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フグの食べ方

作者: そー

昔々、あるところに小さな島がありました。小さな島には、小さな村があってみんな仲良く暮らしていました。そんな島民たちには一つだけ悩みがありました。それは食べもののことです。小さな村は海風にさらされて、作物が育ちにくかったのです。島のみんなは、海で魚を釣って暮らしていました。

 そんなある日のことです。不思議なことが起きました。どこで魚を獲っても、フグしか釣れないのです。フグは猛毒を持つ魚で、釣っても逃すしかありませんでした。そんなことをしていると、貯めてあった食べものが少なくなって来ていました。しかし、どれだけ魚を釣ってもフグしか釣れません。島のみんなは集まって、どうしたものかと話し合いました。

「新しく食べものを育てよう」

「ダメだダメだ、今までも育たなかったじゃないか。行った所のない場所で釣りをしよう。フグじゃない魚が釣れるかも知れない」

「そこでも、フグしか釣れなかったらどうしよう」

話は中々まとまりません。島のみんなは、どうしていいか困ってしまいました。そんな中、村1番のお調子者が言いました。

「フグを食べようじゃないか」

初めは、島のみんなも大反対していましたが、それしか方法がないことが分かりました。

「よし、フグを食べる方法を見つけようじゃないか。誰かが勇気をもって確かめないと」

島の長がそう言うと、みんなが黙ってしまいました。誰も、フグを食べる役に選ばれたくなかったのです。

「言い出しっぺのお前がやるべきだ」

小さな声で誰かが、お調子者のことを指差しました。そうだ、そうだと島のみんなは、お調子者に言いました。お調子者は必死に断ろうとしますが、島のみんなや長の説得の前に引き受けてしまいました。

「分かった、島のみんなのためにオレが食べる。でも一つ約束して欲しい。オレがもし失敗しても、次の年にまた挑戦して欲しい。そうすれば、いつかフグを食べられるかも知れない」

島のみんなは、お調子者の約束を守ることを誓いました。みんなのために命をかけるお調子者の姿勢に感動したのです。

 そうして、お調子者がフグを食べる日がやってきました。お調子者は誰にも見られないように、一人の部屋でフグを食べました。翌日、冷たくなったお調子者が見つかりました。村のみんなはとても悲しみ、村で1番豪華なお葬式を開くことにしました。

 お葬式を開いて少しした後、またまた不思議なことが起きました。フグ以外の魚が釣れるようになったのです。島のみんなはお調子者のおかげだと喜び、みんなで釣りにでかけていきました。

 そこから、また時間が経つと前と同じことが起きました。魚がフグしか釣れなくなってしまったのです。しかし、村人たちはどうすればいいかもう分かっていました。分かっていないのは、誰がやるかということだけなのです。


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