友達GET!
「ぷっ、、くははははっ!」
「何で笑うし」
カッコ良く決めたと思ったら、声の主達に我慢できないとばかりに笑い飛ばされました。流石の私でも拗ねますよ?
「くくっ、すまない! 馬鹿にしたわけではないのだ」
息が続かない程に笑いおって、ツボにでも入ったのか?
というか、今までの会話で笑う要素は一体どこにあった。
「むー・・・」
「はぁ、はぁ、こんなに笑ったのは久々だ」
「それは良かったですね!」
以下にも拗ねましたといった感じの態度で返してしまったが、それはしょうがないと思う。
「まあまあ、そんなに拗ねるでない。此方とて、悪気があったわけではないのだ」
ただ、珍しかっただけなのだと声の主達は言う。そんなに召喚獣達と友達になりたいと言う事は珍しいモノなのだろうか?
「外でも聞いただろう?召喚獣を道具として見ている者達がいると」
「それは聞いたけど・・・」
「召喚師は魔力を使って、我らを召喚し、力とする。そして、我らは役目を終えればあるべき場所へ帰るのみ。召喚師と召喚獣の関係は平等であった筈なのだ」
「しかし、召喚師達はいつしか我らの力を当たり前のように使えると考え、我らに対する思いやりや気遣いを忘れてしまった」
「そして、我らは道具として扱われるようになった」
声の主達の悲しみが闇に溶けながら、私に伝わってくる。
どうして、召喚師達は召喚獣達のことを大切に思う心を忘れてしまったのだろう。
「その考え方は今の時代になっても、召喚師達の中にあり続けている」
「それなのにお主は言ったな。我らと友達になりたいと」
「だって、契約したらずっと一緒に居てくれるんでしょ?」
「ふむ、通常の召喚ならば魔力の消費が大きいため、長時間は一緒に居られないのだが。召喚の儀で召喚された者は自身の魔力で行動することも可能だ」
普通の召喚では私の魔力の範囲内でしか召喚していられないのだとか。
しかし、この召喚の儀のように召喚師と共に成長する召喚獣はより良い関係を築くため、自分達の持つ魔力で行動したり、主から魔力を補充することが出来るらしい。
「だったら、ただ召喚して仕事してもらうよりも一緒に話したり、遊んだりした方が楽しくない?」
「そうだな。きっと、そちらの方が楽しいのだろうな」
闇が笑った。
さっきまでの悲しみが溶けた声じゃなくて、どこか嬉しそうな声に私も嬉しくなった。
「しかし、魔力を使って召喚された我らが何の仕事もしないのは良くないのだ」
「そういうものなの?」
「うむ、我らの存在価値が問われるのでな」
うーん、一緒に居るだけじゃ仕事にならないのか。だったら、どうしよう?
「うーん、じゃあ!」
「うむ、言ってみよ」
「私の面倒を見て!」
「はっ?」
「いや、私って面倒臭がりだし、忘れ物とか多いし! きっと、一人で何かやると失敗すると思うんだよね!」
元の世界でも良く忘れ物したり、失敗したりしてたし。
「我らにそれの面倒を見ろと?」
「だめ? 」
だめって言われたら、どうしようかなぁー。他に思いつく仕事無いんだよね、困った。
「くはははは! 本当に珍しい子供よ!」
また、笑われた!?
ちゃんと真剣に考えたのに!!
「まさか、召喚獣に自分の面倒を見ろと言う者など今まで見たことも聞いたこともないわ!」
「えー・・・」
一人くらい居るんじゃないかな〜、きっと、多分、恐らく?
「むー・・・」
「くくっ、いいだろう」
「えっ?」
今なんて言った?
「そなたの面倒、私が見てやると言っている」
「本当に!? やった!」
あれ? 今、声の主が私って言わなかった?
「おや、もう気づいたのか。早いな」
思わず、首を傾げた私に声の主が感心している。いや、確かにはしゃぎ過ぎてスルーするとこだったけど!
「今まで話してたのはみんな、君なの?」
「そう。全部、私が声を変えて話していたのよ」
へぇー、器用だなぁー。私なら絶対に舌を噛むよ、早口言葉とか苦手だから。
「でも、どうしてそんなことをしたの?」
「貴方の本音が知りたかったの」
声の主曰く、ただ問うだけでは相手が偽りを述べても分からない。だから、相手が複数いると錯覚させる事で嘘を言ってもバレるぞと脅していたらしい。
「実際に始めから最後まで嘘を付き続けた者もいるのよ?」
「マジか・・・」
召喚獣側もいいパートナーに巡り合うために必死なのかな?
「それで私は合格?」
「ふふ、もちろん。貴方ほど、面白い答えを返してきた者を私は知らないわ」
おお〜って、これは喜んでいいの?
軽く貶されてる感じあるけど、とりあえず、合格ってことで喜んでおくことにした。
「じゃあ、私の友達になって?」
「私の名前はグラキシア。貴方の友となり、力となりましょう」
グラスが割れるような音と共に闇が砕け散った。
ようやく召喚の儀が終了いたしました〜
まさか、こんなに長くなるとは思ってもみなかったので内心ビックリです(笑