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2. 選べ!!そんな装備で大丈夫か?

「この武器はどうすればいいの?」

「好きなものを選んでください」

「私に合うのはどれかな?」


相模は武器の山に剣を置いて銃を見始めた。


「剣は嫌ですか?」

「素人は振り回されるだけだよ」

「向こうでは銃の人気が無いのですが……」

「え?何で?」

「スキルとの相性が悪すぎるからです」

「……さっきからスキルや能力がどうと言うけど具体的に何があるの?」


あまり聞きなれない単語に相模は困惑した。


「魔法なら火を出したり氷漬けにしたり、剣なら自動で相手を捌いたりビームを出したりします」

「おお……ファンタジーだ」

「そして銃は……弾薬が無限になったり銃声を消すぐらいです」

「十分強くない?」

「前提としてある程度の力がある人は壁の魔法で防いたり予知するのでそもそも銃撃が効きにくいです」

「そんなのがゴロゴロと!」

「治安も幾分悪いですからね」

「具体的にはどんな?」

「そちらの世界なら……一昔前のヨハネスブルグより多少マシ程度といえば分かりますか?」

「どこそれ?」

「南アフリカの首都です。一説には犯罪に遭う確率は100%を越えるとか」

「それは計算ミスでしょ」

「複数回巻き込まれることの比喩だそうで」

「……今から行くところはそんな無法地帯なの?」

「場所によってですが」

「もう出オチ確定じゃん……」

「ですので武器は重要です」


相模は片端から武器を調べる。そして付与されている力をリスト化した。


「大体武器そのものに能力が付与されてるね」

「今までの人達が後付けしたのでしょう」

「できるんだ」

「詳細は知りませんが」

「いや?あなたの世界でしょ?」

「管理するだけで住んだことはありません」

「不安が増すな……」


そして並べた武器を眺めてある傾向が相模は気づいた。


「思ったより剣や弓の能力が低くない?」

「これらは武器より使用者の能力が重要ですから。向こうの世界でも様々なノウハウがあります」

「そういえばその能力ってどうやって手にするの?」

「生まれつきですね。その後は鍛えて派生能力の獲得や強化をする形です」

「私は?」

「既に分け与えた翻訳と分析以外ありません」

「論外!剣は無しで!」


相模は剣のほとんどを箱に戻した。最初に調べた聖剣を除いて。


「その剣は?」

「売る。聖剣なら高値でしょ?」

「高価過ぎて売れない可能性があります」

「……湖にでも投げ捨てるか」

「ぞんざい過ぎませんか?」

「そりゃそうなるよ!」

「まあお好きにどうぞ」

「あと弓や槍はどうなの?」

「概ね剣と同じです。弓は慣れるのに10年かかるとか」

「無理だよ……」


残ったのは小道具と銃火器の類。その中からさらに見極めることになる。


「まずは……なんだろうこのゴテゴテした銃?」

「ライフルとグレネードを合体させたものです」

「強そうだけど……」

「高い弾薬費と偶に起こる暴発のためそちらの世界では開発中止になりました」

「試作品じゃん!却下で」

「かつて試作品は強いと選んだ人もいましたが」

「そいつは勘違いしてる。量産に勝るものは無いよ」

「思ったよりリアリストですね」


次に手に取ったのは古式な銃。


「凄い古い……」

「いわゆるマスケットです」

「この銃だとやっぱり…… 一人は皆のために、皆は一人のために!」

「三銃士ですか。私はロシュフォールが好きです」

「でも弾とかどうしよう……向こうで売ってる?」

「そもそも銃の需要は無いので……」

「ああ……なら弾薬が無限なやつを持っていこう」

「するとこれでしょうか?」


相模は自身の身長を超えるものを手渡された。


「重!」

「腰に注意してください。10Kgほどあります」

「デカ……これ大きすぎない?」

「対戦車ライフルですので。大抵の魔法も貫くでしょう」

