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5 今後の身の振り方を考えます

自室に戻った私は、ドサッとベッドへ倒れこんだ。

疲れた~。お兄さまってば、無理難題を言い過ぎだわ。学園で恋人を作れって……。


我がエレーメン王国の貴族は、十五歳になるとそのほとんどが王立学園へ入学する。領地経営について学んだり、人脈を作ったり、結婚相手を見繕ったりするために。


私は、将来国の魔術研究所で働きたいとの思いから学園に入学した。

小さい頃から新しい魔法を作るのが夢だったし……何より、テルルが結婚するまで私が結婚できるとは思えなかったからだ。


兄にも言ったように、私がちょっといいなと思った男の子は、みんなテルルを好きになった。そりゃそうだ。目の前に美少女と普通の女の子が並んでいたら、美少女に目を奪われるに決まっている。

そのせいで傷ついたこともあったけど、私がテルルを嫌うことはなかった。


なぜなら、テルルがその男の子たちを完膚なきまでに盛大に振ったからだ。


「私にアプローチするためにお姉さまに近づくなんて最低!」


「容姿だけで人を差別するような方、私は大嫌いですわ」


「私の前でお姉さまのことを悪く言うなんて、死にたいんですの?」


などと、わざと人目のあるところで非難するものだから、相手の男の子たちの評判は地に落ちた。うちよりも身分が上の家もあったのでヒヤヒヤしたけど、子供のしたことだからと大事にならなかったので幸いだった。

私のためにやってくれたのは嬉しいけど、そのせいでテルルが一部の男性に恐れられるようになり、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。

テルルは本当に姉思いのいい子だから、まずテルルが恋人か婚約者を作るまでは、私は自分の恋愛は後回しにしようと決意したのだけど……。


「一体、いつになったらテルルは恋人を作るのかしら……」


大量に押し寄せる婚約の打診を、テルルはすべて拒否している。中には公爵家や侯爵家からのお話もあるようで、父は断り文句を考えるのにいつも必死だ。

今はまだ十四歳で子供だからと躱していられるが、それもいずれは通用しなくなる。

私もテルルも、本気でこれからのことを考えなくてはいけない頃合いなのだろう。


「恋人かぁ……」


お気に入りの猫の抱き枕を抱き締め、私は深々とため息をついた。




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