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7挿入目

 何もかもなくなってしまった魔王城でひとりぽつんと立ち尽くす聖也。まさに放心状態というやつだ。

「わらわの負けじゃ」

 その声と共に何者かに後ろから抱きしめられるのだが、ふたつの柔らかい感触が背中をやさしくも激しく刺激する。聖也はすぐに後ろを振り返ろうすると真横に魔王の顔があった。

「ど、どうして、消し飛んだはずじゃ……」

 オバケ、幽霊などと呼ばれる存在を目の当たりにしている気分になり血の気が引く聖也。だが、よく考えたら自分がエクスカリバーになっていたり何でもありだからと冷静になる。

「わらわのスキル〈ブラッドリボーン〉により甦ったのじゃ、まあ不死身というやつじゃ」

「それ無敵じゃね?」

「まあのう、じゃが、わらわの防御はそなたに破られた、じゃから今回は勝利を譲ろう」

「あ、ありがとう」

「ふむ、そろそろこの城もなおさねばな」

 カーミラは指を鳴らすと城が血のような色や流動性を帯び生きているかのように蠢き次々と元通りになっていった。

「あばばばあばあば」

聖也の開いた口は塞がらない。

「ふむ、次は眷属を復活させるかのう」

 再び指を鳴らすカーミラ。瞬く間に消滅した家臣たちが先ほどの城のように甦った。あのまま復活しなければ聖也は罪悪感に苛まれただろう。

「ま、魔王様、何があったのですか?」

 家臣の一人が質問する。質問が出るのは当然だ。まばゆい危険な光ぐらいにしか知覚できず瞬殺されてしまったのだから。

「ふむ、ミランダよ、この者のスキル〈疾風迅雷〉は本物であった」

「な、ではこの者は伝説の魔王様の生まれ変わりなのですか!?」

「その可能性は高いがまだ断定はできぬ。だが、スキルは本物で同等クラスの力はあるだろう」

「おぉっ! これで我らの国は安泰ですぞ! 賓客待遇で迎えましょうぞ?」

「うむ、そなたはそれでよいか?」

「え、あ、はい」

 急に話を振られとりあえず答えてしまった聖也。




 あれから暫く経った。聖也には魔王城内の一室が与えられた。その部屋は聖也の住んでいたタワーマンションよりも豪華だ。部屋にはさまざまな貢物が届いている。聖也の存在がこの国ブラッドに知れ渡ってしまったからだ。皆、聖也に会いたい、結ばれたい、合体したい、そんな女性たちばかりからだ。聖也がホストだった時とほとんど変わらない光景である。聖也に会おうと厳重な警備が施されているこの城に不法侵入する者も後を絶たない。異世界では元の世界とは違った生活ができるのではと期待するところもあったのだがこれである。

 聖也は魔王上内の自室ではなく、図書館のように大きな書庫で本を読み漁った。この世界の言語がわかるのはスキルのおかげだ。聖也が他の世界から来て会話だってできるのは〈言語理解〉によるものである。スキル様様であった。そんなスキルについての知識や、魔王や勇者などたくさんのことを学ぶことができた。他の人たちから教えてもらった知識をだいぶ補完することができたのだ。とくに伝説の魔王についての知識は驚愕であった。伝説の魔王はまさに英雄のような存在であり、その魔王しか使えなかったスキル〈疾風迅雷〉を持っていたから聖也は高待遇で、この魔王城のお世話になることが可能だったのである。

しかし、良くないこともわかった。エクスカリバーについてだ。エクスカリバーは魔王を幾度も討ち滅ぼした聖剣であり、魔王側の存在たちにとって恐怖の対象であるのだ。恐怖だけであれば良いのだが破壊対象である。ここでややこしくなるのがウェポン男子の存在だ。ウェポン男子を含め男性は保護対象であり、絶対に死なせてはいけない存在だ。女の欲望が爆発して何人もの男性たちが亡くなっていったからこその保護である。男性の数が減りすぎており、男にありつけない女性の欲望はさらに大爆発だ。芸術の100倍以上爆発だ。死ににくく進化した男性がウェポン男子なわけなのだが、それでも女性たちがウェポン男子を襲い続け亡くなってしまうケースが多々ある。聖也は破壊対象であると同時に保護対象なのだ。

ウェポン男子として、エクスカリバーとして、魔王の生まれ変わりとして、と聖也の属性は大変複雑なものとなっており、自身でもどうしたらいいのかわからなくなってしまっている。魔王が聖也のことをエクスカリバーと認知しているかどうかはわからないが、聖也は自らがエクスカリバーであることを告げるべきか悩んでいた。

「だーれじゃ?」

 聖也は突然視界を奪われ暗闇につつまれる。誰かが後ろから聖也の目を覆っているからだ。それと同時に尋ねられているのだが、まず後ろから覆われているのがよくわかる理由は背中にあたる二箇所の感触である。Jカップは余裕である胸部の感触が聖也をやさしく、そしてあたたかく柔らかに包み込んでいく。

「なんじゃ答えてくれんのかの?」

 後ろの謎の人物はしびれを切らし催促するのだが、そもそも話し方と胸部の感触で誰だかはばればれであり、はじめから質問になっていないのだ。また元々胸など元の世界で見飽きているし揉み飽きている聖也だがJの衝撃は別だ。この世界はG、Hカップは平均的な大きさであり、FやEでは小さめの扱いである。まあ、男の多くはトップやアンダーすら知らない者も多いが。

「ほれほれーほれほれー」

 催促の言葉だけではなく後ろの人物はついに巨大なブツを擦りつけはじめたのだ。

「あっ」

 流石の聖也も思わず声が出る。

「ふーっ、愛い奴よのう」

「もーやめてくださいよ」

 呆れたように言う聖也だが、それはある程度打ち解けたからこそである。

「聖也に夢中で要件を伝えるのを忘れてしまうところじゃった」

「要件は何です魔王様?」

 謎の人物の正体は魔王だったわけだが、そんなことはわかっていたのでどうでもよくて本題を聞く聖也。

「うむ、魔王の集まりにな、聖也、おぬしを連れていくことにしたのじゃ、あーはっはっはっはっはっ!」




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