第三話 世界2位のハッカー登場っ!!
「どうだった?」
今、俺は庄一と電話している。
あれから数時間後にまた電話がかかってきて詳しい話を聞いた。
『もお、やばかったわー。まさか逆にクラッキングされるなんて思ってもなかったからなー、、、でも昌史のソフトのおかげで助かった』
「そうか、そりゃよかった。あれはあの日一緒にプログラム組んだ後にちょっといじくってアタックをより強力にしておいたからな」
『ああー、なんかめっちゃたくさんアタックのウインドウが出てきてたわー』
「だろ?ところであのファイルは送ったか?」
『いや、それしたらさすがにまずいやろ』
「だよなー」
とお互いに笑った。
『じゃあそろそろ疲れたから寝るで』
「おう、じゃあな」
そのまま電話は切れた。
今まで普通にクラッキングできていた銀行からいきなり逆クラックされたことに何か引っ掛かりを覚えた。
「ああ、そういえば通っている大学でたしかハッキング世界大会で準優勝したやつがいたなー。一度会ってみるか」
俺も明日に備えて寝るのだった。
『キーンコーンカーンコーン―――』
「はあー、やっと授業終わったー」
しかし今日はこれだけで終わりではない。
昨日思い浮かんだ人に会いに行くのだ。
「えーっと、、、パソコン室か」
サークルの活動場所のポスターを見て呟く。
俺はパソコン室に向かって歩き出した―――
「ここかー、、、」
サークルと言っても人数的にぎりぎりらしい。
『コンコン―――』
『・・・』
中から返事がない。
まだ誰も来ていないのかもしれない。
それならここで来るのを待つか、入るか―――
待っててもしかたないし、とにかく入ることにした。
「入りますよー」
しかしドアには鍵がかかっていた。
「あれ、、、今日って休みなのかなー、、、」
と呟くと―――
「そうよ」
後ろから声がした。
振り返るとそこには見慣れない女性がいた。
見た目は中学生くらいでかなりのロリ。
「今日はサークル休みだけど何か用?」
「いや、ちょっと捜してる人がいて、、、ってかサークルの方ですか?」
こう会話をすると俺が見下すような恰好になって誠に申し訳ない気持ちになってくる。
「ええそうよ。で、どんな人?」
「あのー、ハッキング世界大会で準優勝した人を、、、」
「ああー、それ私、和田香苗よ」
「えっ!!」
思わぬところで出会った。
「とにかく入って」
女性は鍵を開け中に入ったため俺も一緒に入った。
・・・
・・
・
「お名前は?」
「多田昌史です」
「それで、何の用?」
「あのー、率直に言うとハッキングについて教えて貰いたくて、、、」
「、、、どうして?」
まあ、そうだよな。
だから俺は正直に答える。
「半分は自分の興味です。もう半分は友達を守るためです」
「その友達ってのは何をしてるの?」
少し躊躇わって答える。
「クラッキング、、、です」
「、、、クラッキング、、クラッキング、、、、クラッキング、、、、」
何やらクラッキングという単語を聞くと彼女の顔がほのかに赤くなり、、、目が―――イッテいた。
「あのー、、、?」
「いいねクラッキング!!やってやろうじゃない、クラッキングって昔から夢だったんだよねー」
「、、、え?」
「だからやろうって言ってんのっ!!」
「そんなすんなりでいいんですか!?」
「ええ、だってクラッキングとかチョーかっこいいしっ、クラッカーの顔が見てみたいね」
いや、それに期待はしないほうがいいかと、、、
「とにかく集まりましょうよ?」
「まあそうですね。じゃあ住所教えますね」
俺はメアドを交換し、メールに庄一の住所を載せて送る。
「じゃあ集まる時はメールしてね」
そのまま走り去っていく。
「あ、はい、わかりました、、、」
キャラの変貌ぶりに驚く。
「あれ、、、今のたぶん聞こえてないだろな」
仲間がまた増えたことに喜びと不安が交差したのだった。
それから数日して庄一に和田さんのことを話すと一緒に今から来てもいいといってくれた。
「一応和田さんにも連絡したんだけどなー、、、おかしいなー、、」
メールしたのだが返信が来ない。
と、その時―――
『ピロピロリーン』
RPGで経験値が貯まってレベルアップしたような着信音が鳴った。
「おっ、来たか」
本文を開く。
『今山崎さんのアパートの前だけどいつ来るのー?(^O^)ノ』
・・・
「あっれええええええええええ!?」
メールではわざわざわかりやすいためにアパートの近くの公園を集合場所にしておいたのに、まさか直接行くなんて、、、
やられた、、、
俺は急いでアパートまで行った―――
「遅いじゃないの。どうしたの?」
(どうしたのはお前のほうだろうがー!!)