「付与された力は弾薬無限と不破壊?ぶん回しても大丈夫なの?」

「おそらく」

「頑張って背負うか……でもこれ目立たない?」

「遠くからでもわかりますね」

「もっと小さいのも欲しい……」


相模は更に漁る。すると革製の入れ物を見つけた。


「なにこれ?」

「弾薬無限が付与された弾薬ポーチです。特定の実包だけ無限に取り出せます」

「じゃあこれが出す弾を使う銃なら無限に撃てる!」

「理論上はそうですね」

「なんかとげのある言い方だな……」

「冷却や摩耗の問題があるので」

「?」

「銃は撃ちすぎると熱を持って段々赤く光るのですがそのまま使うと燃えて壊れます」

「なら壊れないのを選ぶしかないか」

「あくまで理論的な話です。実際は燃える前に決着がつくでしょう」

「それもそうか。あと弾は……なんだろこれ?」

「何か書かれていませんか?」

「いや、何も……あった。45AUTO?……一つずつ入るか試すほかなさそう……」

「スキルで使う弾薬の種類は分からないんですね」

「思った以上に気の利かない能力……ってあなたが渡したんでしょ!」

「そこまでは把握していませんでした」


二人は弾薬が対応しているか地道に調べる。そして時は経った。


「残ったのは二つ」

「拳銃と短機関銃。両方持っていきますか?」

「まああのデカ銃と比べたら軽いしこっちをメインで人探しかな?」

「では全部で16キロほどです」

「労働基準法的には合法だし頑張るよ」

「そこに換金用の聖剣が加わります」

「忘れてた……でもお金なしは怖いから持っていこう」


相模は全部の武器を身につけた。背中にはライフル、腰には弾薬ポーチと剣、拳銃は木箱の入れ物のまま襷掛け、手には短機関銃。側から見ると乱射事件を起こす人にしか見えないものだった。


「オモイ……キツい……」

「分かっていたはずです」

「なんか……こう身体強化とか銃が軽くなるとかしてくれない?」


相模は耐えかねて武器を置いた。


「銃は下手に軽くすると動作不良や反動の悪化があるのでおすすめしません。まだ若いんですから鍛えてください」

「こんなの軍人でもなきゃ無理だよ」

「軍人なら無反動砲や機関銃だけで20Kgは超えますのでまだ楽かと」

「別に張り合いたいわけじゃ無いから!」

「なら武器を減らすべきです」

「流石にライフルだけは心細い」

「……仕方ありませんね。低ランクの身体強化スキルも授けます」

「ヨシッ!」

「ただし最低ランクが精一杯なので効果は保証できません」

「一回試そう」


相模は降ろした武器を再び持ったが……


「何も変わらない……」

「その力は常に働くわけではありません」

「そうか……よし、行くぞ!」


するとさっきより身軽に動けるようになった。


「凄い……雲泥の差だ」

「ただし能力発動中は体力を消費するので気をつけてください」

「結局疲れるのは変わらないじゃん!」

「本来使う魔力をあなたは持っていませんので」

「そう上手くはいかないのか……」

「ですから筋肉を鍛えてください」

「解決策が脳筋……異世界にチート能力を得て無双する!かと思いきや無双されそうだ」

「敵が能力を使う前にライフルで肉片にすればそういった事態は減らせるかと」

「物騒過ぎる!卑怯者と罵られるよ」

「負けては無意味です。それに多少比興でなければ面白くありませんよ」

「面白くって私はエンターテイナーじゃないのに」


だが相模は気持ちを切り替えて行くと決める。どのみち帰り道はないのだった。


「最後に聞きたいことがあるんだけど」

「何でしょう?」

「探し出す勇者って誰?」

「言い忘れてました。ペレスヴェートです」

「変わった名前だ」

「その剣の持ち主でもあります」

「売っちゃダメなやつじゃん」

「それ自体にはもう何もありませんから」

「意外と薄情だね……君」

「持っていてはやっていけません」

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