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真の聖女来訪

ゴオオオオオオーーーーーー


何だ。ヨシコから音がする。髪がたなびいている。

あれは、あふれる聖魔法を抑えきれないのか?

日に日に、化け物になっていく。


「ダーリン!デートに行くだ!」


「ヒィ」


「ウオオオオオーーーーーーーン」


「何だ!フェンリルじゃないか?」

「んだ。魔物討伐していたら、空から降りてきただ。戦友ともだ」


「さあ、乗るだ。フェンリル戦車だ。頼むだ。ハッピー」


「ウオオオオーー」(姉御、どうぞ)


俺は、困っている。非常に困っている。このままでは、ヨシコと結婚することになる。



ガタガタガタ~~


フェンリル戦車で街に出た。


「聖女様・・・お似合いですと言ったら失礼かしら」

「バ・・・カ、いや、物事を考える能力が著しく劣っている王子殿下とヨシコ様、もったいねえな」


街雀たちが、噂をする。

畜生!フェンリルも「ウオオーーー」しか言わねえし、怖いわ。

お、街の裏組織が、ゾロゾロ出てきたぞ。


さあ、ヨシコをやっつけてくれ。


「悪い子はいねか?」


「ヘイ、ワシら裏組織は、心を入れ替え。全うに興業をいたします」


「うむ」


強力な聖女が王国に転移してから、人々の気持ちは清浄になった。

役人は、王の裏金を作れの命令を拒否し、庶民は、生業に勤しみ。裏組織は堅気に迷惑を掛けないように悪を束ねていた。


「正しく、悪をやるだ」


「「「ヘイ、ヨシコ様」」」


商店の前に来た。


「ダーリン、髪飾りを選んで欲しいだ」

「ヒィ」


「じゃあ、これを・・」

「うむ。蝶蝶か、センスがええだ。つけて欲しいだ」

「あの、背が・・」

「んだ。かがむだ」


「ウオ、ウオオオオーーーン、ウオオオーーーン」(姉御、首輪が欲しい。欲しい)


「うむ。職人のところに行こう」

「ウオーン」(やったー)




☆☆☆王城


父上と母上は、毎日、運動だ。私も、トレーニングとやらをやらされている。

全く、脳筋聖女だ。


『ダーリンは、足腰を鍛えるだ。キャ』

とか言いやがって、スクワットをやっている。

監視付きだ。


「はあ、はあ、はあ、父上、何とかなりませんか?」


「そう、案ずるな。セドリックよ」

「父上」


聖王国から女神教の真の聖女がいらっしゃるのだ。

あのデタラメな聖女だ。

すぐに、お役ごめんになるであろう。


「何せ。年上であるワシにもタメ口で、暴虐無人に振る舞う。クビになったら、お前は、好きな女を婚約者にするが良い」


「陛下、お手当を再開するまで、お別れですわ!」

「おー、キャサリンよ。少し、待て、また、裏金を作って、ドレスを買ってやろうぞ」


「誰だ!お前は、母上!」

「内緒だ。呼ぶな!」




☆☆☆一月後


真の聖女様がいらっしゃったわ。前の聖女である私、クリスも出むかえたわ。

一度だけあったことあるの。


勿論、ヨシコ様なら、大丈夫でしょうけども、


「まあ、まあ、クリス様、おひさりぶりね」

「お久しぶりですわ」


スゴイ、1000人いる聖女の名前を暗記されているわ。

もう、ご老齢なのに、先の人魔大戦で、勇者パーティーに参加された最後のお一人。

伝説の聖女様だわ。


シワの一本一本まで、戦歴を刻んでいるとささやかれているわ。



「うむ。オラが、聖女だ。戦友とものハッピーだ」

「ウオオオオーーーン」(こんにちは)

