2 私と妹の関係を家族が心配しています
妹が友人宅のお茶会に呼ばれて不在の日。我が家では家族会議が開かれていた。
「……セレン。テルルの態度は相変わらずなのか?」
父の質問に、私はコクリと頷く。
「距離を置こうとしても、私の後をついてきますし……相変わらず私と同じものを欲しがりますね。縁談に関してもダメ出しされてしまいました」
私の言葉に、兄がため息をついた。
「お前が絡まなければ、テルルのやつもまともなんだがなぁ……」
兄のネオンは私と同じ栗色の髪をしているが、顔のパーツが母に似たせいか非常に美形である。子供の頃は兄と妹を羨んでいたが、今ではそれほどこだわらなくなった。父に似たこの顔も悪くないと思っている。……ファザコンじゃないからね!
兄は今年で二十三歳と私と七つも年が離れているので、基本的には可愛がってくれる。兄にとって私とテルルはどちらも可愛い妹だと言うが、最近になって私と妹の関係性を問題視してきた。父と母も。
「セレン。あなた、ちゃんとテルルと適切な距離を取っているのでしょうね?」
「うっ……!」
母に聞かれ、私は言葉に詰まった。私が目を泳がせていると、母が氷のような瞳で刺すように私をじっと見つめてくる。
ひええ! 妹と同じ顔で睨まれると精神的に辛い!
私はがばっと頭を下げた。
「ごめんなさい! できてないです! 申し訳ございません!!」
みんながハァとため息をつく。
「セレンがこれじゃあ無理だろ」
「まったく……十六歳と十四歳にもなってこれではな……」
「もうあなたたちは子供じゃないのよ?」
おっしゃる通りです! と言いたいのはやまやまだけど、だってだって!
「テルルが可愛い過ぎるんですものぉぉぉぉっっ!!」
泣き崩れる私を、家族が冷たい目で見ていた。……切ない。
テルルは成長するにつれて、常に私の後を追うようになってきた。
おねーたま、おねーたま、と必死に追いかけてくるテルルが可愛くて可愛くて、つい溺愛してしまったのは私が悪かったと思う。
気付いた時には、妹の私への執着がちょっと普通じゃないことになっていた。
家にいる時は、常に私と一緒にいたがる。持ち物は、私とお揃いにしたがる。ちょっと私に縁談の話が舞い込もうものなら、どこをどう調べているのか、相手の粗を調べ上げてあんな男はダメだと潰してくるのだ。
少し前の私は、あらあらそんなに私のことが好きなのね~とニマニマしていたのだが、兄に妹の異常性を指摘されて現実を見た。
……ちょっと普通の姉妹愛とズレちゃってるかも? と。