ、でも元々思考の高速化はしてたような……具体的にはアオの中がそうだ。

 アオの中で体感一ヶ月分の修行をしたけど、現実ではほんの一瞬だった。

 あれもこれの一種なんだろ?


【お! よくわかりましたね?】

【その通り! まぁ私の中っていう特殊空間だから出来る技なんですけどね】


 現実世界でやるには【光力戦闘術】を3にする必要があった、ということか。

 なるほど、なるほど……って来るっ!

 予告もなしか! まぁいつもそうだったけどさ!




「ローゼ! 後ろに下がってくれ!」

「……分かった! 見守ってるから……!」


 その言葉が聞ければ元気百倍だぜ。

 とびきり美人の女の子が見守ってくれているんだ……ここでやらなきゃ、男じゃないだろ!


「プロテク――いや、こっちだ! 我が身を守れ! プロテクト!」


 簡易版……ではどう考えても受けきれない!

 数がとんでもない! 軽く百は超えてる! どうやってあんだけの量を同時に投げたんだあのヒト!

 ああクソっ! こんな数、壁を操っていちいち弾いてられないぞ! こうなったら!


「広がれっ!」


 プロテクトの壁を伸ばしドーム状に変形させる! プロテクトの壁は損傷すると修復しようとして勝手にLPを消費してしまう。

 こうやって広げてしまうと、俺を狙わないダミーのボールも当たって余計な消費が発生するだろうけど……知ったことか!


【おお……!】

【どのボールも本気のスピードですね! 修復が間に合いませんよ!】

【と、いうかただのボールなのになんでプロテクトが損傷するんでしょう……あっちも大概化け物のような……】


 損傷するんだったら! 重ね掛けだ!


「我が身を守れ! プロテクトォォォ!」


 壁を二重にし、防御を固める。

 そして! 来るであろう本命に備えるっ!


「我が魂の一撃を受けてみよ! 一点集中突破っ! マキシマムタックル!」


 来たっ! 弾丸のように『赤角』さんがこっちに突っ込んで来たっ!

 赤い魔力を纏った状態でのタックルかっ!

 よく見るとボールを抱えた状態でこっちに向かってきている……なるほど、投げるんじゃなくて、俺に直接ぶち込むつもりか!


【よかったじゃないですか、所有者(ユーザー)! 待ちに待った……ツッコミですよ!】


 こっちの突っ込みはノーサンキューだっ!


「どうした!? そんな広げたプロテクトで私の渾身の一撃を防げるとでも!?」

「思っていませんよ! 我が身を守れ! プロテクト、プロテクト、プロテクトォォォ!」


 通常版と簡易版を連続で展開し『赤角』さんの目の前に何度も壁を出す!

 が……


「精度が甘いっ!」

「だったら数で補う! プロテクト、プロテクトォォォ!」


 無論、数だけじゃない。

 数だけで勝てるような相手じゃないことはこの数時間で把握してるっ!

 注ぐ光力も全力だっ!


「とぉぉぉまぁぁぁれぇぇぇぇ!!!!!!!」

「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅんんんんんんん!!!!!!!!! 舐めるなぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


 プロテクトに亀裂がっ!

 まずい、このままじゃっ! プロテクトが壊れるっ!

 このまま正面からぶつかり続けるのは危険だっ!

 周りは……もうボールが飛んできてない!

 

 だったらやることはただ一つだ!

 飛ばす!


「おおおおおおっっっっ!!!!!! 飛べおらぁ!!!」

「なにっ!?」


 プロテクトの一部……『赤角』さんの攻撃を受け止めていた一枚のプロテクトを……

 『赤角』さんの足元に滑り込ませる!

 そして……! ちゃぶ台をひっくり返すみたいに! 全部飛ばす!


「それが来るのは想定済みだ! プロテクト!」


 がっ! ダメっ!

 弾いたはずの『赤角』さんは空中にプロテクトを設置し……それに捕まった!

 マキシマムタックルなるスキルは未だに有効! 纏う魔力は強く輝いているっ! まるで朝焼けの太陽の如く!


「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 再度突っ込んできたっ!


「あなたがそう動くのも想定済みだ! シャイニングプロテクトっ!」


 こっちも相手がそう動くだろうと予想していたっ!

 だから……特別製のプロテクトの壁を展開するっ! 一枚や二枚じゃ間違いなく突破されるからな!

 相手はそういうヒトだっ!


【スキルを改造するとは……】

【やれやれ、私のサポートありきとはいえ……わり頭おかしいことしますね所有者(ユーザー)

【【光力戦闘術3】になれば改造出来るようになりますよ? だからって数時間でなんでマスターしちゃうんですか】


 短期間で強くなろうとしているんだ、こっちは。

 頭おかしいことの一つや二つ出来なくてどうする。

 それに、アオにあるだけのスキルに頼っていただけじゃ、勝てないっ!


「なに!? そのプロテクトは……! 当然改良したのだろうな!」

「はい! 俺があなたを超えるために生み出したスキルだ! 改良しまくりましたとも!」


 『赤角』さんとの交流が生み出したスキル。

 まぁ実態はなんてことはない。

 普通のプロテクトよりも――数倍大きくてアホみたいに硬いだけさ。


「あなたの反射板のような特異性はない……けど! 頑丈さと柔軟性だけなら自信がある!」


 硬いだけだと割れるかもしれないから、柔らかさも備えてある。

 というか、実際に一回割れてる。

 99回まで行ったときにパリンと……あの時は違うスキルで割られたけど。

 まさか割れるとは、ま! もう割れないように作ったけどな!


 『赤角』さんと衝突した俺のプロテクトは……『赤角』さんを優しく包み込み……無力化させた。


「むぅ……! 止められてしまったか……」

「やった……! やったぞ!」


 止めることが出来たっ……!

 これで連続百回達成だっ!


「もう教えることがないな、いや元から教えることなんて対してなかったか」

「そんなことないですよ、あなたのおかげで……ここまで出来ました」


 頭が上がらない。

 貴重な時間を使って俺に教え込んでくれたんだ。

 感謝の気持ちしかなかった。

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