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帝国の黄昏と黎明 ― 12月2日の祝宴

 迎賓館の門前には、各国の大使館ナンバーのリムジンと、日本政府の要人を乗せた漆黒の国産車が列をなしていた。

 エントランスでは、ダークスーツの下に鋼の肉体を隠した「イージス」が、赤外線スキャナーと鋭い眼光で招待客を精査している。一方、庭園の暗がりや屋上の梁の上には、気配を完全に断った「ファントム」**が、最新の暗視スコープを手に「絶対的な死域」を形成していた。



 豪華なシャンデリアが輝く大広間。

 一輝は、特注のミッドナイトブルーのスリーピースを纏い、ホストとして各国の要人と流暢な多言語で談笑していた。その傍らには、透き通るような白のドレスに身を包んだアビゲイルが、MITの秀才らしい気品で大使たちの質問を煙に巻いている。


「ダァド、あそこにいる財務大臣……昨夜、私の『ティアラ』が奴の隠し口座のパスワードを書き換えておいたわ。今夜、彼があなたに無礼を働いたら、一瞬で『破産』させてあげる」


 アビーはシャンパングラスを傾け、天使のような微笑みで残酷な報告を囁いた。


 会場の隅では、悦司と佳奈子が、海外のIT系億万長者たちと量子コンピュータの未来について語り合い、和泉は持ち前の美貌でメディア王たちの視線を釘付けにしている。父・光弘と母・和美もまた、伝統ある神龍寺の守護者として、政界の長老たちを完璧に差配していた。



 午後8時。会場の照明がわずかに落ち、重厚なドラの音が響き渡った。

 中央の階段から、一人の老人がゆっくりと降りてくる。

 神龍寺 龍之介。

 戦後日本の経済復興を裏で操り、政財界に「表のドン」として君臨し続けた絶対権力者。よわい九十を超えてなお、その眼光は猛禽類のように鋭く、場を支配するプレッシャーだけで大使たちの背筋を凍らせた。


「皆、よく集まってくれた。私の誕生日に免じて、退屈な夜を楽しんでほしい」  


 龍之介の低い声が、マイクを通さずともホール全体に染み渡る。


「……だが、祝宴の前に一つ。私は今夜をもって、神龍寺グループの全権を退く」


 会場に激震が走った。どよめく要人たちを、龍之介は一瞥で黙らせる。


「私の座を継ぐのは、わが孫……一輝だ。異論がある者は、今ここで私にではなく、彼に直接申すがよい。ただし、彼を敵に回すということは、この神龍寺の全戦力を敵に回すということだと心得よ」


 龍之介が一輝に手招きをする。一輝は悠然とした足取りで、祖父の隣に立った。  その瞬間、アビーが操作する「ティアラ」が、ホールの巨大な壁面に神龍寺グループの「新体系図」を投影した。


「祖父様、お疲れ様でした」


 一輝は龍之介から、神龍寺家の家紋が刻まれた純金の印章を受け取った。


「これからの神龍寺は、伝統に胡坐あぐらをかくことはない。……現在、この会場にいる皆様の中に、神龍寺の資産をシロアリのように食いつぶそうと画策していた者が数名おられる」


 一輝が冷徹に告げると、数名の重鎮たちの顔色が土気色に変わった。


「アビー、プロジェクターの二枚目を出せ」


 画面には、役員たちの裏帳簿、不倫現場の写真、そして上海シンジケートとの通信ログが、証拠能力の完璧な状態で映し出された。


「『イージス』、ご退場願え」


 無言のまま動き出した「イージス」の隊員たちが、抗う間も与えず汚職役員たちを会場から引きずり出していく。その様子を、招待客たちは息を呑んで見守るしかなかった。


「……さて、不純物は一掃されました」


 一輝はグラスを高く掲げた。


「これより、新しい神龍寺グループ――『黄金の帝国』の始まりを祝して。乾杯ルネッサンス!」


 地響きのような拍手と歓声が湧き上がる。

 龍之介は一輝の肩を叩き、「あとは好きにしろ」と言わんばかりに満足げに笑って奥へと消えた。


 こうして、12月2日。

 日本の闇と光を統べる王位は、龍之介から一輝へと、血と鉄、そして量子知能による完璧な粛清をもって継承されたのである。



この作品はAI40%、筆者60%で書きました。

原案100%筆者。

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