「まあ、神獣まで、降臨したのね」



しばらく、対談したわ。


「ヨシコ様は、この国の聖女で問題ありませんわ」

「んだ。頑張るだ」


そしたら、陛下が、顔を真っ赤にして、怒りだしたの。



「聖女ナターシャ様!ヨシコ殿は、年上で、目上で、偉い私に敬語を使いません。聖女なのに、魔物討伐の先頭に立ちます。聖女失格では?」



「フフフフ、勇者ユウキ様は、仰ったわ。仁義礼智の序列があります。まず礼よりも仁、優しさが必要だと、勇者様の国ではそう考えていますわ」



「んだ。年を取るだけなら誰でも出来るだ。陛下は、年を取っただけだ」


「ヒィ、そんな」



和やかに、会談が済んだわ。後は、ヨシコ様の聖魔法の力を測ったり。視察をしたりしたわ。



「まあ、勇者様と同じぐらいの力がありますわ」

「ありがとうだ」


「しかし、一点だけ、問題があります。それは、婚約者の事です。馬鹿王子はいいです。何故、婚約破棄をしないのかしら」


「え、馬鹿王子・・俺が?」


え、二人とも、急に顔が険しくなったわ。


「オラのダーリンは殿下だけだ。婚約破棄はしないど」



「私は、貴女に、真の聖女の称号を受け継いでもらいたいと考えています。真の聖女は、悲しみを知らなければならないとの言い伝えですわ。

 婚約破棄からの追放、それが、必須の条件ですの。王子と婚約破棄をしなさい!」


「やだ。いくら、ナターシャ様でも、言って良いことと悪い事があるだ!」


「そう、なら、致し方なし。押し通る!私を倒して、馬鹿王子と結婚なさいませ。聖女死合いの開始を宣言しますわ!」


「だども」


「私に拳をぶち込んだら、勝ちでいいですわ。私は攻撃をしませんわ」


「うむ。なら、聖女拳!」


シュン!


え、ナターシャ様が、ヨシコ様の拳を紙一重で交わしたわ。



「フフフ、手加減しましたわね。魔法無し。聖女の技法のみで闘いましょう。これは、聖女の輪踊ろんど円の動きですわ」


まあ、円の動きで躱しているのね。

それから、戦いは、数時間、いえ、数十分かしら、とても、長く感じたわ。


ヨシコ様の拳が届かない。

組み付こうにも、動かない。


「聖女奥義!孤児・抱擁!」

「・・・動かないだ」


ヨシコ様が全く通じない。あれは、寂しい孤児を抱擁する型だわ。勉強になるわ。


さすが、ナターシャ様、勇者様と魔王討伐をした伝説は本当だったのね。

王子は、ニタニタ笑っている。悔しい。


「ヨシコ様、頑張って!」


「絶対、絶対、ダーリンと結婚するだ」




☆☆☆ヨシコ回想


☆ボクシングジム


「いいか、脇を締めて、構えた所から手を引かずに、撃つ。威力が落ちても良い。速さと連打だ」


バシュ!バシュ!


『ジャブは苦手だ。バ~ンといきたいだ』

『良子!それじゃ、天辺をとれないぜ。ストレートばかりじゃ、読まれるぜ』



・・・・


ピカッ!


あら、ヨシコ様の目が光ったわ。


シュン!シュン!


「オホホホホ、連打など・・・」


ナターシャ様に焦りが見えるわ。

そうだわ。この攻撃をする魔物はいないわ。

それに、速い。分かっていても対処が遅れるわ。


パシュ!


ホホをかすったわ。


「うむ!聖女拳!」


ヒラリ~


「何?!」


ヨシコ様の渾身の右ストレート、ナターシャ様は、宙を舞い。右手首の上に立ったわ!何て、身軽なの。いえ、飛翔魔法を使ったのね。



「聖女、鳳凰の舞・・・これにて、聖女死合いの儀はおしまいですわ。私の負けですわ。魔法を使いましたから」


「うむ・・」


・・・・



「結局、馬鹿王子・・」いえ、因果関係を考察する能力が著しく劣っている王子との婚約は認められたわ。


「おい、クリスよ。心の声が漏れているぞ!」


「フフフフ、貴女は私に魔法を使わせたわ。しかし、『真の聖女』の称号は渡せませんわ」


「うむ!必要なら、皆に呼ばれるように頑張るのみだぁー」


「その心意気やヨシ」


ガッチリと握手をしたわ。



「ならば、私、真の聖女ナターシャは、宣言をします。ヨシコ様、貴女は、聖女の中の聖女!故に、聖なる女王、『聖女王』と名乗ることを認めます。

 これは、死に行く先輩の贈り物ですわ。受け取って頂けますわね」


「おい、王はワシじゃ!」


「うむ。名に恥じぬように、精進するだ」

「ウオーーーーン」(やったー)


「「「「やったー、新たなる女王の誕生だ!」」」」

「「「バンザーイ!」」」


「ヒィ、ワシはどうなるのじゃ」


陛下たち。王室一家はどうなるかの問題は置いておいて、実質、ヨシコ様が、王の役割を担うことになったわ。


 聖女と騎士団長、為政者の三役、私も助けなければ、

と思う反面、黒い感情がわき上がってきた。

ヨシコ様に、王子はもったいない。

王子は、幸せになるのではないのかと・・・



そんなときに、また、騒動が勃発した。


王妃殿下の親戚から、王子の婚約者に立候補する令嬢が現れたわ。



最後までお読み頂き有難うございました。

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