表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/15

5. 森をぬけて、山奥の村へ

その後は特にアクシデントも起きず街へと二人は近づいていった。


「言い忘れていたが異世界のことは隠した方がいい」

「なんで?」

「騒ぎになる」


異世界から人が来た!元の世界でも問題になるのは容易に相模でも想像できた。


「……確かに。じゃあどうすればいいの?」

「適当にがんばれ」

「酷い!まるで他人事!」

「会ったばかりの他人じゃないか……」

「そう硬いこと言わないでよ。ここで会ったのも何かの縁。きっと……この時代なら……神の思し召しだよ!うん!」

「その間はなんだ!明らかな後付けじゃないか!」

「少なくとも骨折った加害者じゃん!少しは助けてよ」

「確かに……何か手を考えてみるよ」


 その後二人はは何もなく街に着いた。街に着くなり相模はちょっとした話題となった。


「そいつは?」

「途中で倒れてるのを拾った」

「こんな森の奥にまで余所者がか?」

「とんでもない方向音痴らしい。道中狼に襲われてたところを助けた」

「狼にボコボコにされたんか……よく生きてたな」

「腕はそこの人に折られたんだけど」

「?」

「戦いの途中誤って腕を折ってしまった……」

「いやあ、おっちょこちょいだね」

「ノリ軽くない?」


 倫理観の緩さに相模は驚きっぱなしだった。


「しばらくこの宿屋で過ごしてくれ」

「しばらく?」

「医者の予定が取れるまで」

「いつもはいないの?」

「その必要はないからな」

「?」

「ところでこの後はどう食い繋ぐつもりだ?」

「それなんだよ。このままじゃ貧困生活まっしぐら」

「……まあしばらくは休め」

「分かった。ありがとう」


 フランはどこかへとさり相模は一人になった。


「そういえば分析スキルがあったな……改めて使ってみよう」


 手当たり次第に相模は調べ、そしてあることに気がついた。


「まずはこのデカいのから。えい!」


 《デカいは強い!を地で行く棍棒。7.92×107mmの一撃で大方解決するが足らなければもう一撃!訓練用戦車など敵ではない》


「解説文が脳筋になってる!?」


 最初に試した時よりも文章がくだけたような……分からせる気がなさそうな状態に変わっていたのだ。


「この拳銃はどうだろう……」


 《引きこもりが発案した5M先まで届く鈍器。照準器は900Mまであるが銃の体裁を保つ飾りに過ぎない。》


「なんか辛辣。当てられる気もしないな……想像つくけどこの銃も」


 《合理化を追求した消音器内蔵の工具。タイプライターなど時代遅れだ。》


「意味がわからない。最後はこの剣……」


《ただの棒》


「説明放棄!もしかしてスキルの精度が下がってる?怪力スキルも無いし……」


 金属の塊4つは今の相模には重荷だった。力んでも念じても重さは変わらない。骨折のせいもありまともに使えるはずもなかった。


「さては不良スキルを押し付けやがったな……今日はシャワー浴びて寝るか……あるか知らないけど」


 幸いにもシャワーはあった。だが出てくる水はやや濁っている。


「あるだけ有難いか……日本の水道が恋しいな」


 そして翌朝。何者かがドアをノックした。


「ちょっと待って!」


扉を開けるとフランが立っていた。


「具合はどうだ?」

「昨日よりはマシ」

「悪化してなくてよかった」

「んでなんの用?」

「街へ行かないか?」

「街?」

「医者は待つよりこちらから出向いた方が早い」

「なるほど」

「それに働き口も見つかるかも知らない」

「……なんの仕事があるんだろ?」


異世界での求職。相模には不安の塊だった。


「昨日話した魔物だが退治して稼ぐ道が一応ある」

「もしかしてギルド?よく小説でみるやつかな」

「よく分からないがそちらの世界にも魔物退治はあったのか」

「あってたまるか!そもそもいないよ」

「よく分からない世界だ。まあ働き口は街の方が多い」


相模は地域ごとの最低賃金を思い浮かべた。いつの時代も三大都市は金額の上位層だ。


「きっと給料も都市の方が高いよね」

「当たり前だ……だが物価も」

「あれ?相殺されて終わり?」

「でもここでは仕事を探せるないだろ?」


相模は降下時に周りは一面森だったことを思い出した。


「来る直前に空から見たけど森だらけの寂れた村だもん……って街どこ?相当遠くにも無かったよ!」

「距離がどうした?」

「?」

「数人程度なら役場にある魔法陣で一瞬……」

「技術水準高ッ!」

「サガミは何で移動してたのだ?」

「ある程度は鉄道、それ以上は飛行機、未来だとリニアが開通予定だけど……」

「鉄道は今でもあるがそれ以外は聞いたことが無い……」

「どれも瞬間移動には敵わないよ」

「では街へ行こうか」


相模は役場まで連れて行かれた。


「これが……魔法陣?なんかしょぼい」

「単純に越したことはない。複雑だと……分岐条件ミスや処理の循環で最悪暴走!専門家呼んでポーション漬けの徹夜に報告書の山……アア゛ァ゛……忌々しい」

「……」


口調が崩れたフランを見て相模は驚いた。


「……どう使えば?」

「入れば勝手に飛ばされる」

「なるほど……」

「物は試しだ!」


相模は魔法陣の中に入れられた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