同じ世界の住人
今日の更新分でーす!
「………zzzZZ」
「……彩君! 彩君ってば!寝ちゃダメだって!」
うぅ、うるさい〜。
眠いんだから寝かせてよ〜。
「ラーク!どうしよう、彩君起きないよ!?」
「居眠りくらい良いじゃねぇか。ほっといてやれよ〜」
ナイス、ラーク。
後で存分にモフってやろう。
「全く、しょうがありませんね」
カチっと、机に何か鋭いものが当たる音がした。なんだ、爪でも立てる気なのか?
「えっ、起こしてくれるの?」
「ベロンっ」
ケリーの期待に満ちた声と共に押し付けられた生温く濡れた感触の物。
ああ、デジャヴ・・・。
「うわっ!?」
ガッターンっと派手な音を立てて、椅子から転げ落ちてしまった。
原因はもちろん、私の頬を舐めたグラキシアに他ならない。
「こら! 何やってるんだ!」
「彩君、大丈夫!?」
「すいません、少し驚いただけです」
音に驚いたように振り返ったシエロ先生に怒られた。周りの生徒も同じように驚いているみたいだ。
ケリーも心配そうにしているので、大丈夫だと伝えて、椅子を立て直して着席する。
「授業中に寝るからいけないんですよ?」
「うぅ、そうだけどさ〜。もう少し驚かない起こし方してくれてもいいじゃんよー」
悪びれもなく、というより少し楽しそうに尻尾を振るグラキシアに机に突っ伏しながら拗ねる私。
そんな私達をじっと見つめてくる視線に気がついた。
「(誰だ? 転げ落ちた事を気にしているのか、それとも?)」
相手に気が付かれないように視線の主を探す。
「(居た)」
こちらを見ていたのは私よりも少し年下の生徒。黒い髪に東洋人のような顔立ち、何となく日本人っぽい少年。
「(あの子、何だか私と同じ感じがする)」
私の方もずっと観察するわけにもいかないので、姿勢を正し、授業を真面目に受けることにした。
「魔力の〜、元素の関係は〜」
「………………」
やっぱ、眠くなるな。
また、うとうとし始めた私の足にグラキシアが軽く爪を立ててくる。
痛い痛い、尻尾アタックと同じくらい地味に痛い!
「分かったよ、ちゃんと聞くって」
それから、数十分後・・・
「キーンコーンカーンコーン……」
「よし、午前の授業はこれで終わり! ノートは後日提出するように!」
「起立! 礼! ありがとうございました!」
おおー、終了の挨拶まで一緒なのか。私も元の世界で日常的にこの挨拶をやってたので体が勝手に反応した。
「(さて、さっきの視線の子はっと)」
目的の子はお弁当を持って、教室を出て行くところだった。
追いかけなきゃ!
「ケリー、ちょっと行ってくる」
「えっ、何処へ!?」
ケリーの驚いた声を聞き流し、するりと教室の出口へと向かう。
左右を見て、少年を探すとちょうど中庭の方の階段を降りていくのが見えた。
「(ラッキー、そっちなら道がわかる!)」
軽く廊下を走って階段に向かったがグラキシアからのお咎めは無し。
緊急だと怒らないみたいだなぁー。
「おーい、そこの君!」
「えっ? 僕ですか?」
階段の踊り場で少年に声を掛けることに成功。そのまま、目的を果たしてしまおう←言葉だけ聞くと悪人
「そう、君。君って、もしかして異世界人?」
「っ!?」
異世界人かと聞けばあからさまに警戒するように後ずさりされた。
ちょっと悲しいぞ〜?
「大丈夫。何もしない、僕も異世界人だし」
「えっ?」
今度はきょとんとした顔で首を傾げるのが可愛い。この子、本当に男かと疑うレベルの可愛さである。
「僕は地球の日本から来た。君は?」
「僕も地球の日本です!同じ世界出身だったんですね!」
やはり、この子は私と同じ世界出身だったらしい。通りで雰囲気が似てると思った。
「さっきも自己紹介したけど、僕は辻鞍 彩、こっちはパートナーのグラキシア。改めてよろしく!」
「僕は稲原 昴、今は召喚してないけどパートナーはサラサっていうんだ。こちらこそ、よろしく!」
しっかりと握手を交わし、笑い合う。
「彩くーん! どこ行ったの〜!?」
階段の上の方からケリーが焦った声で私を探しているのに気づいた。
「あ、ケリーだ。置いて来たから心配したかな、呼んでいい?」
「うん、いいよ?」
昴の許可を得て、上の階のケリーを呼ぶ。
「ケリー! こっち!」
「どっち!?」
「ケリー君、中庭の方だよー!」
私の曖昧な説明にケリーが混乱し、昴がフォローを入れた事で、ようやくケリーは私を見つけることが出来た。
「もー、せめて行き先教えてくれないと迷子になっても検討つかないでしょー?」
ブツブツと説教を呟きながら、階段を降りてくるケリーと初めから私達の居場所が分かっていたらしいタヌラークがニヤニヤしながら降りてくる。
タヌラークよ、知っているなら教えてやればよかったものを。
「ごめんって」
「まあ、いいけど。用事って、昴君に何か聞きたいことでもあったの?」
「まあね」
「ふーん。じゃ、ついでにみんなでお弁当食べようよ」
「わっ! 僕も一緒で良いんですか?」
「いいよいいよ、ご飯はみんなで食べた方が美味しいもん」
「………あ」
………物凄く今更気が付いたんだけどさ。
「………お弁当の入った鞄を何処かに忘れたらしい」
そう、星屑亭を出る時にリムさんとアムさんに渡された手提げ鞄をどこに置いたか思い出せないのだ。
「「ええぇぇぇぇ!?」」




