巨塔の腐敗 ― 神龍寺グループの闇
深夜、ITCOホールディングス最上階。
一輝は「ティアラ」が映し出す巨大な相関図を眺めていた。そこには神龍寺グループの傘下企業、役員、そして彼らと癒着する政財界の重鎮たちの名が、網の目のように張り巡らされている。
「……祖父様が築き上げたこの巨塔に、これほどまでのシロアリが群がっていたとはな」
傍らに立つ雅美が、タブレットを操作し補足する。
「会長。祖父・龍之介様の引退発表以降、特に不動産部門と金融部門での資金流出が加速しています。グループ内の保守派理事たちが、中国資本のフロント企業と組み、神龍寺の資産を海外へ逃がそうと画策しているようです」
「祖父が身を引くこのタイミングで、全てを奪い去るつもりか。……アビー、準備は?」
メインコンソールで足を組むアビーが、楽しげに指を弾いた。
「いつでもいけるわ、ダァド。グループ全社のメインフレーム、バックドアはすべて確保済み。彼らの裏帳簿、愛人名義の隠し口座、談合の録音データ……『ティアラ』がすべてサルベージ(回収)したわ。……ねえ、どのボタンから押してほしい?」
一輝の目が冷たく光る。
「まずは、最も肥え太った『不動産開発部』の常務、金子からだ。あいつは祖父の側近の面をしながら、裏で学園の金田とも繋がっていた。……アビー、奴の全資産を一時凍結しろ。そして、国税庁の監査チームの匿名メールアドレスに、奴の『脱税証明書』を全件転送。……『イージス』、金子の身柄を確保し、警察に引き渡す前に『ファントム』の部屋で少しだけ『話』を聞け」
「(了解。金子の邸宅を包囲。2分で沈めます)」
インカムから「ファントム」のリーダーの無機質な声が届く。
続いて一輝は、モニタに並ぶ役員たちの顔写真に次々と赤い×印をつけていく。
「次は銀行部門だ。架空融資で甘い汁を吸っている連中。……彼らが社会的に再起不能になるよう、醜聞と証拠データを主要メディア、そしてSNSのインフルエンサーたちに時間差でバラ撒け。……法で裁くのは最後だ。まずは、彼らが築き上げた『名声』と『地位』を、一瞬で砂上の楼閣に変えてやる」
「悦司、佳奈子さん。あぶり出した後の『穴』は、ITCOがすべて飲み込む。……グループの膿を出し切り、デジタル化された新たな神龍寺グループとして再定義する。……これが、俺から祖父への退職祝いだ」
悦司は、レギオンの冷却ファンの音を聞きながら、静かに微笑んだ。
「……兄さん。それは『掃除』じゃなくて、『創造』だね。僕と佳奈子で、新しいインフラを構築してみせるよ」
「ええ、一輝さん。悪意が入り込む隙のない、真っ白なシステムを作り上げましょう」
佳奈子の瞳にも、研究者としての強い光が宿る。
一輝は窓の外、夜明けが近い東京の空を見つめた。
神龍寺という名に巣食う悪意。それを「ティアラ」が暴き、「レギオン」が追い詰め、「ファントム」と「イージス」が排除する。
祖父が引退するその日、神龍寺グループは一度死に、一輝の手によって真の「黄金の帝国」として生まれ変わる。
「……雅美、行くぞ。本社の役員会まで、あと4時間だ。……地獄の門を開けてやろう」
一輝の足音が、静寂のオフィスに力強く響いた。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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