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ヨシコの幸せな婚約

 ☆☆☆王宮


 王宮につくと聖女様が、デン!と構えていた。

 あの容貌は異世界人だけど、肉付きが良い。肥満と言うわけではない。


 その後ろに、げっそりとした陛下、王妃殿下、と騎士団長、大臣の面々がいた。

 子犬のような目で、私を見る。

 聖女様は、開口一番、自己紹介を始めた。



「オラ、良子よしこ権俵ごんだわらだ。オメ様が、前の聖女かあ?」


「ええ、そうですが・・・」


「治療法に問題があるだ!」



 まあ、私に文句を言いたいのね。家族は私を庇うように前へ出る。

 お父様が仰ったわ。


「そうですか。なら、聖女様が治療をなされば良いこと」


「うんにゃ、その前に、聞きたいことがあるだ。このBB・・・王妃どんは、腰痛だ。生活がだらしなくて太っていて、治療しても、また、腰が悪くなるに決まっているだ」


 私は王妃殿下の出自から説明した。


「王妃殿下は、貧乏男爵家の第6子ご出身、教育が行き届いていません。陛下が王太子時代に、婚約者に婚約破棄を宣言し、今の地位にあります。恋愛小説を読むのがやっとでしょう。とても、理解力が足りないのと、努力する習慣がございません。

 昔は、妖精にように、可愛らしかったそうですが、

 王妃殿下になってから、贅沢を覚え。このように、ブクブク・・・いえ、ふくよかになりました。

 いくら、体型に問題があると言っても聞かないのです」


「うむ。そうか。馬鹿か。なら、性根をただすまで、ウォーキングからだぁ。10キロ追加だ」


「ヒィ」

 王妃殿下は、悲鳴を上げたわ。


「わ、私が、いなかったら、社交界は誰が、リードするのよっ!」


「ご安心を」


 お母様が前に出たわ。


「王妃殿下は、その取り巻き・・いえ、派閥は低位貴族のご夫人たちで、いつも、恋愛小説や、ドレスの話ばかりしています。いなくても、支障がありません。

 ブラウン侯爵夫人が、実質、まとめています。話を通せば大丈夫ですわ」


 ブラウン夫人、元陛下の婚約者だわ。

「アン!馬車で、ブラウン夫人の元に行って、王宮で起こった事を、見たまま。聞いたまま話すのよ」


「はい、奥様」


 スタタタターーーーー


 アンは、スカートの裾を持ち上げて、走って、馬車に向かったわ!速い。




「次に、この王だ。短絡的な思考しか出来ないだ。毎日、宴会をしているから、あちこちに持病が出ているだ。

 何故、オメ様は、進言しなかっただ」


「はい、陛下は、甘やかされて王子時代を過ごしました。政治と宴会を混同しているのです。いくら、暴飲暴食をやめるように言っても聞く耳を持たないのです。

 毎日、ヒールで誤魔化す生活をしていました。

 治ったら、暴飲暴食、それと、夜遅くまで、愛妾と遊んでいるので、寝不足でさらに悪化しています」


「うむ。馬鹿か。なら、仕方ない。問答無用で、ジョギングからだ。LSDで3時間運動だ」


「キー!陛下、愛人がいたの?」

「父上!」

「ヒィ、今は、それどころではないぞ」



(((プ、クスクスクス~~~~)))


 あら、お父さんとお母様、お兄様が、口を隠して、笑いをこらえているわ。


「次に、騎士団長だぁ!こいつは、何故、使えないのだ。浄化に行っても、魔物の取りこぼしがいっぱいいるだ。

 瘴気の元を浄化しても、魔物がいたら、また、瘴気が湧いてくるだ。

 経典にそう書いてあるだ。

 こいつは、怠け者か?」


「はい、聖女様、この騎士団長は、陛下の子供時代からの側近で、人に取り入るだけの能力を持った無能です。

 他国では、聖女が瘴気の元を浄化して、騎士団が魔物を狩り尽くして、やっと、浄化が完了するのです。それでも、魔物は定期的に湧き出てきます。

 聖女と騎士団の関係が深いのはそういうことです」


「うむ。そういうことか、無能か。なら、私がしばらく、騎士団長を兼ねるぞ。騎士団長はクビだぁ!」


「ヒィ、そんな。聖女が騎士団長なんて聞いた事がない!素人に出来るわけはない!」


「出来ないだ。しかし、父ちゃんは、自衛官の幹部だっただ。幹部に行くほど、きめ細かな性格をしていなければならないだ。

 それか、豪胆な性格で、参謀に、きめ細かな側近を用意しておくものだ。

 騎士団の幹部は更迭だぁ。きめ細かな事務仕事を出来る者を登用するだ」


 ここで、兄上が進言したわ。


「聖女様、私は貴族院で事務官をしています。しばらくは私にお任せ下さい。事務能力が高い友人たちを知っています。きっと、協力してくれるでしょう。騎士団の事務がずさんで度々、問題に上がっています。喜んで協力してくれるでしょう」


