宣言
「俺は国を創る」
青年はヨーゼフ=バレンタインと銘打たれた墓標の前でそう宣言する。
夕暮れ時のことである。
村から北へ真っ直ぐ進むと四方を森に囲まれている家屋があった
廃屋と間違われそうな古びた家屋だが、傍に井戸と鶏小屋そして畑があることから人が住んでいたことを伺わせる。
そしてその家屋の申し訳程度についた広場の真ん中に新しく建てられたであろう墓標の前に青年は佇んでいた。
墓標と言っても、土を丸く盛った場所に十字架を模した枝を立てた作りゆえに世間一般の墓の基準から比較すると相当質素な代物。
青年は土の下で眠る老人に長年お世話になったのだが、この簡素な墓を建てるだけというのはあまり褒められないだろう。
だが、青年はそれで構わないと思う。
何故なら老人はまだ死んでいないからだ。
人が死ぬのは剣や魔法によってではない。
誰からも忘れ去られた時に人は死ぬ。
少なくとも自分が生きている限り老人が死ぬことはありえないと考えている。
「爺さんが思い描いた国家を俺が実現させる」
その老人は国のあり方について思考を繰り返すのが日課だった。
国家とはどうあるべきか。
国民は国家にとってどのような存在か。
腐敗しない国家を創るにはどうしたら良いかを老人は繰り返し青年に説いていた。
「だからこれは墓ではない、道標だ」
全ての始まり。
今、この瞬間から老人の意志が形を成す。
「そう……このユラス=アルバーナが教育国家――サンシャインを建国する第一歩だ!」
青年――アルバーナは天へ届けとばかりに高らかと宣言した。




