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帰る方法

やれやれ、今日も疲れたなあ。

大きく伸びをしながら、ぼーっとアクアの準備が終わるのを待っていると、


「ララちゃん、準備終わったよ〜。帰ろ」


アクアが荷物を持って席を立つと、私の方へやってきた。

その背中には大きなリュックサックが。


アクアは学校のみんなが認める優等生、教科書を全部置き勉するような私とは違って、教科書はきちんと持ち帰る上に復習と予習とでノート分けて持ち歩く勢い。

だから、必然と持ち物が多くなるみたいで、大きめのリュックサックで学校に来てるんだ。


「今日の授業、全然分かんなかったよ〜。アクア、図書館に行ったらついでに教えて!」


教室を出て、廊下を歩きながら私はアクアに手を合わせる。


「もう!ララちゃん、しっかりしてよ。さては今日の授業、全然聞かずにサボってたでしょ?そういうところだよ。しかも、今日の授業は面白いところだらけだったのに〜」


アクアは呆れたように言うと、口を尖らせた。


「ごめん、ごめん。今日寝不足だったんだ、寝付きが悪くてさ〜。だから、めちゃくちゃ眠くて……。ってことで、アクア、よろしく!」


「え、そうなの?そういうことなら仕方ないな〜。教えてあげるよ」


アクアが少し心配そうにして頷くと、


「お前は寝不足とか関係なく、いっつも寝てるだろ。アクア、ごめんな。自分の勉強とかもあるだろうに。」


フウキが後ろからやってきて、私の頭を軽く叩いた。


「いいよ、全然大丈夫〜。いつものことだから。それに、人に教えるって結構楽しいもの」


アクアはほんわかとした笑みを浮かべて首を振る。


「いつものことって……ララお前、もしかして、アクアの優しさに付け込んで、事あるごとに頼んでんのか?」


フウキが目を見開いて驚いたような表情をすると、私を鋭い目で睨んだ。


「俺だったら死んでもやりたくないねー」


フウキの後ろを歩いていたリュウキが、大股でアクアの後ろに立つと、アクアの頭の上にその手を置いてため息をつく。


「アクア、いつもお疲れ様だけどさ、そろそろこいつに自力で何とかする力を付けさせるべきだぜ?」


アクアは手を置かれた頭を重そうに押さえて、リュウキを振り返って眉を寄せた。

重いんだけど、って言うように。

こいつと指差されれたのはもちろん、私。


「俺も、リュウキに同意見。アクアは優しいから、甘やかしたくなるのは分かるけどそれは過保護ってやつだよ。こいつのためにもならない。分かったか?」


フウキが大きく頷くと、アクアに優しく諭すように言った。

むむむむっ、ずっと前から思ってたけど、2人とも私とアクアとで態度変えてない!?

特にフウキ!


「あのさ、前から思ってたんだけどさ、フウキってアクアに優しいじゃん。私に対する態度と全然違うよね?何でなの?」


私がフウキを睨んで言うと、


「別にアクアにだけ優しいわけじゃねえし、みんな同様に接してるぜ。お前は例外だけど!甘やかしたら甘やかした分だけ、怠けるからな。」


フウキはベッと舌を出した。


「もっと甘やかしてくれて良いんだけどなあ。あと、その口の悪さも治ったら良いのに!」


「俺も、お前のそのめでたい頭さえ治ってくれればっていつも思うよ。」


とまあ、こんな感じでいつも、フウキと私が口喧嘩して、その姿をアクアとリュウキが呆れたように見ながら帰るって感じ。


え、どうやって帰るのかって?

歩いて帰る?とんでもない!

うちの学校って、世界中の国から生徒たちが集まってるんだ。

だから、ネージュのある大陸とこの学校のある大陸は地続きじゃないし、歩きなんて何日もかかっちゃうよ。

でも、唯一つながっているものがあるんだ。何か分かる?


正解は……空だよ。みんな、空を飛んで帰るんだ。

え、今度はどうやって空を飛ぶのかって?

お忘れですか?私たちの世界が魔法に溢れている魔法界だってことを!

呪文を唱えて箒を出したら、その箒に意識を集中して、地面を蹴れば……もう空だ。


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