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琥珀色の追憶と、横浜に差す暗雲

 11月5日の夜。

 西麻布の居酒屋『田中田』で杯を重ねた一輝と雅美。ほろ酔いの雅美が躓いた瞬間、一輝はその身体を強く抱き留めた。指先に伝わる彼女の確かな曲線と、形の良い胸の膨らみ。

「……失礼しました、会長」

 顔を朱に染めながらも、雅美の瞳には一輝への消えない思慕が宿っていた。



 雅美のマンション。リビングに流れるクラシックの調べ。

 ルームウェアに着替えた彼女が供したのは、希少なケイジのお茶漬けだった。


「美味しそうだ……もうそんな時期か」


 清水焼の茶碗から立ち上る玄米茶の香りと、秋茗荷の爽やかな酸味。一輝は無言で箸を進める。向かい合う雅美は、彼と過ごすこの静かな「家族」のような時間に、喉の奥が熱くなるのを感じていた。


 一輝を見送った後、雅美は独りバスルームで肌を洗う。

 鏡に映る、熟れた果実のような白い双丘。その右胸から腹部にかけて残る、あの惨劇の傷痕。指先でそれをなぞるたび、自分を「買い取ってくれた」一輝への渇望が溢れ出す。浴室に響く切ない艶聲。彼女は一輝の名を呼びながら、独り果て、深い眠りについた。




 翌朝、午前九時。  ITCOホールディングス会長室。

 完璧に着こなした秘書スーツ、手首には一輝から贈られた『ハブロ・ビッグバン』。雅美は「最高級の秘書」として凛と立ち、一輝にタブレットを差し出した。


「会長。悦司様から、シールドルームの最終工程が完了したと報告がありました。これより『EIテクノロジー』へ正式な依頼を飛ばします」

「ああ、頼む。悦司と佳奈子さんにも、よろしく伝えておけ」




 その日の十五時。一輝は黄金の愛車・センチュリーを駆り、再び横浜中華街へと滑り込んだ。

 観光客の喧騒の裏、一輝の鋭い感性は街に漂う「刺すような殺気」を捉えていた。


 中華街の裏口。美玲の父・傑倫ジェルンが苦い顔で一輝を迎え入れる。


「上海の奴らが入り込んでる。……何をしに来たかはわからんが、ろくなことじゃない」

「俺の方でも調べてみます。……レギオンなら、ネズミの足跡一つ逃さない」


 階段を駆け下りてきたのは、ミニデニムにウールのセーター、キャップを目深に被った美玲だった。


「お兄ちゃん、お待たせ!」


 大型のキャリーバッグを軽々と一輝が受け取る。美玲はその逞しい腕に迷わず縋りついた。ロングブーツが石畳を叩く音。


 車に乗り込む直前、一輝は不意に立ち止まり、背後の路地を見つめた。


「……美玲、車から出るなよ」

「えっ、どうしたの?」

「ネズミが、一匹紛れ込んでいるようだ」


 一輝はスマートフォンの画面をスワイプした。六本木の地下で眠る量子コンピュータ『レギオン』が、一輝のバイタルと連動し、半径500メートル以内の全通信をジャックする。

 画面には、上海の武装勢力が使用している暗号通信のログが、リアルタイムでデコード(解読)され、紅い光となって表示された。


「……ターゲットは、俺か。あるいは――」


 一輝の口角が、冷酷な狩人のそれへと釣り上がる。

 愛車を発進させた一輝。黄金の軌跡が、不穏な空気に包まれた横浜の街を切り裂いていく。




この作品はAI40%、筆者60%で書きました。

原案100%筆者。

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