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第四話 裏の裏‏

『カタカタカタカタ―――』

今日も俺、昌史はプログラムを組んでいる。

、、、

「よし、できた。でもこんなの何に使うのかなー?」

目的のソフトが出来上がると俺はフラッシュメモリーにソフトをいれたのだった―――


真っ暗闇の中ぽつんと一つだけパソコンのモニターが点灯している。

それを眼鏡越しに覗く目は真剣そのものでましてや、いつものような優しげな目つきとはいささか掛け離れている。

「これまでのから今日あたりに仕掛けてくるかな」

携帯電話を取り出しアドレス帳を開く。

そこにはたくさん登録されているがどれも会社名ばかりで仕事専用の電話だとよくわかる。

その中からある項目を選び通話ボタンを押す。

数秒すると相手が応答したようだ。


一方その頃、サイバーテロ対策室にはたくさんの人が集まっていた。

中央にはスーツ姿でショートカットの女性がいる。

「ではこれから作戦を説明する」

その女性が話し始めると他の人の顔も厳しくなる。

「今回はいつも不正に口座に送金している人物を特定することにある。第一斑は探知を、第二班と五班は時間稼ぎを、第三班と四班は逆探知に力を入れよ」

「「了解っ!!」」

そこに秘書と思われる人が女性に耳打ちをして携帯電話を渡す。

すると女性の顔が一瞬暗くなったがすぐに電話に出る。

「はい、、、、いえ、しかしまだその時では、、」

女性の顔に焦りが見受けられる。

しかし、しばらくすると――

「わかりました、あなたを信じましょう」

やがて電話を切る。

「作戦変更よ!!」


『ピーンポーン』

鍵が開く音がした。

「よお、会いにきたぞ」

「そおか。今ちょうど和田も呼んだところや」

「和田も来るのか。あいつのタイピングスピードはすごいからなー」

事実、和田は世界2位の実力なのだ。

『ピーンポーン』

「「早っ!!」」

まだ呼んで1分も経っていないはずだ!!

「ヤッホー」

「ヤッホーちゃうやろ!?」

いつも通りマイペースな和田さん。

「何がー?」

「明らかに早いやろ!?なんでやねん?」

「私たまたまここらへんいたからよ」

「、、、なんかいろいろと怖いねんけど」

ストーカーされてるのかも、、、

「まあ、そおいうのは気にしない気にしない。」

「、、、ですよねー」

気になるんだが!?

「ところで今日は何するの?」

そうだ、俺も気になっていた。

「今日は―――


サイトを作る!!」


「、、、」

「、、、」

何のために呼び出されたかと思いきやそんなくだらない内容だったなんて。

「、、、何の?」

確かにそうだ。

ただ単にサイトを作るために仲間を呼ぶ必要はない。

何か俺達の知識も必要なのかも知れない。

「そんなん決まってるやん。クラッカーとかハッカーを仲間にするためのサイトや」

「「、、、」」

それ、、テロじゃ、、、

「でも、だったら何で俺達も呼んだんだ?」

「人数は多いほうがええに決まってるやんか」

「まあ、、、ねえー、、、」

和田さんも困っている。

「とにかく作るでー!!」

「「、、、」」

「返事はー?」

「「ぉー、、、」」

ということでサイト作りが始まった。


と言っても俺達は何をすればいいかわからないため庄一が準備をしていた間、ずっと突っ立っていただけだ。

「具体的にどういう内容にするの?」

「会員登録制やな。でも会員になるためにはパスを解読せんとあかんからある程度の腕前の人しか会員になられへんって仕組みや」

なるほど―――

「だから俺にあんなソフト作らせたのか、、、」

そう言ってフラッシュメモリーを庄一に渡す。

でもそういうことならもっと強力なソフトを作ったのになー。

「ありがとーな。これをサイトに組み込むねん」

そしてしばらくサイト作りに庄一は励むのだった、、、

、、、、、

、、、

俺達いらなくね?

ぶっちゃけ何もしてないし。

「できたでー」

「やっとかー、、、」

3時間以上待たされた。

俺の人生を返せ。

「試しに入ってみてーや」

「わかった」

あまり気は進まないがGoogleで検索しサイトを開く。

すると画面いっぱいに―――

『クラッカー、ハッカー募集中。会員登録はこちら↑』

と表示された。

「これは、、、」

「どうや?」

ドヤ顔で聞いてくる。

「、、、だめだろ」

「なんでっ!?」

「何かのいたずらにしか見えないし、警察関係の人に知られたらいろいろとまずいし、、、」

「サイト作るの初めてやったねん、、、」

「なら、、、しょうがない、、、」

「やろ?」

ここは穏便に済ます。

実はこうなることを少し予想していた。

「まあ少し様子を見るか」

しかし3時間も待たされたのにボツにするのはあまりにも可哀相だ。

「会員登録してみるとどうなるの?」

和田さんは会員登録をクリックしてみる。

画面に――

「パスワードを解読せよ」

と表示された。

「ほう、、、これなら普通の人は入れないな」

「何人集まんねんやろーなー?」

「様子を見ようか、、、」

「じゃあ、今日は解散ね」

こうして、しばらく待つことにした。


一週間後―――


庄一の結果発表と改善会議を兼ねた集まりのため庄一のアパートに絶賛集合中だ。

「よお、来たぜー」

「ヤッホー」

続々と人が集まっていく――と言っても合わせて3人だけだが。

「来たか。じゃあまずは結果からやな」

そこでいきなり庄一は顔を曇らせる。

「実は、、、」

どことなく歯切れが悪いのは気のせいだろうか。

「実は――まだ2人しか登録されてないねん」

その一人には心当たりがあった。

「一人は俺だ」

「お前かいっ!!」

「ナイスツッコミ!!」

君なら引きこもりから芸人も夢じゃない!!

