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夢見合い  作者: 湖真子
12/15

現実10

遠くの人と一瞬で結ぶ電話は大変凄い文明。最近では更に進化してテレビ電話という物がある。異国の人だろうが一瞬で結び、しかも顔を見て話す事が出来る。

それでも実際に会いたいと思う人は居る。大切な家族とか恋しい人とか。


「――― そう言う事で作られたのが‘夢つなぎ’と、言われる物です」

「夢つなぎ?」

「名の通り、人の夢と夢を繋ぎます。お互いに同じ夢を共有しますので、夢の中の出来事ですが…ある意味、現実でもあります。直接会う事と変わらないので便利ですが色々と条件もあります」

‘夢の中でもいいから愛しい人に会いたい’とそれをヒントに作られた。

夢の中ならば時間や場所なんて関係ない。

「…最近だと盗聴とか出来無いから内密の会議とかに使われる事が多いけどな。…それを使って俺達は会ったんだよ」

「…うそ…?」


そんな技術聞いたこと無いわよ!!

ぶっちゃけ胡散臭い!

「俺は夢での出来事を全て言えるぜ? アンタ、初め頭を抱えてしゃがみこんでいただろう?」

猿が自信満々に語る内容。

っ! してた。確かにしてたわよ。

「……」

じゃぁ、本当に…?

その‘夢つなぎ’と言うものを使って私と猿は夢の中で出会ったの…?

けど…。だ・け・どっ!!

「…何でそれを使って、会う必要があるのよ?」

会いたいって思ってないし!

出来れば平和に穏やかに寝たいわよ。


「!」

私の発言に目を大きく開けて驚いた顔をする猿。

「…もしかして…何も聞いてねーのか?」

「?」

「…だからか!!! 道理で視界が悪いし、何故か追いかけっこが始まるわけだ!」

「…なるほど。だから私が呼ばれたのですね…」

何なのよ?? 2人で納得しないでよ。


猿はソファーに向かうとソファーの床に沢山散らばっている本を左手で拾い始めた。

「確か小豆色の本だったよな~。…コレは違う、コレは…あっ」

猿が取った1つの本に見覚えがあった美人さんは猿の方に向かい本を受け取った。

「あぁ…その本はドローの家にあったのですか…」

「昨日言われたから探したんだぜ?」

「――― っで、ついつい読みふけってソファーで熟睡ですか?それにしても扱いが悪いですね」

「崩れちまったんだからしょうがねーだろが!」

「積み上げるのも程ほどにしてくださいね?」

再び崩れますよっと、忠告。

「うるせーよ!」

目当ての本では無いものをソファーの上に次々と置く。その作業を全て左手でおこなう。それが3つ目の山になった頃、

「有った!!渡してくれ」

発見した。その発見したものを美人さんに渡す。

「どうぞ、受け取ってください」

美人さんは私に差し出した。

「…」

その時、苦笑いの美人さんは小声で私に言った。

「あれでもドローは貴方を怖がらせてしまった事を反省してるんです。その証拠に近づこうとはしないでしょう?…許してやってください」

「……」

美人さんの言う通りに猿は初めに飛ばされた壁側に戻っていた。



美人さんの手から私に渡った本。それは小豆色の表紙で大きさは大学ノートぐらい。厚さは薄くて、七五三のアルバムに似ている。つーかむしろそれっぽい?

あれって写真が1枚~2枚閉じてあるよね? そんな感じの作り。

「中を見てください」

私は本を開いた。


「はぁ?? 何コレ!?」

そこには私の写真が引き伸ばしたサイズで載ってたの。

高校の制服姿の私が、はにかんだ笑顔で写っていて、髪の毛は今より短く、しかも背景に桜が写っていたのよ。

…ええぇ?? 桜を背景ってもしかしてこの写真って…入学式の時の?!

何で入学式の時の写真がココに有るのよ!!

しかも写真の周りの用紙は花柄模様が描かれていて、見ただけで分かる凝った作り。

うっぎゃぁー!! 恥ずかしい~!

またしても羞恥プレイ!

2年前の自分なんか恥ずかしすぎるぅぅぅ!

しかも写真が写っているページに見覚えのある用紙が挿んであったの!!


MY NAME IS MIO AIDA .I LIKE ………MY SAKURAGA SUKI DESU .


英語の授業の初日に書かされた自己紹介文ーっ!!!

単語も文章もメチャクチャで、途中からアルファベットを使った日本語になっている奇怪な文章!

散々笑われたものが何でココに?!


「…俺の所に送られたお見合い写真とプロフィールだ。名前ぐらいしか分からなかったけどな…」

…すみません。英語が苦手なんです。

…つーか読んだの? 解読不能とまで呼ばれた自己紹介文を…。

さ・い・や・く!

「……?」

あれ?

何か変な単語が聞こえたような…?

「何て言ったの?」

「はぁ?‘ …名前ぐらいしか…’」

「その前!」

「‘俺の所に送られて来たお見合い写真とプロフィール?’」

!!!

