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第二話 友達とはなんぞや!?

キモッ!!

・・・なんやこいつ?

やっぱり早くなんとかせんと―――

「何してるかよーわからへんけど、とにかくはよーやめやー」

「俺はマイドキュメントの中身を見てただけだよ?」

「そうか、ならまあええけど、、、ってよーないわっ!!」

何でやろ、こいつと一緒におったら調子狂うなー。

「でもマイドキュメントなんか見て何してたん?」

「ソフトに使われてるソースを見て勉強してたんだよ」

「あれ、お前ってそういう知識あんまりないん?」

「まあ、始めてまだ半年くらいしか経ってないからねー」

最初会った時から薄々気付いていたが、この多田というやつ、、、やはり少しはそういう分野をかじっているようだ。

「ほんだら、俺が教えたろか?」

「えっ、ホントっ!?ありがとー」

あれ、、、いつもやったらこんなことせーへんのになー、、、

やっぱり調子狂うわ。

かくしてそれから不定期でソース講座が開かれるようになった。


「師匠っ、これは組合せると暗号化されたものも数分で解析できるんじゃないでしょうか?」

「いや、それだけやと不十分や。あとこのアルゴリズムも組み込まんと正常に作動せーへんねん。」

「おおー、それがいるのかー」

そして多田は再び作業に戻る。

「カタカタカタカタ―――」

しかし、しばらくすると――

「これってそのアルゴリズムを組み込まなくてもこれを四つ組み合わせることでいけるんじゃないか?しかもこれの方が効率がいいし」

「それは、、、その通りやな」

「だろ?」

これはたまげたなー、、、

まさかアルゴリズムを使わずにそんなことができるなんて。

こいつ、知識はないがそういうひらめきは凄いんちゃうか?

そんなことを考えてしまう。

「あっ、そういえばもうそろそろ名字で呼びあうの堅苦しいというか疲れたっていうか、、、」

「どおいうことや?」

「だから下の名前で呼びあわないか?」

「まあ、、、ええけど」

「よろしく、庄司」

「庄一やっ!!」

こいつ、、自分から下の名前で呼び合うとか言っといて間違えんなや、、、

「ということで、これからもよろしくな、庄一」

「あ、ああ、よろしゅうな、、、まっ、昌史」

下の名前で呼びあうことに少し気恥ずかしさを覚えたがまあこれから慣れていけばいいだけのこと。

それからというもの一人はハッカーを、もう一人は今以上のクラッカーを目指してお互いに知識と共に友情も徐々に深めあい続けた。


「今日はありがとー」

「うん、もう来るな」

「おう、また来るぜ」

短い会話を済ませた後、昌史は帰った。

「ふうー、、、友達ってのもなかなか良いもんだなー」

そんなことをボゾッと呟いた。

昔から友達ができなかった庄一にとって友達ができるという経験がなかった。

というよりも欲しいと思ったことすらなかった。

学校が終わればすぐに家に帰ってはパソコンに向かったりゲームをしていた。

そのうちクラスで虐めが始まり不登校になった。

しかしそうなっても誰も励ましてくれる人はいなかった。

人脈がなかったため当然といえば当然だ。

そうして大学にはぎりがり受かり、最初のほうは通っていたがそのうち行かなくなった。

理由は当然、一人ぼっちだったからだ。

そんな時出会ったのがクラッキングだ。

最初は冗談半分のソースしか載っていないサイトにしか行かなかったがしばらくすると犯罪並のことにまで手を出し始めるようになった。

このままではいけないと思い大学を中退し地元の大阪から東京に出てきた。

しかしその頃にはすっかり対人恐怖症になっていたため当然仕事なんかできるはずがなかった。

都心から少し離れたアパートを格安で譲り受けてそこで今までずっと過ごしてきた。

そんな時、ピザの配達に来た昌史に出会ったのだ。

対人恐怖症の庄一だったが不思議と昌史とはすらすら話すことができた。

俺はなぜ今まで友達を要らないなどと考えていたのだろうか?

ゲームがあるから?

ネット上の友達がいるから?