「うむ」


「ヒィ、私の息子もクビにするのか?」

「うむ。そうだ。荷物をまとめて、出ていくだ。今日中だ!」


 聞けば、この騎士団長、側近を親戚で固めていたのよね。

 今日から、無職だわ。でも、国のために仕方ないのね。


「次は、大臣たちが、こやつは、毎日ヒールを掛けられ、ヒール中毒になっていたぞ。効きが悪くなっている」


「はい、この大臣たちは、少し、だるいぐらいで、ヒールを掛けろと要求します。だから、ヒール中毒になっています。

 この方々も、陛下に取り入る能力だけで登用されました」


「なら、いなくても良い。今日中に、王宮を出て行け!」


「「「ワシらがいなくなったら、国政はどうなる!」」」


 お父様が言ってくれたわ。

「ご心配なく。貴族会議に、能力が高いがくすぶっている貴族を知っております」


 最後は、王子ね。


「オメ様は、王子の元婚約者だったな。オラ、NTRなんて嫌いだ。ここではっきりさせておきたいだ。

 オメ様、婚約破棄は嫌か?王子をどう思う」


「はい、王子殿下には愛想が尽きましたが、婚約破棄は納得できません。そちら有責の婚約解消にして、違約金と、今までの対価を欲しいですわ。

 婚約者、王族の一員として、今までは、無料奉仕でしたわ」


「おい、クリス、ここで、『否』と言ってくれ、王子は渡さないと言ってくれ!」


「うむ。道理だぁ。違約金と今までの対価を計算して渡すだ」


「有難うございます」

「「「有難うございます。聖女様」」」


「ヒィ、勝手に決めるな」



 あら、ヨシコさんは顔を真っ赤になったわ。急にモジモジして、


「聖女と王子は結婚するもんか?」


「いえ、絶対ではないですが、基本、異世界から来られた聖女様は王族と婚姻するのがならいです。

 ですが、よろしいのですか?この男は、顔がちょっといいだけの無能・・能力不足です。いつも、他国との会議では、トンチンカンなことを言って、失笑を買っていました。

 顔が良いと言っても、他国の王子は、顔と頭とマナーが良いのです」


「・・・オラ、ダメな男が好きだ」


「ヒィ、クリス、ここで、王子は渡さないと言ってくれ!」


「聖女ヒール!」


 ドスン!


「グゲ!」


 あら、ヨシコ様が、王子の腹に、拳を入れたわ。


「オラは、ピチピチの19歳の女子大学生だ。総合格闘技部に所属していただ。レスリング、ボクシング、女相撲、空手の出稽古に行っていただ。

 オラのヒールは、格闘技にちなんでいるだ」


「まあ、それでは、万民に対しては、少し、問題がありますね」


「そうだ。オラは、王宮のもやしっ子たちを治療するだ。クリスどんは、民間を治療するのでどうだ」


「はい、私も、民間で、治療院を開こうと思っていました」


「うむ。聖女アドバイザーとして、私を補佐してくれ」


「畏まりました」



☆☆☆数ヶ月後



いろいろ試行錯誤して、


私が浄化を担当し、ヨシコ様は、騎士団の先頭に立つようになった。


「うむ、手に余る魔物は我に言え!行動計画通りだぁ、しかし、現場の臨機応変の判断で、対応出来るガイドラインは頭にたたき込んだかぁ?」


「「「はい、聖女様!」」」

「民間人に危害が加わりそうになったときは、各分隊は、合流して対処します」


「うむ!」


ヨシコ様の拳にちなんだ聖魔法は、魔物への攻撃に向いているらしい。

お兄様たちが立案した計画書に基づいて、ウサギ狩りのように、魔物を狩り尽くす。


【聖女拳!】

「「「グギャーーー」」」


あら、魔物たちが、数体一度にぶっ飛んだわ。


陛下達は、


昼はみっちり運動、


「うむ。ヒールを掛けてやる。一列に並べ」


「ヒィ、聖女様、ヒールは良いです」


「遠慮するな!運動の疲れが取れる程度に、軽く殴るぞ。姑どのからだ。聖女パンチ!」


「ギャー、何で、女の私まで、グヘ!」


時々、治療魔法をたたき込まれている。


私は、


「クリス殿、お疲れ様です。お水です」

「ジーニアス様、有難う」


お兄様のご友人と婚約を結んだ。

聖女様の結婚式の後に正式に結婚



 ヨシコ様は、馬鹿王子と婚約をされたの。

でも、言えるだろうか。『ヨシコ様、おめでとう』って・・

相手は、あの馬鹿王子だ。




最後までお読み頂き有難うございました。

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