おおおおおみあい・しししゃしんん???

「お見合い写真?!」

この写真が??

どういう事???

目が点になる私。

「つまり…‘夢つなぎ’を使って‘お見合い’をしてたんだよ」

それが証拠だと小豆色の私の恥しか載っていない本を指差す猿。

「え?」

お・み・あ・いぃぃ??

私の掌から持っていた本が床の上に落ちるがそれどころじゃない。

「結婚期はまだ先ですが!!! 10代です私!! 最近誕生日をむかえたばかりです!!」

必要性を感じません!

何故!!

何で夢の中でわざわざ見合いをするのよーーーー!!!!


「……あれ?」

そこで私は気づきたくない事に気付いちゃったの!!

もしかして…。

「お見合い相手ぇぇ??!!」

この猿が私の相手?!

私は猿を指差した。

だって夢の中に出てきたのってこの猿よね?! しかも恥でしかない写真を持っていたのも猿だし。

って事は…。

…まさかね?

しかし、猿は肯定したの。

「おう!」

と…。

猿の口の端が上がり、にかっと笑う。

否定してよぉぉぉ!!!


えーと…えーと。

他に夢に出てきたモノを思い出す私。

初めは真っ暗で分かんなかった。途中から明るくなって…。

他には…鳥もどきとか、象もどき…がいた!

「えーと鳥っぽいのとか像っぽいのも……もしかして…」

認めたくないんだけど…。

「見合い相手になるの…?」

ぼそぼそと呟く様にして問いかける。

その問いに美人さんと猿は大きく頷いた。

「そうだ」

「ええ。そうです」

いやぁぁぁぁああ!!!!!

頭を抱える私。

知らない間にお見合いをしてた私。

しかも相手が動物ってどういうことなの?!


あれ? 私って動物だっけ…? 気が付かない間に尻尾が生えてたりする…?

ちらっと自分のお尻を確認。

良かった…生えてない。私ってばニンゲンダッタンダネ!


「…大丈夫ですか?」

私のあまりの混乱振りを見て、美人さんが私の顔を覗き込む。

「これって全部…本当?」

「えぇ。本当の話です」

「どっきりとかじゃないの?」

「どっきりじゃありません」

「……」

哀れんだ目で見ないでください。

納得できないんデス!


「あははははは」

「「!!」」

突然の私の笑いに驚く1人と1匹。だけどそんな事気にしてらんない!

そー言えば熱があって寝てたのよね私。

だって風邪引いてベッドで寝てたんだし。

起きたら知らない部屋にスッゴイ美人に赤い毛の猿。……ありえそうだわ。昔、起きたらパーティー会場だったって言う事があったから…これはありか。

でも、訳の分からない‘夢つなぎ’を使ってお見合いはありえないよね~?

猿とか像もどきとか鳥もどきとかがっ!

私の見合い相手~。

人間じゃないのね~♪

おもしろーい♪

「凄い夢よね~」

ちょっと頭が痛いけど。

「…頭をうった所為で壊れたか?」

「大丈夫でしょうか?」

ふふふ。幻聴げ・ん・ちょ・う♪ 何も聞こえな~い。


はい。現実逃避デス!!


現実逃避をしていると、美人さんが聞き逃せない情報を流す。

「因みにこのお見合い写真は5冊、作られております」

と。

「ごごごごごっ5冊ぅぅ???」

…思わず現実に帰ってきちゃったわよ!!

「言い難いのですが…2冊は返却されて私の手元にあります」

「へ?」

「わざわざ言うなよ…。それって2つの家からお断りがあったって事だろ?」

「‘真っ暗でよく分からない’と相手側は困っていた様子でした。…えぇですから、相手から断ってくださりますから大丈夫ですよ?」

「それって…‘フラレル’って言うのと変わらなくねーか?」

「断るのが苦手でも大丈夫ですと言っているだけですよ?」

「……」

そう言って笑うと私の頭を撫でる。

「それに、事故が起きたので次回からは私が間に入りますから安心してください」

「事故?」

「あー……」

猿が気まずそうに頭をポリポリかく。美人さんは猿の様子を気にも留めずに言う。

「事故防止とお見合いが成立するように仲介役として間に入って仕切らせて頂きます」

「仲介役?」

仲人(なこうど)って言った方が分かりますか?」


…結婚式でよく聞くような言葉デスヨネ。



初め‘夢繋ぎ’と言う名だったけど、この名前で題名にして書いている方がいる事に気が付いたので平仮名に訂正しました。

本当なら別の名前を考えた方がいいのでしょうが…名前を付けるのが苦手なので勘弁してください!思いつかなかった…です。

似たような話が有ったらどうしよう…と、思いつつ無い事を祈ります。有ったとしても偶然ですよ! 偶然。

それ以上気にすると、話そのものが書けなくなりますのでお許しください。

では。

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