いや、違う―――

本当は心のどこかで欲しいと思っていたのだ。

そして今それがやっと叶ったのだ。

話してるうちにだんだん心が満たされていく。

庄一は後悔した。

もっと学生の時から友達を作り誰とでも積極的に話すべきだったのだと―――


「ああー、今日もたくさんのことが学べたなー」

実質、独学よりかなり効率が良い。

「じゃあ、早速試してみるか」

俺はパソコンの電源をつける。

このパソコンには起動した時にユーザー別にロックがかかっている。

「よし、庄一パソコンの時は解析に1時間くらいかかったからなー、、、どけだけ早くなってるか楽しみだなー」

庄一の家で改良したフラッシュメモリーをパソコンに差し込む。

ファイルは自動で起動するようにしているからさ差し込むだけで大丈夫だ。

すると画面に背景が黒いウインドウが表示され、英数字が滝のように表示され始めた。

「早ッ!!」

想像してたよりもずっと早く終わりそうだ。

「DO YOU WANT BOOST MODE? Y/N」

昌史の顔から一瞬笑みがこぼれたが躊躇わずYキーを押す。

直後ファンの音が強くなりCPU使用率が100%になる。

それからウインドウがいくつも表示され、それぞれが違うことをし始めた。

それぞれのウインドウが「REDY」から「OK」に徐々に変更される。

すると一番最初に表示したウインドウに「UNLOCKED」と表示された。

「スゲーよ、マジぱねえー!!5分で解除するなんて俺テンサイ!!」

俺はその後もプログラムを作り始めた。


「今日はもし相手にクラックされた時の簡単な対処法を教えたろ。簡単やけどたいていのクラッカーには十分有効や」

「おっす、よろしく」

今は不定期講義真っ最中だ。

「まず相手にクラックされたとき、ブロックするソフトを事前に作っておく。それはクラックされた時に自動で起動するように設定しておくねん。それに連動してお知らせする警報音とかもつければ完璧やな。それで足止めしてる間に今度はCPUの使用率を100%にするソフトを起動して相手にCPUを使わせないことや。そうすればブロックを突破されても処理が遅くなって時間稼ぎになんねん。その間に大事なファイルは暗号化してその他は消すか他に移すべきや。そしたら何も取るもんがなくなるやろ?その時がチャンスや。こっちから逆にクラッキングしたんねん。相手はまさか逆にされるとは思ってもないやろうからな。戦利品がたくさん手に入んねん。どうや?」

「そんな順序があったなんて、、、(ガクブル)」

「まずはそのソフトを作らんとな」

「そうだな」

昌史は庄一のパソコンを借りてプログラムを作っていく。

「ブロックするソフトってこんなんでいい?」

しばらくしてできたプログラムに庄一は目を通す。

「、、、ん?これはどおいうことや?」

そこには到底ブロックには使えそうもないアルゴリズムが組み込まれていたからだ。

「これはブロックするときに使うプログラムのこの部分を破られた時にもう一度その部分だけ複雑なブロックが作動するようにするために入れたんだ。」

そうか、言われて見ればアルゴリズムの間にかなり複雑にしたブロック用のプログラムが書き込まれている。

「それええな、なかなかやるやん」

「ははは、どうも」

次は、CPUを100%にするためのソフト作り。「これは簡単やろ?」

「いや、結構アレンジ加えるのが難しいよ」

「ほうー、アレンジか、、、」

昌史はプログラムを書き込む始める。

しばらくすると――

「できたー」

「ほんだらちょっと拝見させてもらうで」

テキストに目を走らせる。

「ほう、自分のCPUを100%にしながら相手のCPUもできるだけ使って処理させないプログラムか、その発想はなかったなー」

「だろ?相手のことばかり考えてるクラッカーは自分のことになると無防備だからな」

「その通りやな、ほんだら最後は逆にクラッキングするソフトや」

「任せとけっ!!」

しかしこれはなかなか難しいらしく途中で何度もキーを打つ手が止まる。

手伝ったろか、、、いや、こいつならいける!!

いつの間にか庄一は昌史を信じるようになっていた。

「、、、人ってこうも変われるもんやねんな、、」

ボソッと呟く。

「ん?何か言ったか?」

「いや、なんでもない」

そのまま見守った。

・・・・・

・・・

「できたっ!!」

それからしばらくしてやっとプログラムが完成した。

「ほう、どれどれ、、、」

目を通す、、、と気になるカーソルがあった。

「これは?」

「相手のパソコンにクラッキングが成功した時に自動で一番使用頻度が高いファイルからコピーしていくようにするのと、CPUのソフトで奪った相手のCPUも一緒に使えるようにするのを組み込んだ。内側からはウィルスを起動させて全てのファイルを海にいる生き物の画像で上書きするっていうのも組み込んだんだ」

