04話
「結構距離あるな」
ひとまず身体の事は置いておいて残りの疑問を片付ける事にした俺は今ここに来て最初に目にした街らしきものに向かって歩いていた
ここが異世界かどうかは恐らく街並み、人種などで判断できるだろう。
門らしき物に人が並んでいたことから誰でも入ることができるはずだ。勿論門番らしき人が居たことから身元確認の為ある程度の質疑応答もあるはず。
そして魔道具。恐らくここが異世界だと判別するためには魔道具の存在が手っ取り早い。もし、魔道具が存在しているのなら街で探して見るのが一番いいはずだ。
ある程度魔道具が馴染み深い世界ならその辺の住人が持っている可能性も高く、街に入ってすぐ目にする機会もあるかもしれない。もし仮に魔道具が貴重なものであったとしても、存在するのならば住人に疑問を投げかければ教えて貰えるはずだ。
少し不安はあるがな。
それは、
「言葉が通じるかどうか、だな」
そう。異世界ならば言葉も当然日本語ではなく、異世界特有の言語でコミュニケーションをとっているはずだ。
よくある異世界物ではこの辺の言語問題は特に描かれていなかったり、または何らかの特典のおかげで言葉が通じる描写があったりと、物語の主人公は言語で躓くことは無かった。
これは賭けになるだろうが、言葉が通じるかどうかは話してみないと分からないから今からドキドキだな。
そして次に、門番の身元確認だな。これは確実にあると思っていいだろう。ただ、こちらは言葉が通じれば問題なく通れると思っている。恐らく身分証の提示を要求されるだろうが、これに関しては近くの村に住んでいて身分証なんか持っていないと伝えれば行けると思っている。
これは物語を見ていた時から疑問だったんだが、そもそもたかが村人が身分証なんかもっているのか?という点だ。例えば、〇〇村の〇〇だ、と書いてある身分証が存在したとしても、それが本当に本人なのかを確認するためには村に行って確認するしか方法が無いはずだ。
カメラでも無い限り顔写真なんて付いている訳もなく
本人の証言と身分証の名前でしか情報は得られない。
そしてもちろん顔写真が付いていないのなら例え他人がその身分証を使って街に入ることも可能なはず。
そんな曖昧な身分証をただの村人全員に配る必要があるのか、というと恐らくそんなもの持っていないと見ていいだろう。
つまり、身分証を求められた時は村に住んでいてそんなもの持っていない、もしくは無くした、でいいはずだ。
次に、村の名前を聞かれた時だな。これも確実に聞かれるだろうな。その時はこの道が続いてる村から来た、とでもいいか。もしかしたら勝手に解釈してくれるかもしれないしな。ただ、怪しまれる可能性も当然高い。
怪しまれている雰囲気を感じたら村の名前を知る機会が無かった、と言って誤魔化すしかないな。
苦渋の策だが今の状況だとこれしか思い浮かばないな。
あれこれ考えてはみたが、そもそも言葉が通じないことには意味が無い。
考えながらも歩いていたおかげでもうそろそろ着きそうだ。
異世界人(仮)とのファースコンタクト。腹を括るしかない、な