しかしもう一人登録者がいたのは救i―――

「あー、私も登録してみたのー」

「お前もかいっ!!!」

「ナイスツッコミテイク2頂きましたー!!」

庄一は、かなりがっかりしている。

まあ、そりゃ自分の作ったサイトに誰も登録されなかったと聞いたら誰でも哀しくなるよな。

しかしそこに和田さんがとどめを刺した。

「じゃあ実質誰もいないってこと?」

「そうなるな」

俺も同意。

「(ショボーン)」

「、、、」

「、、、」

「まあ、、、まだ始めたばかりだしもう少し様子見てみようよ?」

「そ、そうだよな」

「まだまだこれからやな」

サイトの件はまだまだかかりそうだ。


「ところで今日は何するの?」

「今日はこの前逃した銀行に再チャレンジや」

「銀行?」

あー、和田は知らないか、、

庄一は世間一般の方には誠に申し訳ないことに不正な方法で生活費を稼いでいるのである。

「俺は生活費をクラッキングして手に入れてるんや」

「そこ自慢できないよ!?」

「へー、でも失敗って?」

「そう、、そこや、、、。不意を突かれて逆にクラッキングされたねん。まあ、その時は昌史のプログラムで助かったねんけどな」

「やればちょっとは出来るじゃん、昌史たん」

「男子にたん付けすんなー!!」

しかもそういう時は純粋に褒めて欲しいをだが、、、

「じゃあ昌史」

「呼び捨て!?」

まだましだけども。

「どうでもええやんっ!!」

「「これは死活問題であるっ!!!」」

変なところだけハモる。

「お前らそういうところだけ息ピッタリやな、、、」

「で、結局銀行にクラッキングして金を得たいのね?」

「まあ、、、話が早くて助かるわ」

「じゃあそんな地元のじゃなくてもっと大手の二菱とかにしましょうよ?」

「お前は国に喧嘩売るつもりか!?」

それこそ朝テレビをつけたら知り合いの顔がよからぬ方面で出てた的なことが起こってしまう。

まあ大丈夫でしょー。こっちにはスペシャリストが私を含めて三人もいるのよー?」

「国をなめてるよこいつ!!」

「でもなんや行けそうな気が、、、」

「おーい、浮かれるなー」

「行けるわよー」

なに助言してんだこのアホ香苗カナ先輩。

本当にアホカナ!?(気にしないで下さい……)

「うん、俺も何か未知なるものが溢れてきた。」

「たぶんそれドーパミン!!」

「えへへへへ、、、」

「危ない人やっ!!」

もっと危ないものが滝のように溢れ出してるのかもしれない。

「とにかく大手銀行の二菱にクラッキングするわよ」

「えへへへへ、、、」「しょうがないなー、、、」

俺らは用意を始めたのだった、、が。


「よし、準備完了。これで逆探知されてもソフトが自動で起動して守ってくれる」

「そうか、ほんだら説明頼むで」

「おうっ、ソフトを起動してからしばらくするとセキュリティを突破しパスワード入力画面に繋がる仕組みだ。そこで和田さんの出番だ。8分で解読し送金した後足跡を残さないように切断しなくてはいけない」

ついでにこのソフトはあらかじめ家で作ってきていたやつだ。

「おk、昌史が逃げ道を作って俺がアタックして和田が援護する陣形で行くで」

「わかったわ」「了解」

二菱のサイトから自作ソフトを使いクラッキングを始める。

『CONNECTING...』

、、、

、、

どうやら無事セキュリティを突破できたようだ。

画面にパスワード入力画面が表示される。

『PASSWORD ____________________』

「20桁やとっ!?」

「大丈夫、任せて」

和田が新しいウィンドウを開き、凄まじいスピードでキーボードを叩きだす。

『カタカタカタカタカタカタカタ―――』

「あとどれくらいかかりそうや?」

「、、、5分くらいね」

「、、、え?」

いくらなんでもそれは無理があるんじゃないか。

「いけるわよ」

なおも和田さんはキーボードを叩き続ける。

パスワードが残り数桁というところまで行った時、少し心が緩み始める。

「いけるか!?」

庄一もやっと生活費が手に入ると思い安心している。

しかし、それは4分が過ぎた頃に起きた。




『Piiiiiiiii!!!』

テスト……あと一日で終わる……

そして人生も終わるようだ……。

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