とはさすがに言えない、、、
「メールをよく読んでなかったんですか?」
和田はケータイを取り出しメールを読み直す。
「ああー、先にお邪魔してよかったってこと?」
「ちげーよ!!、、、じゃなくてちがいますよ!!どこにもそんなこと書いてないじゃないですか!?待ち合わせ場所は公園だったんです」
思わずタメ口。
「あらそ、、、じゃあとにかくお邪魔しましょうよ」
「話逸らされたっ!?」
『ピーンポーン』
俺は和田と一緒にベルを鳴らす。
しばらくすると―――
「よお、おっ、、、この人が和田さんか。はじめましてー、山崎しょ―――」
「すごーい、このパソコンCorei9搭載でしょ?しかも、、、これはマルチドライブじゃないか!!いいねいいね、これは来てますよー!!!」
「無視された、、、」
「、、昌史よ、この人ってくさr―――」
「それ以上言うな、、」
死んでも本人の前で腐れ外道パソコンヲタクなどと口にしてはいけない。
「ですよねー、、、」
「どうする?」
「しばらく見学させといたらええんちゃうか?」
「、、、だな」
それから40分暴走は続いた。
途中和田さんはパソコンの中も物理的に見ようとしたが、それはさすがに二人がかりで止めた。(二人がかりでないと止めることができないくらいしぶとかったのだ。)
「落ち着いたか?」
「ええ、一応、、、ハアハア」
いや、全然ダメそうだった。
「ところでその人誰?」
「今頃かいっ!!」
「山崎ですよ、、、」
「えっ、なんか思ってたより、、、残念」
「残念で悪かったな!!」
「、、、だから期待するなって言ったのに」
「なんか言ったんかっ!?」
「まぁ、、、なんだ」
「、、、」
「、、、」
「、、、」
みんな黙り込んだ。
「なんか、、、ごめんね」
「もぉええねん、、、」
「ところで和田さんってハッキング世界大会で準優勝って聞いたけど実際どれくらいの腕前なんですか?」
「3日で64桁のパスワードを解いたわ」
「64桁やと!?」
「方法は!?」
「独自のアルゴリズムを使って一から試していく方法よ。キーボードを打つのには慣れてるから」
そんなばかな!!何かソフトがないと普通は無理なはずだ!!
「でも64桁を3日で解くって並大抵のタイピングじゃあ無理やで?」
庄一も同じことを考えていたようだ。
「じゃあ見てなさい」
そういうとパソコンにエクセルを開く。
そして―――
『カタカタカタカタ…………!!!!!』
凄まじいスピードで文字を打っていく。
「、、、すげぇ」
「こりゃ、人間技やないで、、、」
一分経った時点で874文字のちゃんとした文章を打っていた。
「ふふん、どう?わかったでしょ?」
「「、、、」」
どうやら予想以上に心強い仲間ができてしまったようだ―――
過去の黒歴史を修正するだけだから楽だな~。
でも…あと一週間で期末テストだ………
さぁ―――どうしようか?