「そ、その最後のってこの前ニュースで話題になったウィルスじゃ、、、」

「大丈夫、あれはネットの音楽ダウンロードサイトで音楽ファイルてして掲示されていたから作成者は捕まっちゃったんだ」

そうだそうだ、たしかそんな事件やったなー、、、

「でもそんなウィルスに感染させられたらひとたまりもないな。クラッキングした人かわいそうやな」

「まあそうだな。でもクラックするやつのほうが悪いだろ?」

「なんか今、俺が否定されたような、、、」

「いや、、、そんなつもりは、、、」

「ええよ、、、そんなに気にしてないから大丈夫やで、、(グズッ)、、、うん、、全っ然、気にしてへんし、むしろなんでもかかってこいみたいな?」

「ゴメンッ、俺が悪かった!!だからそんな落ち込まないでっ!?なっ?」

「落ち込んでへんもんっ、、、」

「わかったわかった、だからそんな騒ぐなって」

「わかったなら、、、よろしい。許したろ」

慰めるのにかなり時間がかかってしまった。

一通り落ち着いたところで

「それにしてもなかなかええ対策ソフトができたやんけ」

「うん、俺もこんなにアレンジできるとは思ってなかったからなー」

「昌史はプログラムを組む素質があるな」

「そりゃどうも、でもまだまだ庄一には敵わないよ」

「いや、プログラムを組むだけなら昌史のほおがずっと上手いで」

「じゃあ、、、そおいうことにしとこう」

素直に認める。

「今日はもう遅いし早く帰りや」

「おう、じゃあな」

そして昌史は帰っていった。


それから3日くらいが経った。

「そろそろ金もなくなってきたしまた追加するか、、、」

いつものソフトを起動する。

「これでよしっと、、、」

『ピーーーッ!!』

するとパソコンからけたたましい音が鳴った。

「あれっ!?何でや!?おかしいっ!」

音の正体はクラッキングされた時、鳴るものだった。

庄一は慌ててCPUの使用率を100%にした。

しかし効果はあまりない。

「こんなこと、、、っ!!まずいっ」

『ピーーーーッ!!!』

再びパソコンから警報音が鳴る。

しかもさっきよりも音が大きい。

これはブロックが突破された時に鳴る音だっ!!

「どうすれば、、、」

そんな時、ふと昌史が作ったプログラムが頭をよぎった。

「そうだ、、、あれやったら、、、いけるっ!!」

庄一は慌ててマイドキュメントを開く。

「、、、な、、い」

昌史は自分のフラッシュメモリーにデータを移した後、このパソコンから消したんだ。

「こうなったら、、、」

庄一はケータイに登録していた昌史の電話番号にかける。

数コール後相手が電話に出た。

『どうした?珍しいな』

「緊急事態やっ、理由は後で話すからとにかく昌史がこの前作った対策プログラムを急いで送ってくれっ!!」

事態の深刻さが通じたのだろう。

『わかった。ちょっと待ってろ』

それから数十秒後、新着メールが届いた。

「よしっ、これならどうやっ!!?」

庄一はプログラムを全て起動する。

すると画面に「NOW BLOCKING」と表示されしばらくすると「NOW ATTACKING」もカーソルに追加された。

それだけではない。

『CPU...100%』

『ENEMY CPU...37%』

『READY...』

『CONNECTING...』

『NOW ATTACKING PATTERN 1...』

『STOP』

『NOW ATTACKING PATTERN 2...』

『STOP』

『NOW ATTACKING PATTERN 3...』

『STOP』

『NOW ATTACKING PATTERN 4...』

『STOP』

『NOW ATTACKING PATTERN 5...』

『CLEAR』

『SENDING PROGRAM...』

『READY...』

『NOW OPENING...TIME LIMIT:150』

『NOW ATTACKING PATTERN 3...』

『NOW OPENING...TIME LIMIT:138』

『CLEAR』

『NOW ATTACKING PATTERN 4...』

『NOW OPENING...TIME LIMIT:82』

『CLEAR』

『NOW ATTACKING PATTERN 1...』

『NOW OPENING...TIME LIMIT:45』

『CLEAR』

『NOW ATTACKING PATTERN 2...』

『NOW OPENING...TIME LIMIT:18』

『NOW ATTACKING PATTERN 2...』

『NOW OPENING...TIME LIMIT:6』

『NOW ATTACKING PATTERN 2...』

『NOW OPENING...TIME LIMIT:3』

『NOW ATTACKING PATTERN 2...』

『NOW OPENING...TIME LIMIT:1』

『CLEAR』

『COMPLETE』

「はあー、びっくりさせやがって、、、心臓止まるか思ったやん」

たくさん「NOW ATTACKING」と表示されたウインドウが出てきてそれぞれが別々の場所に攻撃する。

「そうか、一つのプログラムでアタックするよりも別々にアタックしたほうが効率ええんか。」

すると新しいウインドウが表示され「DO YOU WANT TO SEND THIS PROGRAM? Y/N」と表示された。

「ん?何のプログラムや?」

詳細を見ると相手のファイルを全て海の生き物の画像で浮気するというプログラムだった。

「ははっ、大手銀行に対してこれはまずいやろ」

と言いNキーを押す。

作業はほとんどプログラムが自動でしてくれたため見ているしかなかった。

しばらくすると画面に「FINISH」と表示された。

「やっぱり昌史はプログラムを組む天才やな」

昌史、、、いや、友達に助けられた。

「一つ借りができてしもたな」

庄一は苦笑したのであった。


「ふっ、まあデータをとるにはまずまずの出来栄えかな、、」

銀行のサイバーテロ対策室でその人物は呟いた。

「次は、、どうかな―――」

そう言い残し部屋を去った。

この作品は去年、残念にも完結しないまま削除した作品「ハッカー&クラッカー」をリニューアルした作品です。

誤字脱字があったらコメントお願いします。その他、何かありましたらお気軽にコメントお願いします。

この作品以外にも「ボーカロイドが家にやってきました」を連載しているので是非読んでみてください。

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