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夢見合い  作者: 湖真子
9/15

現実7

音も無い、形も無い、白い空間。

何も無い世界が目の前に広がっている。

…いつも夢で見ている光景。


寝ちゃったのか私ぃぃっ!!!

「ああぁぁぁ……」

自分が寝ている事に気が付くと、頭を両手で抱えて落ち込んだ。しかも自分でもビックリするぐらいの低い声が出た。その体制のまましゃがみこむ。

「……」

もう少し根性出そうよ私…。

熱があるのに母と格闘していた所為で更に熱が上がったためによるダウン。

ダウン…。

ココは意地でも寝るんじゃないわよ私!!

起きてよ私!!!

――― って、思ったところで起きれるほど器用じゃない私。ここ最近、寝るたびに起きろコールをしているけど起きれた事が一度もない。

「……寝ている間に薬使われてないといいなぁ……」

恥ずかしさがあるお年頃に座薬は止めて欲しい…。いや、幾つになっても座薬は嫌。

しかし母。

されど母。

「……」

…考えても仕方が無いよね~?

両手を頭に乗せてうずくまってた私は首を左右に振ってから立ち上がった。

考えない、考えない、か・ん・が・え・な・い!!


「よし!」

座薬と母の事は無理やり頭の隅にやり、私は辺りを見渡した。

いつもの夢って事は変な動物が出てくる可能性が100パーセントなのよね……。

目玉沢山の鳥もどきとか、耳が沢山の象もどきとか…たまにはサボって出てこない日があってもいいと思うんだけど。そんな素晴しい日があったら心のそこから喜んで踊っちゃうんだけど!

そんな事を思いつつ指をさしながら確認。

「前良し!右良し!左良し!後……あ」

後ろを向くと1匹の動物が立っていた。じっと、真ん丸の大きくてつぶらな瞳が私を見つめていた。

やっぱり今日も居るんだ…。

あぁ…泣きたい。夢の中で泣けるかはわかんないけど。

既に色々私ツカレテマス!! …そんな主張は通じないんでしょうねー。

…つーか、私がうずくまっている間からそこに居たわけ?

気が付かなかったわよ!


私の後に居たのは猿だったの。鳥もどきや、像もどきもでも無い。見たことが無い猿が5メートル位離れた所に立っていたの。 日本猿って言うよりも外国に生息してそうな猿。チンパンジーとかゴリラを想像すれば分かる?毛深い感じ。だけど、色彩だけがありえない!

だって、トマトのように真っ赤なのよ!! …夢の中の動物もどきは目に優しくないと思う! 色が凄いんだもの。

でも今回は小柄。大きさは犬で言うとチワワぐらい。

今まで見た中ではマシかな。色が濃いだけで気持ち悪さは無いから。寧ろ縫いぐるみみたいで可愛いかも!

今までの動物もどきって目玉が沢山あったり、耳が沢山あったりしてたのよ? でもこの猿はそんな所が一切無かったの!!!

頭1個に目玉2個。鼻と口1個ずつに耳と腕と足は2個ずつ。

つまり普通の身体をした猿なの!! 初よ初!!

だけど夢の中なのよね。

普通なわけが無い!!!!

――― それこそ異常。その事に私は気付いていなかった。


そして、縫いぐるみの様な外見にまんまと騙された私は油断をしたの。普段なら見つけた疑点で逃げ出していたのに!!

後悔しても遅い。


「え?」

その小柄な猿はぴょんと、ウサギのように跳ねて近づくと、突然……。



猿の腕が伸びた。



「うぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」

猿の伸びた真っ赤な腕が私に向かって来る。

気持ち悪っ!!!

何コレ?? 腕が伸びるって反則でしょー!!!

猿との距離が近かった所為もあり、逃げ遅れた私の足に赤い色の手が絡みつく。

その日、初めて夢の中で捕まってしまった。

伸びた赤い腕は私の足首をとらえると、猿の方へと引きずられた。

驚くほどの力。


「いやぁぁぁぁ!!!!」

嫌だ! 離して!!!

そう思った瞬間、何かが曲がった。視界が、空間が、猿が……歪んだ。

まるで柔らかくなった飴の様にグニャグニャと曲がる。

そして、世界は再び真っ暗な世界に変わった。

闇。

暗闇。

私はどうなったの?

視界は闇に包まれ、猿の気配は無くなり、足首の摑まれている感覚も消えた。






*****************






「ん……?」

目が覚めた私。視界に入るのはレンガの壁に長方形の黒いパネル。そのパネルはまるで窓の様な大きさ。天井は星の形をした蛍光灯が幾つも吊るされていて、辺りはとても明るかった。

見覚えの無い家具。


…ここはドコ???

私の部屋にはレンガの壁とか黒いパネルとか星の形をした蛍光灯は無い。

私の部屋だけでなく、家にこのような部屋は無い。室内にレンガの壁はまず無い。

私は首を横に曲げ、横を見ると絹のように輝く銀色の糸の束が見えた。

それは滑らかで触りたくなるほどの美しさ。その糸の流れを目で追うと白い肌と閉じられた長い睫毛が見えた。

「…え?」

どうやら糸だと思ったものは髪の毛だったみたい…で、顔があったの。私の肩の位置に!!!

近い!! 近いーー!!

見たことも無い、とてつもなく整った顔が私が寝ているベッドに頭と肩が乗っかっているの!!!

彼氏いない歴、歳の数。つまり、男性に免疫の無い私がこんな近くに男性の顔があることは非常に驚く事で…。

「うぎゃぁ!!」

ビックリした私は、整った顔から無意識に距離を置こうとして失敗した。

距離を置こうとして、整った顔があった反対側は壁だったらしく思いっきり後頭部を強打したの!!!


ゴンッ!!!!


「くぅぅぅぅ…」

壁はレンガだったのでとても痛かった!!!

すみません。お待たせしました!

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